おきつ【掟つ】 動詞(タ行下二段活用) - 減点されない古文

おきつ【掟つ】 動詞(タ行下二段活用)

マインドセット!

意味

(1)(あらかじめ)決めておく・決心する・取り決める

(2)指図する・命令する

(3)取り計らう・処置する・管理する

ポイント

「おきつ」の「おき」は、「置く」と同根と言われています。

「これからしようとすることを心の中に置く」というイメージであり、実際、「おもひおきつ」「おぼしおきつ」のかたちで使われることが多いです。

「あ、あれやらなきゃ」と思ったことを、心のスケジュール表にセットしておく感じかな。

そういう感じです。

なお、おきてという名詞は、この動詞「おきつ」の連用形が名詞化したものと考えられています。
(逆に、名詞「掟」が動詞化したという説もあります)

ああ~。

「掟」も、「あらかじめ定まっている取り決め」ということだもんね。

そうですよね。

「おきつ」は、「おもひ」「おぼし」が付かなくても、もともとの意味は(1)のように「心の中で決める」ということです。

その「思い」が行動に出る際、他人にそれをさせるのであれば(2)のように「指図する」「命令する」などと訳し、自分でなんとかするのであれば(3)のように「取り計らう」「処置する」などと訳します。

ふむふむ。

(3)については、扱う対象が「課題(出来事)」であれば「取り計らう・処置する」などと訳し、扱う対象が「具体的な物品」であれば「管理する」と訳しておくといいですね。

OK!

そのように思ひおきてむ。

つかいこなしている!

例文

世のはかなく憂きを知らすべく、仏などのおきて給へる身なるべし。(源氏物語)

(訳)世の中がはかなくつらいことを(私に)わからせようと、仏などがお取り決めになっている(私の)身であるのだろう。

高名の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて、梢を切らせしに、(徒然草)

(訳)有名な木登りと(世間の人が)言った男が、人を指図して、高い木に登らせて、枝を切らせたときに、

法住寺をぞ、いといかめしうおきてさせ給へる。(大鏡)

(訳)法住寺(の造営)を、たいそうおごそかにお取り計らいになった。