こころぐるし【心苦し】 形容詞(シク活用) - 減点されない古文

こころぐるし【心苦し】 形容詞(シク活用)

心痛

意味

(1)つらい・心が苦しい

(2)心配だ・気がかりだ

(3)気の毒だ・かわいそうだ

ポイント

読んで字のごとく「心が苦しい」ということです。

もともと、「自分の胸が苦しい」という(1)の意味ですが、「相手の状況を思うと胸が痛くなる」という意味合いで、「心配だ」「気の毒だ」などの意味が出てきました。

こっちがつらくなるほど相手のことが「心配だ」「気の毒だ」という意味で使うんだな。

現代語では「申し訳ない」というようなニュアンスで「心苦しい」などと言いますが、古語にはその意味はありません。

「つらい!」「心配!」「気の毒!」で覚えておきましょう。

例文

大殿の、御心のうちに心苦しと思すことありて、いたうももてはやしきこえたまはず。(源氏物語)

(訳)大殿【光源氏】の、御心のうちにつらいとお思いになることがあって、たいして歓待申し上げなさらない。

わづらはしかりつることはことなくて、安かるべきことはいと心苦し。(徒然草)

(訳)面倒だと思っていたことはなんでもなくて、容易なはずのことはたいそう気がかりだ【心配だ】

心苦しとや思ひけむ、やうやうあはれと思ひけり。(伊勢物語)

(訳)(女は)気の毒だ【かわいそうだ】と思ったのだろうか、次第にいとしく思うようになった。