A.O.Z Re-boot Vol.36 RX-124 ガンダムTR-6[フライルーⅡ] | 電撃ホビーウェブ

Vol.36

ORX-005 GAPLANT TR-5 [ADVANCED HRAIROO] ギャプランTR-5[アドバンスド・フライルー]

ORX-005 ギャプランTR-5[アドバンスド・フライルー]は、素体となるギャプランTR-5[フライルー]にTR計画系の汎用強化パーツを装備した機体である。これら強化パーツの能力によって機動性、運動性、火力をはじめ、総合的な性能強化が図られた。これにより本機は[フライルー]の最強形態とも言われる性能を獲得した。[アドバンスド・フライルー]は、TR-6を除けばティターンズが保有する機動兵器の中でもトップクラスの性能を誇る機体であり、領域支配機(エリアドミナンス機)の完成形と言っても過言ではない機動兵器である。そもそも「領域支配機(エリアドミナンス機)」というカテゴリーは、MSの性能向上によって生まれたものと言われる。MSはミノフスキー粒子散布環境下における有視界戦闘を目的として開発された兵器である。当初は「戦闘級」の兵器であったMS(およびMA)だが、技術の進歩によってMS単体の戦闘力が格段に向上した。その結果、戦場全体に影響を及ぼす「戦術級」の性能を有する「領域支配機(エリアドミナンス機)」が誕生することとなった。

TR汎用強化パーツ

素体となるMSにパーツを装着さらにそれらを組み替えることで、TR-6はあらゆる任務に対応する汎用性を獲得した。この特性——「万能化換装システム」に合わせ、様々な能力を持った膨大な数の強化パーツが開発された。これらの強化パーツは汎用で、TR-6用であると同時に既存のティターンズ機にも装備可能となっている。[アドバンスド・フライルー]がその好例で、他にもフルドドⅡユニット、グランユニットのように、装備した既存機の性能を次世代機レベルにまで引き上げると同時に、機体の寿命を延ばすという効果も有している。これまでにも紹介したように、TR-6には各形態用の装備(ハイゼンスレイⅡ、キハールⅡ等)から、フルドドⅡを介した超重装備(クインリィ、インレ等)まで、様々な強化パーツが用意されている。汎用強化パーツはそれらと組み合わせて使用され、各形態の能力を補佐する役割を担っている。パーツの追加、交換、取り外しは任意に行うことが可能で、作戦内容に合わせ現場で柔軟に対応する。任務に応じたパーツの組み替えによって得られた汎用性は、機動兵器に無限の可能性をもたらした。そして、それこそがティターンズの目指す最強の兵器——あらゆる任務と敵に対応し、それに打ち勝つ能力を有する——を生み出したのである。

RX-124 GUNDOM TR-6 [HRAIROOⅡ] ガンダムTR-6[フライルーⅡ]

TR-6の武装形態のひとつで、両腕のビーム砲兼スラスターユニットや背部の大型スラスターなど、強化パーツのレイアウトが[フライルー]と共通しており、その代替機形態として[フライルーⅡ]と名付けられた。本形態は射撃モードと格闘モードのふたつに変化する機構を有しており、それらを使い分けることであらゆる戦局に対応する。射撃モードは、両腕と機体中央に備えた3基の高出力ビーム砲による遠距離からの狙撃を主な攻撃方法とする。また、格闘モードは、腕部として装備されているコンポジット・シールド・ブースターのクローを展開することで、格闘戦に対応したモードである。ブースターによる加速を利用し、MAのような一撃離脱戦法を採る。この形態からフルドドⅡと合体した状態——[フライルーⅡ・ラーⅡ]が、[クィンリィ]形態時の中核ユニットとなる。

有線遠隔装備の運用

ミノフスキー粒子散布環境下のサイコミュを用いた無線誘導攻撃端末によるオールレンジ攻撃は、ニュータイプ(強化人間)特有の兵器である。しかし、これらの攻撃端末を有線化することで、一般人(非ニュータイプパイロット)にも使用可能とした例もある。これらの技術の発展と継承には、様々な要素が入り組んでおり、それらはある時点から極めて複雑な系統に分岐、始点から終点までを直線で繋ぐような単純なものではなくなっていった。しかし、そのコンセプトや使用法には多くの共通点が見られる。TR計画系機に使用されているウィンチユニットは、元々ジオン残党ゲリラが使用した[シュトゥッツァー]の装備するウィンチユニットから影響を受けたものである。これはMSの腕部に推進器を増設し、ワイヤーで本体と接続した兵器であり、交戦したガンダムTR-1[ヘイズル]を撃墜した。この有用性に着目したTR計画の開発陣は、ウィンチユニットの研究と開発を進めた。完成した本兵装は先端部に開放式バレルのビームを備えており、急造兵器であった[シュトッゥツァー]に比べ、より運用性が向上している。また、TR-6のコンポジット・シールド・ブースターもウィンチ機能を採用。こちらはより多機能化が進み、ビーム砲兼有線クロー・アームの能力が付与されている。一方で、MSN-02 ジオングやMRX-009 サイコ・ガンダム系統のサイコミュ技術から発展したARX-014 ドーベン・ウルフは準サイコミュを採用し、腕部を有線アームとして使用する。また、背中に有線式のビーム反射兵器インコムを搭載するほか、強化人間仕様機ではアームの無線制御化がなされている。強化人間の搭乗とサイコミュの搭載を前提とした後のTR-6(レジオン仕様機で実装)でも、サイコミュ技術と融合した形でモビルビットの一種として無線誘導+自律制御でコンポジット・シールド・ブースターが使用された。こうした有線遠隔式兵器の有用性は遙か後の時代にも確認される。一例として、ザンスカール帝国が運用したZM-S14S コンティオの両肩に装備されたクロー・アーム兼ビーム・キャノンが有線式であったことが挙げられる。なお、後継機であるZMT-S34S リグコンティオでは前例に倣って無線化されている。