環境:サプライチェーン連携
購入先様・物流パートナー様との協働
多くの取引先様によって支えられている当社グループでは、当社グループ単独ではなく、サプライチェーン全体で環境負荷を考慮する必要があります。CO2削減、資源循環、水循環、化学物質管理、生物多様性保全など、様々な分野で当社グループの事業活動と密接な関係を持つ購入先様・物流パートナー様との連携を通じて、環境負荷の低減を図っています。
グリーン調達の取り組み
当社グループは1999年に「グリーン調達基準書」を発行して以来、その改定を行いながら、環境に配慮した製品づくりを購入先様とともに推進しています。グリーン調達方針として、当社グループの環境基本方針に賛同し商品・物品を提供いただく購入先様群を構築することを掲げ、「購入先様の事業活動領域での環境負荷低減」、「当社グループとのコラボレーションによる成果の共有」に加えて、環境負荷低減の取り組みをサプライチェーン全体に広めるための「購入先様による上流取引先様への働きかけ」を要請しています。当社グループの環境行動計画に沿って、社会へのより良い影響を、当社グループだけでなく、サプライチェーン全体にわたる様々なパートナー様と連携を深め広げていくため、2022年10月に「グリーン調達基準書」を改訂しました。
また、2021年度に、パナソニックグループの事業に伴うCO2排出量の削減と、社会におけるCO2排出量の削減に対する貢献を「Panasonic GREEN IMPACT」として発信し、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向けて、独自の目標を掲げて取り組んでいくこととともに、CO2排出量削減に取り組んでいくことを発信しました。このパナソニックグループの取り組みをサプライチェーン全体に拡げていきます。2023年度は、当社グループの掲げるCO2排出量削減に向け協働で推進いただくために、当社グループグローバルで取引をしている約13,000社のすべての購入先様に対し、当社グループの掲げる「Panasonic GREEN IMPACT」の活動への理解を深め協力を頂くための文書を送付し、購入先様との連携を通じたグローバルな環境課題に対する取り組みを推進しています。
欧州RoHS指令に代表される製品含有化学物質に対する規制の強化、拡大に対応して、サプライチェーン全体での管理レベルを向上させるために、当社グループは2005年より継続的に購入先様への環境品質保証体制監査を実施しています。2023年度は、約1,000社の購入先様への監査を実施し、製品含有化学物質管理レベルの向上を支援しました。
購入先様の事業活動領域での環境負荷推計と削減活動
当社グループは、国際的なGHG排出量の算定基準であるGHGプロトコルに準拠した、当社グループ独自の算定プロセスによるサプライチェーン温室効果ガス排出量(スコープ3※1)の把握に向けて、2011年度より当社グループが購入する部材の量に日本政府公開の産業連関表に基づく部材別の温室効果ガス排出原単位を乗じて、当社グループの上流領域全体の温室効果ガス排出量を試算しています。2023年度の購入データによる試算結果は、2,196万トンとなり、当社グループの生産活動における温室効果ガス排出量の約14倍と推計しています。
※1 スコープ3とは、スコープ1(自社グループで所有・支配する施設からの直接排出量)とスコープ2(自社グループで所有・支配する施設で消費するエネルギーの製造時からの排出量)を除く、自社グループサプライチェーンでの排出量(例:購入先様での排出量)
また、購入先様とのCO2排出量削減活動においては、当社グループで使用するアルミ地金や鉄鋼の調達において、水力発電により精錬されたアルミ地金や再生鉄といった低炭素材料の積極的な調達に取り組んでおり、2023年度で約5.8万トンのCO2排出量を削減することができました。
また、当社グループの資材調達は、グループの事業部向けに限らず、パナソニック ホールディングスが一部出資している合弁会社向けにも販売しており、合弁会社向けの低炭素材料の調達も同時に行うことで、スケールメリットを生かした低炭素材料の購買力向上を図っております。当社グループのスコープ3には直接カウントできませんが、合弁会社向けのCO2排出削減は2023年度で約4.1万トンとなり、低炭素材料の安定調達力向上とCO2排出量の一層の削減のために今後も合弁会社様との協業も拡大していきます。
水力発電由来のアルミ地金調達・支給スキーム構築
当社グループは、アルミ地金の集中契約を行い、エアコンやショーケース等に用いられるアルミ製品の原料の安定調達・供給を実施しております。2021年度より、水力発電由来のアルミ地金の集中契約とアルミ加工メーカーへの支給を行いCO2排出量削減と調達価格の安定化を実現しており、国内電機業界初の取り組みとなります。
具体的には、海外で水力発電の電力を使用しているアルミ精錬所で生産されたアルミ地金を日本に輸入し、国内の複数のアルミ圧延メーカー、押出メーカーに支給し、アルミ板等に加工後、再び当社グループがそれを調達し製品に活用します。
水力発電にて精錬されるアルミ地金は、従来の火力発電で精錬されるアルミ地金と比較し、CO2排出量が約1/3に低下します。この地金を加工した様々なアルミ製品がエアコンのフィン材や、住宅設備のアルミサッシ、リチウムイオン電池のケース等、様々な当社グループ製品となります。2021年度より水力発電由来のアルミ地金の国内支給量は一貫して8,000t強を維持しており年間約5.7万トンのCO2削減を実現しております。水力発電由来で調達するアルミ地金は、全社集中契約の地金支給スキームにのっとり、アルミ地金の市場価格の安定化も行います。
また、当社グループはパナソニック ホールディングスが一部出資している合弁会社プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社向けでも水力発電由来のアルミ地金調達・支給を行っています。EV向けのリチウムイオン電池を生産する該社向けの調達をも行うことで、数量増加により購買力が向上し、より安定的な調達が可能となります。当社グループの事業向けとは別に、当スキームによる同社向けのCO2排出削減量は年間約3.9万トンとなります。
今後も当スキームの拡大を行い、合弁会社も含めた当社グループ全体の視野で低炭素材料の安定調達と価格の安定化を図っていきます。
当社グループとのコラボレーションによる成果の共有
ECO・VC活動※2は当社グループの調達活動において、購入先様と共に製品や購入先様における環境配慮活動を通じて、温室効果ガス削減・循環型モノづくりとコスト合理化の両立を目指す取り組みとして2009年度より推進してきました。2012年度より中国や他のアジア地域での活動を本格化させ、2014年度には、グローバルでの活動に拡大しています。2024年は15年目の節目にあたり、「ECO・VC活動」から「ECOVC」に名称変更し、あらためて本活動を購入先様との新たな価値の創造の場と位置付けました。
これらのECO・VCの事例は、データベースへの蓄積によりグループ内での広い有効活用を可能にするとともに、優秀事例については、「ECO・VC表彰式・交流会」等の場で表彰を行っています。また当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、クリーンなエネルギーでより良く快適にくらせる社会を目指す「パナソニック環境ビジョン2050」を、2017年に策定しました。「環境ビジョン2050」では、創・畜・省エネルギー、エネルギーマネジメントに関する商品、技術、ソリューションの開発を通じて、当社グループが使うエネルギーの削減と、それを超えるクリーンなエネルギーの創出と活用を進めてきました。
2018年度より省エネルギー(CO2削減)やコスト削減、省資源・リサイクル材使用など従来の評価項目に新たに再生可能エネルギーの要素を加えました。また、2023年度からは「Panasonic GREEN IMPACT」と連動し、脱炭素化とCO2排出量の削減を購入先様とともに推進しております。ECOVCは、「Panasonic GREEN IMPACT」の2050年OWN IMPACT1.1億トンのCO2削減に向け、購入先様とともに活動を継続していきます。
※2 ECO・VC活動:Value Creation Activity
応募による環境側面の成果
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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提案件数 | 772件 | 430件 | 332件 | 264件 | 236件 |
提案によるCO2削減量 | 280kt | 110kt | 50kt | 80kt | 927kt |
提案による再生資源活用量 | 100t | 5t | 1,500t | 600t | 37,000t |
提案による投入資源削減量 | 19.9kt | 323kt | 255kt | 40kt | 19kt |
環境NGOとの連携
「Panasonic GREEN IMPACT」の発信に伴い、海外の環境NGOと連携した取り組みをさらに進め、サプライチェーンにおけるCSR取り組みも深掘りしていきました。
当社グループが取引を行う購入先様の数が多く、また、購入先様の環境対応が社会の強い要請となっている中国において、責任ある調達活動をさらに目指すべく、監査改善項目の要請から見届けまでを行い、取引先様と協力し環境負荷低減の取り組みを継続的に行っています。これらのCSR・環境の現場確認を通じて、さらなる法令や社会規範、企業倫理を順守し、人権・労働、安全衛生、地球環境保全等の社会的な責任を果たす調達活動を購入先様とともに推進していきます。
これまでの主な活動
2016年 |
中国NGOと連携開始。 |
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2018年 |
購入先様の環境対応に力点を置いた環境監査をCSR監査と連携し、年間約20社の現場監査を実施。 |
2020年 |
オンライン監査も活用し、年間20社超の監査を継続実施。 |
2023年 |
当社グループ横断のサプライチェーン・コンプライアンスプロジェクトの活動により、更なる購入先様の現場監査活動を強化。 |
また、中国の環境NGO(以下、IPE:Institute of Public & Environmental Affairs)と協働しながら、定期的にWGで最新法規を共有し、月ごとに違反記録のある購入先様に改善要請を発信することで、購入先様のCSR・環境の改善に継続的に取り組んでいます。
IPEが2014年度から公表している、企業における購入先様のグリーンサプライチェーン評価ランキング(CITI点数※3、CATI点数※4)において、当社グループは毎年上位にランクしており、2023年度は、家電業種(総37ブランド)の中で、CITI点数は2位、CATI点数は1位でした。
※3 CITI:The Green Supply Chain Corporate Information Transparency Indexの略称
※4 CATI:The Corporate Climate Action Transparency Indexの略称