『天穂のサクナヒメ』雑多な感想 - 法華狼の日記

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他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『天穂のサクナヒメ』雑多な感想

 2024年に1クールで放映されたTVアニメ。両親の遺産で優遇され増長していたサクナヒメが遺産を失い、遺産が燃える原因になった人間たちと孤島で生活しながら鬼の調査を命じられる。

 原作はインディーズながら農耕のディテールがすごいゲームと聞いていたし、仕事アニメが得意なP.A.WORKSによるアニメ化と思って期待していたが、予想よりアクションゲーム要素が強かった。
 キャラクターの頭身が低くて細部のディテールを省略しつつ立体として破綻しないデザインは現代的だが、旧来の手描きされたデフォルメ重視の作画スタイルで見たかった。制作会社はトリガーやシンエイ動画あたりが向いていた気もする。中盤は寿門堂にたよりつつも映像は水準をたもっていたが、絵を信頼せず会話の説明でドラマを進めるところが多かった。どうしても絵が単調になるので画面への興味がそがれてしまい、台詞にも集中できなくなる。
 そもそも数年かけて稲作をおこない村を復活させる物語には1クールの尺が短すぎたのかもしれない。ドラマにしても、ココロワヒメをそそのかした正体は原作ゲームでもはっきりしていないそうだが、もっと尺に余裕があればアニメ独自の真相を描けたかもしれないし、贖罪を流さずドラマチックにもりあげられたかもしれない。ココロワヒメの隠された心情や石丸の隠された出自など目を引くところも多かったし、多くの要素をよくさばいて1クールにまとめられているとは思ったが。