音楽そして歴史散策:SSブログ

今を時めく日本人女性ジャズ・アーティストの世界デビュー作;Kenny Barron・Things Unseen [音源発掘]

梅雨が明けた途端の猛烈な暑さ[晴れ]、こうなることは覚悟はしていたものの、予想通りの暑さに包まれてみると、その不快感はその覚悟を遥かに越えるもの。

熱中症にならぬよう炎天下での外出を控え、水分補給を欠かすことないようにといろいろ予防に努めてはいるのですが、とは言ってもここまで来ると何が起きるかわからない!!!

とにかくこの暑さに負けぬよう日々体調管理にも留意して、皆さん共々この異常な暑さのこの夏を、無事に乗り切ることが出来ればと考えています。


とは言うものの、この暑さ、今年は梅雨の時期からも続いていたこともあってこの私、実は、ここのところ思うように頭が働かなず、何を聴いても何も浮かばなくなって、これまで続けて来たこのブログも完全なスランプ状態に陥ってしまっていたのです。

そこで、この夏は一時休稿とするつもりになっていたのですが、ところが、こうして腹をくくってしまったところ、今度はどうしたことか??、逆に、ならばこれを聴いてみろとのばかり、ネタの方が勝手に私の下へとやって来る始末。

これは、「勝手に休むなどとは許さない」と言う神のお告げなのか[爆弾][ぴかぴか(新しい)]

という訳の分からない話で、なんとかかんとか再始動することになったのですけど、今回は.........

私の下へ飛び込んで来たいくつかのネタの中で、一番気に入りよく聴いている、この作品をご紹介することに致しました。

kenny barron Thing Unseen.jpg


その作品は、1995年制作のピアニストKenny Barron のリーダー作”Things Unseen”です。

さて、本作のリーダーであるKenny Barronというピア二スト、1960年代の初めジャズの巨人Dizzy Gillespieのカルテットのメンバーとして世に出て以後、1967年には、自己の初リーダー作品” You Had Better Listen ”を発表、70年代以降は、Ron CarterやFreddie Hubbard、Chet Baker、Elvin Jones等、数多くの著名アーティストのサイドマンとして活躍、多くの名演を残しているのですが、中でも彼の名声を確固たるものにしたのは、1987年から1991年に在籍した、ボサノバを世界に広めたことでも知られるテナー・サックスの名手Stan Getzの下での活動。

そこで、Getzの最晩年を支え見送るかのように寄り添い、Getz最晩年の”Voyage”や最後の録音となった”People Time”等の傑作を生み出すに大きく貢献することになるのです。

そしてGetsがこの世を去って後は、コンスタントにリーダ-作品を発表、その傍らジュリアード音楽院で後進の指導に励むなど、現代ジャズ界に大きな影響を及ぼし続けて来たアーティストなのです。


しかし、今回取り上げた本作品は、そうした彼の作品の中でもあまり知られていない作品。
であれば、どうしてこの作品を取り上げたかというと、それは、冒頭のタイトルにある通り、この作品のレコーディングに参加していた、今を時めく日本人女性ジャズ・アーティストの存在。

その女性ジャズ・アーティストとは、今や世界的なアーティストとなったヴァイオリニストの寺井尚子。

実はこの作品、まだ日本では知る人ぞ知るという存在であった彼女の初レコーディング作品であると同時世界デビューとなったものなのです。

そして、さらには、彼女をレコーディングに招聘、渡米を促したのは、当のKenny Barronであるという事実に加え、このレコ―ディングのためBarronが、寺井尚子の他、呼び集めたメンバーの存在。
トランペットのEddie Henderson、ギターのJohn Stubblefield、サックスのJohn Scofieldと、当代きっての歴戦の名手たちが顔を揃えています。

そうした中での渡米、初レコーディング、果たして尚子はどんなボウイング捌きを見せてくれるのか。

これは聴かずには済ませられないと即座に聴き、そこから、溢れ出る彼女の緊張感ある豊かな響きに完全に惹きこまれてしまうことになった作品なのです。


それでは、その彼女プレイ、まずは1曲、ご一緒に聴いてみることに致しましょう。
曲は、"The Sequel"です。




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シンガーソングライターの殿堂の埋もれた名作; Carole King・City Streets [音源発掘]

7月入って、いきなり訪れた感のある猛暑の夏。
まだ、梅雨も明けていないのにこの暑さ。

そうした中で、私の職場のある埼玉県。
熊谷をはじめ関東でもトップクラスの暑さに見舞われることで知られる所で、職場周辺の暑さは熊谷ほどではないにせよ、私の住む船橋とは違ってかなり強烈。

特にそれを感じるのは、帰宅時、熱風吹く埼玉の職場を出て、電車に乗り我が家のある船橋の駅に着いて外に出た時に身をよぎり吹く風の心地良さ。
海に近い町であるためか、幾分ひやり感もあり、おかげで日中の灼熱地獄も忘れてホッと一息。

これが、翌日の暑さにも耐えうる鋭気の糧となり、日々をなんとか過ごすことが出来ているのですが、今回の作品は、そのホッと一息から思い浮かび、聴き始めたアーティストの作品を取り上げることに致しました。

そのアーティストは、女性シンガーソングライターの先駆けとしても知られるCarole King。
選んだ作品は、その彼女の1989年発表の作品”City Streets”です。

carole king city streets.jpg



Carole Kingと言えば、1971年にグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞した1970年発表の作品”Tapestry(邦題;つづれ織り)をはじめその翌年発表の”Music”や1974年発表の”Wrap Around Joy(邦題;喜びにつつまれて)等、1970年代発表の作品が名高く有名なのですけど.............。

今回、この作品選んだのは、それ等70年代の作品は、これまでかなり聴き親しんできたこともあり、一筋の風によって偶然にもKingの名が思い浮かんで来たという不可思議な巡りあわせであったことから、これまで聴いたことがなかった彼女の70年代以降の作品を聴いてみようとそのディスコグラフィに目を通してみたところ、見つけ大いに興味をそそられたことによるもの。

その興味とは、Eric ClaptonとBranford Marsalis、Michael Breckerの本作レコ-ディングへの参加。

Eric Claptonと言えばギターの神様と称されるロック界の伝説的アーティスト。
そしてBranford Marsalisは、80年代に弟でトランぺッターのWynton Marsalisと共に登場し、この時期、来たるべきジャズをけん引していた、新進気鋭のサックス奏者。
さらに、Michael Breckerは兄のトランぺッターのRandy Breckerと共に黎明期のファンクをけん引し、この作品の作成時には、現代最高のサックス奏者との呼び声が高かったアーティスト。

この超大物ともいえる三人の参加は、これまでとはまた違ったKingが聴けるに違いない考え、聴き始めることにしたものなのです。


それでは、こうして出会ったCarole Kingとは毛色の違うと感じるこの三人の大物プレヤーとの共演
果たして、彼女の紡ぐ音楽にどんな変化を持たしらしているのか??!

早速、お聴きいただくことに致しましょう。

曲は、Eric ClaptonとMichael Breckerが参加している演奏で、この作品のタイトル曲の”City Streets”です。




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