網走伝統の食文化を知って 市文連がクジラ料理の教室 NPO化で新たな取組【網走】
【網走】市文化連盟(中原章博理事長)の市民文化交流事業「暮らしから生まれる食文化 くじら料理」が市エコーセンターで開かれ、捕鯨基地網走の伝統的な食文化となっているクジラ料理を市民に紹介。文化の一端を知ってもらった。
会場の市エコーセンタークッキング室に集まったのは、市民30人。市水産漁協課の渡部貴聴課長が網走の捕鯨の歴史などを紹介した後、市内の居酒屋「おっ!伝」店主の石黒雅通さんがクジラ料理の作り方を紹介した。
メニューはミンククジラの竜田揚げと、同じくミンククジラの皮を使ったけんちん汁の2つ。最初にミンククジラの皮を処理した。
皮は塩漬けになっており、石黒さんが事前に薄くスライスしておいたもの。参加者は石黒さんの指示通り、鍋にお湯を沸かしてスライスした皮を入れ、再び煮立ったあたりで取り出した。
石黒さんによると、塩漬けされた皮は相当な塩分を含んでおり、湯引きすることである程度の塩が抜け、けんちん汁に入れると皮の風味に加え、ちょうどいい感じの塩分が加わるという。
また、皮は厚みのある表札くらいのサイズに切り分けられており、自宅で料理する時は自分でスライスしてもらわないとならないが、皮を切るとあっと言う間に包丁が切れなくなるそう。「今日は、包丁が切れなくなるとこまるので、こちらで切っておきました」と、石黒さんは話していた。
コンロにかけた皮入りのけんちん汁が出来上がるまでの間、竜田揚げを作った。
こちらはミンククジラの赤肉をしょうゆやショウガ汁、かんきつ類の汁などを混ぜて作ったつゆに漬けておいたもの。
通常は、このつゆに2―3時間漬けておくが、やはり時間がないので石黒さんがすでに下ごしらえをしており、参加者は、赤肉にデンプンをまぶして油で揚げるだけ。このあたりは家庭の主婦などはお手のもので、みな手際よく揚げていた。
出来上がったけんちん汁と竜田揚げをさっそく試食。けんちん汁は皮から塩分がほどよく染み出し、その風味と相まっておいしさがアップ。クジラの皮を食べるのは初めてという人も多く、「思ったよりおいしいんだね」と話していた。
一方の竜田揚げは、肉の柔らかさに驚く人が多く「こんなに食べやすいんだ」「もっと硬いかと思った」と、こちらも好評だった。
同連盟が用意した皮が余ったことから、石黒さんは参加者の持ち帰りようにと手早くスライス。受け取った参加者は「家でもさっそく作ってみよう」「酒のさかなにしようかな」と喜んでいた。
中原理事長は「食も文化のひとつ。加盟する各団体を市民に紹介するこれまでの活動に加え、今後は1次、2次、3次の各産業と連携しながら、食文化を通して市民との交流に力を入れていきたい」と話していた。
同連盟は昨年、組織を見直し、特定非営利活動法人(NPO)として登録。次代を担う子どもたちの文化土壌を豊かにし、自らのまちに愛着と誇りを持つ意識の向上、拡大に寄与するという目的を掲げ、活動していくことを確認。今回の市民文化交流事業も、その活動のひとつとして初めて行った。
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