「気」がただよっている・・・
意味
(1)ようす・雰囲気
(2)物音・声
(3)態度・品格・人柄
(4)名残・ゆかり
ポイント
「気」+「這ひ」だと考えられています。
つまり、「気」が、じわーっと漂っているイメージですね。
類義語の「気色(けしき)」が、「目に見えるものの様子」を示すことに対して、「けはひ」は、「聴覚」や「嗅覚」、または「第六感」みたいなもので感じ取れることを示します。
そのことから、「物音」「雰囲気」「(漠然とした)ようす」などと訳します。
現代語とほとんど一緒なんだな。
そうですね。
(3)(4)の意味では、現代はなかなか用いませんので、「態度」「人柄」「名残」などと訳す場合があることに注意しておきましょう。
例文
命婦、かしこに参で着きて、門引き入るるより、けはひあはれなり。(源氏物語)
(訳)命婦が、あちら【桐壺の更衣の実家】に参り着いて、門より(牛車を)引き入れるやいなや、(その場の)雰囲気はしみじみと悲しい。
げに雨降るけはひしつるぞかし。(枕草子)
(訳)なるほど雨の降る音がしていたよ。
大方の気色、人のけはひもけざやかに気高く乱れたるところ交じらず、(源氏物語)
(訳)(屋敷)全体の(目に見える)様子や、人【葵の上】の人柄【品格・態度】も際立って気品があり、乱れているところが交っておらず、