とく【疾く】 副詞 - 減点されない古文

とく【疾く】 副詞

ササっと!

意味

(1)すぐに・早く・さっそく

(2)すでに・とっくに・早くも

ポイント

形容詞「とし」が副詞化したものです。

形容詞「とし」は、「鋭い・早い・速い・勢いがある・鋭敏だ」など、多様な意味を持ちますが、副詞「とく」は、「時間・速度」の意味合いに限定されます。

「すぐに~」「さっそく~」などの訳で、用言を修飾します

ああ~。

「形容詞の連用形」なのか、「副詞」なのか、わかんないやつだな。

「とく」が、形容詞「とし」の連用形なのか、副詞「とく」なのかは、判別しきれない例文もありますので、そこまでこだわらなくてもいいと思います。

ただ、副詞というものは、あまり意味が広くはないものなので、「形容詞・形容動詞」の連用形から副詞の扱いをされるようになった語は、もともとの「形容詞・形容動詞」に比べると意味が限定される傾向があります。

「とく」については、「早く・すぐに・すでに」といった「時間的・速度的」な意味で、用言に係っていく使い方をしているものは、「副詞」と考えてしまって大丈夫です。

例文

とまれかうまれ、とく破りてむ。(土佐日記)

(訳)ともかくも、早く【すぐに】破ってしまおう。

ただ冷えに冷え入りて、息はとく絶え果てにけり。(源氏物語)

(訳)ひたすら冷たくなっていって、息はすでに【とっくに】絶え果ててしまった。

とくとくもておはして、取らせ給へ。(十訓抄)

(訳)早く早く持っていらっしゃって、お渡しになれ。

「とく」と重ねた「とくとく」というかたちでも使われます。

『平家物語』でも、「とうとう」というかたち(ウ音便)で用いられていますね。