宇宙世紀0083年、ジオン公国軍残党デラーズ・フリートによってデラーズ紛争が引き起こされた。
紛争後、ジオン残党による反連邦活動を危惧した地球連邦軍は特殊部隊「ティターンズ」を結成する。
当時の地球連邦軍の主力MSは、一年戦争時に主力を務めたRGM-79 ジムの近代化改修であるRGM-79R ジムⅡへと移行されつつあった。
本機以前にもRX-80やRX-81など様々なオプションやバリエーションの試作や実験が行われたものの、いずれもコスト面から制式採用には至らず、実験的運用にとどまっている。
RGM-79N ジム・カスタムをベースに開発された機体で、設立当初のティターンズに配備された。
センサー類の強化や脚部への対人センサーの増設など、部隊の主任務や運用環境に合わせた改修が行われている点を特徴とする。
本機の運用ののちティターンズは地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクス社が共同で開発したRMS-106 ハイザックを配備。
これは地球連邦軍系と旧ジオン公国軍系の技術融合という側面以外にも、「ザク」に酷似した外観によるジオン残党への心理的効果を意図したことなどが理由として挙げられる。
その後、グリプス戦役時には、アナハイム・エレクトロニクス社からRMS-108 マラサイを供与されるが、ティターンズ内部では地球連邦軍の技術のみで開発された主力機を求める声も多かったと言われる。
そうした状況と前後してティターンズ、ひいては地球連邦軍の次期主力機開発計画である「TR計画」が開始されていたのである。
ティターンズが実施した[TR計画]で開発した試作MSの中の一機。
ジム・クゥエルをベースとしながら、多用なオプションパーツが用意されており、様々な任務に対応可能となっている。
また、この優れた拡張性は「TR計画」の更なる進展を促しただけでなく、機体により高度な運用性をもたらす結果となった。
特に[フルドド]を装着した[ヘイズル・ラー]は第三世代MSに匹敵する性能を有した。
RX-78 ガンダムの後継機として開発された試作MS。
開発はティターンズが主導し、旧ジオン公国軍系の技術者を排除して行われた。フレームや装甲の素材は旧来のチタン系セラミック複合材が使用されていたが、全身にムーバブル・フレームを採用するなど、以降のMS開発に大きな影響を与えた。
特にガンダムTR-Sの開発には、[ヘイズル]系で培われた強化装備の換装技術に加え、このムーバブル・フレームの技術も反映されている。
なお、グリーン・オアシスでの試験中の本機がエゥーゴに強奪されたことを契機として、グリプス事変が勃発することとなった。
「TR計画」において地球連邦軍の次期主力機となるべく開発が進められていた機体。
単機であらゆる任務に対応できる万能機として設計されているが、開発が遅延した結果、その簡易版として[ヘイズル・アウスラ]やバーザムが一次的な主力機として生産された。
そして、最終的に計画は[ウーンドウォート]の開発へと変更されることとなった。
なお、本図の形態は2機のフルドド・フレアを装着した[エルアライラー]である。
「TR計画」の最終形を完成させるために開発された小型MS。
[ヘイズル]の換装機構を拡大させた機体であり、「万能化換装システム」による強化パーツの組み換えにより、「全軍への配備機の規格統合」と「決戦兵器化」を可能とする。
グリプス戦役末期におけるティターンズの主力機のひとつ。
RMS-106 ハイザックやRMS-108 マラサイに代わる主力機として一般兵を中心に配備された。
TR計画の一環である「機種統合計画」において、ジム系のアップデート機として少数が生産された[ヘイズル・アウスラ]に次ぐ次世代主力機([ヘイズル・フレア])完成の遅れから、その簡易型的な仕様として開発された。世代の変化に合わせて設計を変更し、強化パーツの装着母体をガンダムMk-Ⅱにしている点が特徴である。
一例として、バルカン・ポッドなど、既存機との互換性が高い点が挙げられるが、これはTRシリーズで開発された換装システムを実装していためである。
その配備状況からTR計画の完成形であり、主力機となる予定だったガンダムTR-6の開発の遅れが窺える。
オプションの換装による高い運用性——。
このガンダムTR-1の特性とその高い評価を受けて、本機の次世代量産機化計画が発案・実行された。
そうした開発された機体が[ヘイズル・アウスラ]である。本機は、[ヘイズル改]の胴体ユニットを[プリムローズ]に換装されているほか、両肩もウェポンラッチを装備したタイプに変更されるなど、[ヘイズル]系MSとは外見、性能ともに大きく変化している点が特徴である。
また、[ヘイズル・アウスラ]はガンダムTR-6の試作機としての側面も持つ機体だが、その完成度の高さから、少数が生産されている。
本図のカラーリングの機体は実戦配備カラーとしてゼダンの門方面部隊に配備された。
RX-121 ガンダム[ヘイズル]は、地球連邦軍/ティターンズの次期主力機となるRX-123 ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]を開発するための試作機であった。
しかし、[ヘイズル]の換装システムの優秀さは、「TR計画」にさらなる拡大をもたらすこととなる。
それがRX-124 ガンダムTR-6[ウーンドウォート]の開発である。だが、計画の変更は開発の遅延を招くこととなった。
この結果、暫定的に[ウーンドウォート]のプロトタイプにあたる[ヘイズル・アウスラ]の増産と配備が行われ、その後、換装機構を省略した簡易型であるRMS-154 バーザムが限定的に生産されることとなった。
RX178 ガンダムMk-ⅡやRX-122[ ケルデルク]など、グリプス戦役期に運用された新型機の運用から得られた技術は、後のMS開発に大きな影響を与えた。それらは既存機の近代化改修にも利用されている。
このジムⅢもそうした機体のひとつで、推進器や武装などに各種新技術を投入し、ジムⅡの延命を図っている。
ジムⅡの近代化改修機であるため、目立った性能は見られないが、それでも中距離支援機としての運用をはじめ、U.C.0090年代中期にも後方基地での配備が確認されるなど、長期にわたって使用されている。
グリプス戦役での敗北により、ティターンズは壊滅したが、組織が使用していた機動兵器やその生産設備、そして運用記録の一部は残された。そのひとつが、TR計画機運用の拠点として地球軌道上に極秘裏に建設途中であった、小惑星宇宙基地SSD(スター・シップ・ダウン)である。
また、これ以外にも地球連邦軍は多数のMSなどを接収しており、その中には実際に配備された機体も存在した。
バーザムもそうした機体のうちのひとつで、エゥーゴが改修した仕様が存在した。また、後に地球連邦軍にも制式採用されたが、その際にはジェガンとパーツの互換性を重視した改修がなされており、頭部のゴーグル型センサーをはじめ、各部にその特徴が見受けられる。
これは高性能だが、ティターンズ製の機動兵器の使用を現場が嫌ったための処置と言われる。なお、本図はバーザムSSD実験仕様にあたる機体で、鹵獲・改修されたバーザムにフレアユニットを追加装備した、SSDにおける大気圏内降下運用実験仕様にあたる。
ジム系MSに代わる地球連邦軍の主力MSで、開発と生産はアナハイム・エレクトロニクス社が担当した。
バーザムやガンダムMk-Ⅱ、TRシリーズといったティターンズ機の技術と、ネロやネモといったアナハイム・エレクトロニクス社が開発した地球連邦軍の主力機系の技術の融合が図られている。
特に運動性の向上のためにフロント・スカートを廃し、大腿部前面に増加装甲を施すことで防御力を確保している。
このように本機は、これまでに培われてきた地球連邦軍系主力MS開発の技術の粋を集めた機体であり、マイナーチェンジを繰り返しながらU.C.0100年代まで使用され続けている。