糖尿病・内分泌内科 | 市立ひらかた病院

診察料・部門糖尿病・内分泌内科

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医師・スタッフの紹介

常勤

氏名役職専門医等

柴崎 早枝子
(しばさき さえこ)
主任部長 兼
糖尿病センター長
・日本内科学会総合内科専門医
・日本内科学会指導医
・日本糖尿病学会専門医
・日本糖尿病学会研修指導医
・日本糖病学会近畿支部評議員
・大阪医科薬科大学内科学Ⅰ臨床教授
・小児慢性特定疾病指定医
・日本糖尿病・妊娠学会正会員
・医学博士
高本 晋吾
(たかもと しんご)
部長・日本内科学会総合内科専門医・指導医
・日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医・指導医
・日本医師会認定産業医
・枚方市役所健康管理医
小山 和也
(こやま かずや)
医員 
太口 瑞穂
(たぐち みずほ)
医員 
浦上 奈歩
(うらかみ なほ)
医員 

非常勤

氏名 役職 専門医等
堤 千春
(つつみ ちはる)
非常勤医員 ・日本内科学会総合内科専門医・指導医
・日本糖尿病学会専門医・研修指導医
坂根 貞樹
(さかね さだき)
非常勤医員 ・日本内分泌学会専門医・指導医
・日本甲状腺学会専門医

診療科の紹介

2022年4月より「糖尿病・内分泌内科」に名称変更し、2023年1月より「糖尿病センター」を設立しました。糖尿病を中心に、甲状腺・下垂体・副腎・副甲状腺・カルシウム代謝異常・電解質異常・肥満症などの内分泌代謝疾患全般を診療しています。また日本糖尿病学会、日本内分泌学会の認定教育施設として、診療内容の充実と将来を担う若手医師の育成にも力を入れています。特に糖尿病に関しては、2022年7月より日本糖尿病学会の認定教育施設Ⅰを取得しております。「糖尿病センター」に関しては関連リンクをご参照下さい。

関連リンク

糖尿病

あらゆる分野の糖尿病診療が可能ですが、当科が特に力を入れているのは、以下の3分野です。

①-1 血糖コントロール不良2型糖尿病の集約的治療
①-2 肥満2型糖尿病のインクレチン関連薬による治療
② 最新デジタルヘルスツールを用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール
③ 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の厳格な血糖コントロール
①-1 血糖コントロール不良2型糖尿病の集約的治療
 経口血糖降下剤を3種類以上内服してもHbA1c ≧ 8.0 %が継続する糖尿病、高血糖症状 (体重減少, 口渇, 多飲, 多尿) を伴い全身状態が悪化した糖尿病、高浸透圧高血糖症候群や糖尿病性ケトアシドーシスなどの急性合併症、悪性腫瘍・免疫膠原病・ステロイド投与・感染症を合併し血糖コントロールが悪化した糖尿病、糖尿病性大血管障害・細小血管障害を合併した糖尿病、厳格な術前血糖コントロールが必要な糖尿病、認知症や精神疾患を合併し食事療法が困難な糖尿病、いずれも大変治療が難しい糖尿病です。このような方々が日々、実地医家の先生のご紹介で当科を受診されます。入院にて糖尿病の急性期治療を行います。

 当科では、糖尿病の病態のみならず、高血糖症状・全身状態・合併症や併存疾患・認知機能・生活環境・日常生活動作 (ADL)・生活の質 (QOL)を加味して、お一人お一人に最適な糖尿病治療をご提案致します。他科・他職種と連携して2型糖尿病の集約的治療を提供します。

 糖尿病外来の初診は月~金まで随時受付 (午前診は2~3診体制、午後や緊急の場合は地域連携室を通じてお電話相談可)、糖尿病の急性期治療は勿論、血糖コントロール入院も随時受け付けております。糖尿病教育入院は、血糖コントロール・糖尿病教育・注射と血糖測定の手技取得 (必要な場合) と合併症精査・併存疾患検索・癌検査込みで5~13日程度 (入院期間は相談の上決定, 月午後か火午前から教育入院開始) です。専門外来 (インスリンポンプ外来、妊娠糖尿病外来、フットケア外来)は完全予約制です。

 当科ではインスリン製剤・GLP-1受容体作動薬・チルゼパチドなどの注射製剤は、「外来導入」が可能です。月~金まで毎日随時導入指導が可能です。当科の「糖尿病チーム医療」を支える医師(糖尿病専門医)、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師 (糖尿病療養指導士12名在籍)で、外来インスリン導入 (Basal-supported Oral Therapy, Basal-Plus, Basal-Bolus療法すべて可能)、GLP-1受容体作動薬・チルゼパチド導入、血糖測定導入 (SMBG, isCGM, rtCGMすべて可能)、栄養指導を実施します。熟練のスタッフが指導しますので、注射製剤+血糖測定の導入指導なら1.5~2時間で、栄養指導を含めても3時間ですべての指導を受けることができます。血糖コントロール不良の糖尿病では、経口血糖降下剤の内服加療から、注射製剤による糖尿病治療へのstep upが必要ですが、仕事、家事、育児や介護を理由に「入院ができない」患者様はたくさんいらっしゃいます。そのような方には、是非、当院の「外来導入」のシステムをご活用頂きたいと思います。(basal-bolus療法, CGMに関しては 2.最新デジタルヘルスツールを用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール の項目をご参照ください。CGMは2型糖尿病でも1日1回以上のインスリン注射を実施していることを条件に保険適応があります)。

 ただし、次のような患者様は入院しての注射製剤導入・急性期糖尿病治療となります。
・1型糖尿病が疑われる場合 
・全身状態不良、発熱、脱水傾向、摂食不良、感染症、他疾患合併、ステロイド投与中の場合
・認知機能低下、精神疾患合併、アルコール (大量飲酒) の関与がある場合
・高齢者 (≧ 70歳) 
・その他、インスリン注射や血糖測定の遵守に不安がある場合 
 このような患者様は合併症・併存疾患が多く、悪化・急変するリスクも高いため、他科と連携して入院にて集約的治療に当たります。できる限り患者様のご希望には沿いますが、すべての患者様で注射製剤の外来導入が可能でないことは予めご承知おきください。
①-2. 肥満2型糖尿病のインクレチン関連薬による治療

 近年、インクレチン関連薬 (下図参照) による2型糖尿病の治療が注目を浴びています。インクレチン関連薬の中でも特にGLP-1受容体作動薬と持続性GIP / GLP-1受容体作動薬は、血糖値の改善効果と共に、減量効果も期待され肥満2型糖尿病に対する有望な治療選択肢の1つであると言えます。しかし副作用として低血糖、消化器症状 (吐き気や下痢)、ごくまれに急性膵炎が認められるため、専門医による糖尿病診療下での使用開始が勧められます。

                                                  各製薬会社HPより写真引用

 肥満とは体格指数 (BMI=体重[kg]/ 身長[m]2)≧25のものと定義され、肥満に起因ないし関連する健康障害として2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、メタボリック関連脂肪性肝疾患、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などがあります。インクレチン関連薬は2型糖尿病治療薬ですが、体重が減ることで、これらの肥満に関連する疾患にも良い影響を及ぼすことが出来ます。当科ではすべてのインクレチン関連薬が使用可能です。食生活の改善も必須ですので、診察日に合わせて栄養指導も受けていただきます。

 糖尿病に関しては、様々なご要望に応じられる知識・技術・経験と人員が当科にはあります。北河内地区の、より良い糖尿病治療のために、今後もスタッフ一同頑張って参ります。

2. 最新デジタルヘルスツールを用いた1型糖尿病の緻密な血糖コントロール
 当科は1型糖尿病の診療に力を入れております。まずはリアルタイム持続血糖測定器およびその血糖解析システムについてご説明します。2024年8月現在、当科で使用可能な機種は以下の3種類です (下図参照)。
 リアルタイム持続血糖測定器 (rtCGM) によって得られた血糖値データをAmbulatory Glucose Plofile (AGP)という解析方法で読み解き、緻密な血糖コントロールを目指します。3機種すべてにアラート機能が搭載されており、低血糖防止・高血糖是正に非常に有効です。現在当院には100名の1型糖尿病患者様が通院中で、rtCGMセンサーを装着できない事情がある方以外全員がrtCGMを使用されております。
 また、当院では2021年5月よりFreeStyle リブレ®から得られた血糖値データをクラウドベースで管理するシステム「Libre view」を導入し、2024年8月よりDexcomG7® 対応のクラウドシステム「Dexcom CLARITY」も導入しました。1型糖尿病患者様は上腕背側あるいは腹部にrtCGMセンサーを装着し、同センサーから得られたセンサーグルコース値を個人所有のスマートフォンで読み取ります。スマートフォンの扱いが困難な高齢者は、専用の読み取り機であるLibreリーダー・Dexcomモニターで読み取ります。スマートフォン・Libreリーダー・Dexcomモニターで読み取られた血糖値データは、クラウドシステム「Libre view」「Dexcom CLARITY」を介して医療機関と共有され、日々の診療に役立てられます。2型糖尿病でも1日1回以上のインスリン注射の実施を条件に保険適応があります。当科はrtCGMの導入件数において、大阪府下でもトップクラスの医療機関です。
Libre view (クラウドベースの糖尿病管理システム, Abbot社公式H.P.より引用)
リブレリーダーもしくは個人所有のスマートフォンで読み取った血糖関連データ (センサーグルコース値) は、Libre viewを介して医療機関と共有され、日々の診療に役立てられます。
AGPレポートの一例 (Abbot社公式H.P.より引用)
FreeStyleリブレ®によるisCGMによって得られた血糖トレンドをAmbulatory Glucose Plofile (AGP)という解析方法で読み解きます。
               
 
AGPの詳細説明 (糖尿病ネットワーク Diabetes Net. H.P.より引用)
 AGPレポートの詳細な評価 (meanSG値, GMI, %CV, TIR, TBR, TAR)を基に、インスリン注射や内服薬を細かく調整し、患者様お一人お一人に最適な治療をご提供します。低血糖に十分注意しながらもより良い血糖コントロールを追求致します。生活スタイルに応じてインスリン投与量, 投与タイミング, アラート設定を個別にアドバイスし、緻密な血糖コントロールを目指します。

 また、指先を穿刺して血糖自己測定 (SMBG) をされている患者様には, MEQNETTM SMBG viewerで血糖値データを解析します。MEQNETTM SMBG viewerを活用することで、主治医が自己管理ノートに羅列した血糖値を目で追って評価するより、はるかに精密で客観的な血糖値データが得られます。患者様も自己管理ノートに血糖値を記載する手間がなくなり、「楽になった」とご好評を頂いております。2型糖尿病でも、何らかの注射製剤の実施を条件に保険適応があります。
 さらに、患者様の自己管理を手助けするPersonal Health Record (PHR) もお勧めしています。ご希望があればアプリのダウンロード・設定・登録まで当院臨床検査技師が指導します。患者様自身が日々の血圧・体重・血糖値などを入力することで、生活習慣の改善につながります。
 次に当院のインスリン治療についてご説明します。1日4回のインスリン頻回注射療法であるbasal-bolus療法を基本として、SGLT2阻害剤の併用、カーボカウント指導、スマートインスリンペンによる注射履歴の確認と薬剤費軽減、ultra-rapid insulin製剤 (ルムジェブ®, フィアスプ®)の使用が可能です。重症低血糖の既往がある患者様のご家族には点鼻グルカゴン製剤 (バクスミー®)の情報提供と処方を致します。また、補正インスリン、責任インスリン、残存インスリン、目標血糖値、インスリン効果値、インスリン/カーボ比を評価し、患者様に丁寧にご説明致します。毎回の診察では、食後血糖値を含めたすべての時間帯の血糖値を確認し、HbA1cを越えた“より良い”血糖コントロールを目指しながらも低血糖は常に意識します。リアルタイム持続血糖測定器を活用して、日中の無症候性低血糖や夜間低血糖も見逃さないよう治療します。

 当院ではインスリンポンプはMedtronic社 (ミニメド™780G®) およびTermo社 (MEDISAFE WITH®)いずれも自施設での導入が可能です。CSII (Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)は勿論、AHCL (Advanced Hybrid Closed Loop) 療法までstep upが可能です。2024年8月現在、15名の1型糖尿病患者様がインスリンポンプ療法を選択されております。インスリンポンプ治療は、より良い血糖コントロールを目指す1型糖尿病患者様にとって、非常に有効な選択肢の1つです。ご希望の患者様は、担当専門医より個別で説明を受けることができます。インスリンポンプに関しては、毎週水曜日午前に「インスリンポンプ専門外来」を完全予約制で実施しております。インスリンポンプに関しても当科では外来導入が標準です。
ミニメド™780G® Medtronic社H.P.より引用        MEDISAFE WITH® Termo社 H.P.より引用
1型糖尿病、1日4回ペン型インスリン製剤の頻回注射 (basal-bolus) 療法からインスリンポンプ (CSII+isCGM) 療法に切り替えた際のAGPレポートの1例、暁現象の改善と共に夕食前の低血糖も減少している。
1型糖尿病、basal-bolus療法 → インスリンポンプ療法 (CSII+isCGM) → インスリンポンプ療法 (AHCL+rtCGM) に切り替えた際のAGP reportの1例、GMI 7.7 → 6.3 %、TIR 48 → 91 %と血糖コントロールの改善を認める。
 ただし、安全にインスリンポンプを外来導入するためには、当科の「インスリンポンプ外来導入のための工程表 (ポンプチェックシート)」に従い通院し、予定されたレクチャーやトレーニングをすべて受けていただくことが条件です。具体的には、ポンプ導入前に ① インスリンポンプレクチャー基礎編+実践編 ② デモ機によるポンプ実践トレーニング ③ カーボカウントの3つの講義を受けます(各1時間)。講義終了後に患者様の意思を最終確認し、外来インスリンポンプ導入となります。導入週は水午前2時間・金午後1時間の2回通院、1週間後の水午前に通院して頂いたら、その次は1か月後の再診となります (2週間で3回通院していただくだけのご負担です)。導入月はCSII+rtCGMでポンプ操作に慣れて頂き、患者様のご希望に沿ってAHCL療法へのstep upを検討します。必ずしもAHCL療法までstep upしなければいけないわけではありません。我々は医療的なアドバイスは致しますが、患者様のご希望を最大限に尊重いたします。また、ポンプ治療にかかる医療費の説明もしっかり致します。外来でのポンプ導入にご不安な方は入院しての導入も可能ですのでご相談ください。

 インスリンポンプに閉塞トラブルはつきものですが、自力できちんとインスリン充填およびカニューレ交換ができるまで何度でも個人指導を行います。閉塞するには必ず理由があります。その理由を理解し、回避できるようトレーニング致します。そしてポンプ閉塞時の対応に関しては、最重要ポイントですので、当科オリジナルの詳細なトラブルシューティングマニュアルをお渡しして、ご理解いただけるまで徹底的に指導します。それでも不測の事態が発生する可能性を考慮し、当院救急外来スタッフともインスリンポンプの勉強会を行っております。当院では緊急時のインスリンポンプの初期対応に困ることはありません。

 導入前の入念なポンプトレーニング・ポンプ導入チェックシートを活用した抜けのない丁寧な指導・万全のトラブルシューティング対策、そして不測の事態を想定した糖尿病チーム医療を整えての外来インスリンポンプ導入です。インスリンポンプの進化は日進月歩です。Basal-bolus療法からインスリンポンプ治療に切り替えて、血糖コントロールが劇的に改善し、長年苦しんだ低血糖から解放された患者様を数多く見て参りました。若年~中壮年の1型糖尿病、妊娠出産を視野に入れておられる女性1型糖尿病、膵全摘出後の患者様には、是非、インスリンポンプ療法を糖尿病治療の選択肢の1つとしてお考え頂きたいと思います。1型糖尿病の皆様は、その疾患の希少性故、通院先選びにご苦労なさることがあると思いますが、どうぞ安心してご通院頂きますよう宜しくお願い申し上げます。
妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の厳格な血糖コントトロール
 近年の晩婚化、出産年齢の上昇に伴い妊娠糖糖尿病・糖尿病合併妊娠の患者様は増加傾向です。妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に関しては、2014年に糖尿病・内分泌内科と産婦人科で第1回合同カンファレンスを開催したのを皮切りに、現在まで綿密に情報を共有し診療しております。
 2019年11月より、当院産婦人科に通院する妊婦様は、全例、妊娠中期に50gグルコースチャレンジテスト (50gGCT) を実施する体制を当院産婦人科が構築しました。妊娠初期の随時血糖≧100 mg/dLと共に、妊娠中期の50g GCT≧140 mg/dLの結果を得た場合は、直ちに75gブドウ糖負荷テストを実施し、妊娠糖尿病の最終診断となります。妊娠糖尿病と診断された場合には、当科を紹介受診していただき、産婦人科の定期健診と共に妊娠糖尿病の治療を受け、安心安全なお産を目指します。
 当科が妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の診療に取り組み始めてから10年間が経ちました。現在では妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠は40~50症例/年へと増加しております。枚方市のみならず、寝屋川市や交野市など広域なエリアからの診療要請を頂いております。妊娠という特殊な環境下で、母体の安全と胎児の健やかな成長を支えるために血糖・血圧・体重を管理し、産科医療を支える一員になるということは大変やりがいのある医療です。そして、高齢者が多い糖尿病・内分泌内科領域では極めて珍しい、次世代への貢献につながる医療です。これからも北河内地域の妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の治療を担う重要拠点の一つとしての役割を全うしていきたいと思います。
 同疾患を治療するにあたり、インスリン注射を必要とする顕著な食後高血糖と、就寝中も母体から胎児にブドウ糖を供給することによる夜間低血糖が同時に存在する独特の血糖プロファイルを理解する必要があります。また、妊娠週数によってダイナミックに変化するインスリン代謝、ケトーシスに傾きやすい妊婦の代謝状況、肥満・高血圧を合併した妊娠糖尿病の管理は、同疾患に精通した糖尿病内科専門医によってなされるべきです。
当科では、特有の厳格な血糖管理基準とその評価方法を遵守します。妊婦に使用可能なインスリン製剤の適切な選択とその使い方、スマートインスリンペンによる注射履歴の確認、SMBGとrtCGMを駆使し、可能な限り正常耐糖能を目指して厳格な血糖管理を行います。妊娠週数に応じたきめ細やかな栄養指導 (月1回の栄養指導を出産直前まで継続)を通じて分割食の指導と実践、周産期の血圧・体重も管理し、妊婦様にはその必要性をわかりやすく指導します。そして診察毎に産婦人科の診療記録を確認し、母体と胎児の全体像の把握に努めます。1型糖尿病妊婦様はインスリンポンプ治療による周産期血糖管理を行います。妊娠糖尿病・1, 2型糖尿病合併妊娠の出産も在胎週数36週以上・出生体重2500g以上なら当院で出産可能です。産後の耐糖能評価、授乳期の血糖管理も行います。ご希望の妊婦様には、1週間程度の「妊娠糖尿病教育入院」を実施しております。
isCGMと連動したスマートインスリンペンの活用 (isCGM, ノボペンエコー®プラス), 各製薬会社H.P.より引用
 また、当院は助産制度の指定病院であるため、周産期ハイリスク妊娠(若年妊娠、低収入、低学歴、未婚、妊娠葛藤、家庭内暴力、被虐待、精神疾患合併、不規則な食事による肥満・痩せ、喫煙・飲酒、不定期通院、飛び込み受診、外国人) に耐糖能異常を合併した妊婦が相当数来院されます。これら複雑な生活環境をもつ妊婦に対しては、糖尿病内科医、産婦人科医、精神科医、保健師、助産師、医療ソーシャルワーカー (MSW)らが「周産期ハイリスク妊婦会議」を定期的に開催し、必要あれば児童相談所とも情報共有して、出産までチーム医療でサポートする体制を取っております。

 挙児希望の糖尿病女性、2型糖尿病合併 (肥満、インスリン抵抗性合併) 不妊症に対するプレコンセプションケア(妊娠前の血糖コントロール)にもしっかり対応します。2022年4月より不妊治療に公的医療保険が適応されるようになり、妊婦の高齢化も相まって対象患者様が増加しております。食事・運動療法を前提とし、適応があればプレコンセプションケアにメトホルミンを考慮します。ただし妊娠が判明したら、全例でインスリン治療に切り替えます。

甲状腺・内分泌疾患

 甲状腺機能異常、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)の患者の皆様には、必要な検査を選択して診断を確定し、疾患と治療法に関する説明を十分に行ったうえで、適切な治療を行います。近年、甲状腺の結節性病変が見つかる頻度が増加していますが、超音波や CT、必要に応じて各種シンチグラムなど画像診断とエコーガイド下の穿刺吸引細胞診で腫瘍の良性悪性を診断し、治療方針、手術適応を決定します。 内分泌疾患に関しては下垂体機能不全に対しての負荷試験を行い、ホルモン欠乏の確定診断に努めます。適切な補充療法、原因疾患の治療により QOL 改善を目指します。近年増加傾向にある、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) による免疫関連有害事象 (irAE) (糖尿病・内分泌障害)に関しても随時受け付けます。

診療実績

症例数 令和5年4月~令和6年3月

入院患者数

当該期間中の糖尿病内科・内分泌内科の入院患者 (延べ人数)  年間総数 8,683 名 / 年 
※1, 2型糖尿病, 妊娠糖尿病に対する糖尿病教育入院、糖尿病の急性合併症(糖尿病性ケトアシドーシス, 高浸透圧高血糖症候群, 全身状態が悪化した高血糖, 感染症を合併した高血糖, 低血糖昏睡, 大血管・細小血管障害を合併した高血糖, 術前血糖コントロール入院など)、内分泌疾患の急性期治療 (バセドウ病, 橋本病, 副腎不全, 下垂体機能低下症など)、糖尿病・内分泌疾患のみの入院患者が対象、平均入院期間13日

外来定期通院患者数(延べ人数)

糖尿病・内分泌内科	                    年間総数 9,781 名 / 年 (約815 名 / 月)
・インスリン製剤の自己注射         年間総数 2,625 名 / 年 
・インクレチン関連注射製剤の自己注射    年間総数   934 名 / 年
・インスリンポンプ治療           年間総数    78 名 / 年
・血糖測定 (SMBG)                             年間総数 1,606 名 / 年
・血糖測定 (rtCGM)                            年間総数 1,060 名 / 年
・甲状腺エコー検査             年間総数  218 件 / 年

講演会・学会活動、論文発表

令和5年1月 ~ 令和5年12月

講演会活動
・糖尿病治療の進歩
  柴崎 早枝子, 第23回市民公開講座 (市立ひらかた病院講堂にて開催) 2023.1.20
  ・インスリン治療の基礎知識
  柴崎 早枝子, 第7回生涯教育研修会, 枚方市薬剤師会 2023.2.25
  ・当院における外来インスリンポンプ導入とその後の支援体制について
  柴崎 早枝子, 第66回日本糖尿病学会年次学術集会, ミニメド™770GシステムHCL
  使用経験に関する小セミナー, Medtronic社 2023.5.12
 ・Hybrid Closed Loop 症例提示
  柴崎 早枝子, 北摂インスリンポンプを語る会, Medtronic社 2023.9.30
  ・「2型糖尿病の薬物治療」について~実地医家の先生のお悩みにお答えします~
  柴崎 早枝子, 北河内医師会学術講演会 2023.11.11
  ・糖尿病治療のIT化~Digital Health Tool を活用した糖尿病治療について~
  柴崎 早枝子, Abbot Japan Diabetes Care Expert Seminar 2023.11.28
  ・インスリンポンプの基礎知識
  柴崎 早枝子, 市立ひらかた病院地域連携特別企画 (天の川病院講堂にて) 2023.12.13
学会活動
・社会的リスクを有する妊娠糖尿病妊婦の臨床像について
 柴崎 早枝子 第66回日本糖尿病学会年次学術集会 2023.5.12
・発症から3か月後までインスリン分泌の詳細な変化を観察し得た劇症1型糖尿病の1例
 西川 奈歩, 柴崎 早枝子 第60回日本糖尿病学会近畿地方会 2023.10.14
・丘疹-紅皮症が先行して発症した急性発症1型糖尿病の1例
   八幡 直輝, 柴崎 早枝子 第60回日本糖尿病学会近畿地方会 2023.10.14
・ヒドロコルチゾン補充で低カリウム血症を繰り返したACTH単独欠損症の1例
 伴 有沙美, 柴崎 早枝子 第242回日本内科学会近畿地方会 2023.12.9
論文発表
・ SGLT2阻害薬内服中,十二指腸炎を契機に正常血糖DKAを発症した未治療バセドウ病合併SPIDDM例
 細井 恵理子, 柴崎 早枝子 糖尿病 66巻 (2023) 3号 p.208-214

地域医療機関の先生方へ

「糖尿病・内分泌内科」として常勤医5名、非常勤医2名の体制で診療に当たっております。
常勤スタッフの年齢は20~40歳代と若く、皆伸び盛りの働き盛りです。
「糖尿病チーム医療」を支えるコメディカルも勉強熱心で心強い限りです。
北河内のより良い糖尿病治療に貢献するため一生懸命頑張ります。
皆様からのご紹介をお待ち申し上げております。

専門外来(予約制)

・糖尿病・内分泌内科・・・・・・・・・・月~金曜日午前診(随時受付)
・インスリンポンプ専門外来・・・・・・・水曜日午前(完全予約制、柴崎)
・妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠専門外来・・月・火・木曜日午前診 (柴崎)

検査

  • 甲状腺・副甲状腺超音波検査……木曜日午後 (完全予約制, 甲状腺専門医が実施)
  • 穿刺吸引細胞診……木曜日午後 (完全予約制, 甲状腺専門医が実施)

指導教室

・糖尿病教育入院……月午後か火午前に入院 (入院日数5~13日, 要相談)
・個別栄養指導……随時実施(予約制、InBodyによる体組成測定込み)
・糖尿病透析予防指導……随時受付 (糖尿病外来の診察と合わせて実施)
・フットケア外来…第1金曜日午前 (完全予約制、フットケア研修を履修した 専任看護師が対応)

外来案内