木を切る人
その人は向かいの賃貸マンションのお掃除係の女性だった。
お掃除係と言うのは、あまり人気のある仕事ではないらしく、年配の人が多いのだが、その人は掃除係にしては若めで、50代前半と思われた。
きれい好きのようで、自分の管轄の範囲だけでなく、くうみんの住むマンションの側まで掃除してくれて、苔取りなんかもしてくれていた。
ある日、ふと見ると、うちのマンションの木を切っていた。
道路にはみ出していたかしら?まあ、切ってくれるのはありがたいことだと思って見ていた。
ある日、その人に声をかけてみた。
「いつも木を切ってくださっていたんですね。ありがとうございます」
「あれ、見ていました?」
「ええ。植木屋さんでバイトでもしていたんですか?」
こういったことは専門の知識がないと、できないと思っていたので、聞いてみた。
「いえ、木を切るのが好きなんです」
「あら、そうでしたか」
ありがたいと思っていたのはくうみんだけではなく、くうみんと同じマンションに住む男性も、たまに缶コーヒーの差し入れをしていたらしい。
そうか、木を切るのが好きなんだ。そういう人もいるのね。そんな風に思い、その人が木を切るのは、いいことだと信じていた。
しかしある日のこと。
くうみんと同じスポーツジムに通う、近所に住む女性が憤慨しながら話しかけてきた。
「あのマンションの掃除の女性、いるじゃない?」
「ええ、知っていますけど、何かあったんですか?」
「うちのムラサキシキブ、勝手に切っちゃったのよ!」
話を聞いてみると…
朝、ごみを出そうと外に出たら、あの掃除の女性がいた。見ると、足元にムラサキシキブの木がごっそり…
「ちょっと!あなた、勝手なことしないでよ!」
敷地の中のムラサキシキブを勝手に切ってしまったらしい。
「道路にはみ出しているからとかなら、まだわかるわよ。そうじゃなくて敷地の中にあるのに、切ってしまったの。仮に道路にはみ出していたとしても、事前に声をかけるべきじゃない?」
「まあ~、ひどいですね」
後で見に行ったが、剪定するというレベルではなく、根元から20センチくらいの所でパッツンと切ってしまって、葉っぱが一枚も残っていない。
こりゃ~、まずいわ。
他の人にも聞くと、いろいろなところで木を切っているらしく、近くのお店や、個人の家の木を勝手に切っているらしい。
「Kさんちの木も切ろうとしたけど、未遂だったって」
「kさんの家の庭木に手を出すなんて、なんと恐ろしい!」
kさんはうるさ型の爺さんで、何かとがめることはないかと家の周りの道路をいつもうろうろしている。
くうみんも、自分の家が出すべきゴミ置き場に出そうとしたら、ゴミ回収は行ってしまった後だったので、近くのまだ回収していない場所に出そうとしたら、
「そこはあんたらの所じゃないからダメ!」
と言われたことがある。
本当はダメだってことは分かっているけど、こんなことは近所なんだし、多少の融通は利かせて欲しい。
その時に実はあの、掃除係の女性が、助けてくれたのだった。
やり取りを見ていたくだんの女性、
「頭ごなしにダメと言うのは良くない!」
kさんは、さんざん文句を言って、
「今回に限り、出すのもやむを得ない。あとで町内会長に連絡するように」
「はい、わかりました」
ということでやっとゴミ出しができた。
この時の恩も感じていたんだけど…
ちなみに、今更連絡しても、町内会長も困るだけと思ったので、連絡はしなかった。
その、うるさ型のkさんちの庭木に手を出すなど、なんてこった!
「それでね、あの人、後でお金持ってきたの。私は受け取らなかったんだけど、主人が受け取ってしまって」
「ヘ~」
「いくらだと思う?2千円よ!」
「2千円ですか~!」
それくらいの金額なら、お菓子か果物でも持って行った方がいいのではないか?お金を出すのなら、5千円以上ではないと格好がつかないのではないか?
そう言えば、うちのマンションの木…2、3本立ち枯れているのがあるけど、それは間違った剪定をしたからかもしれない。
マンションの木は、自分が植えた木ではないから、勝手に切られてもそんなに気にならないけど、これが自分で植えた木なら、勝手に切って欲しくない。枯れてしまったら、なおさらだ。
もし、木を切りたいのなら、やはり事前に「切っていいですか?」と、断らなければ。
ぼうぼうになって困っている、ぜひ切って欲しいという人もいるかも知れない。
結構いろいろなところで衝突している噂もある。
しかし、そんなに悪い人ではないと思うので、今度切りたくなったら、ぜひ断ってからにしてちょうだいませ。
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お掃除係と言うのは、あまり人気のある仕事ではないらしく、年配の人が多いのだが、その人は掃除係にしては若めで、50代前半と思われた。
きれい好きのようで、自分の管轄の範囲だけでなく、くうみんの住むマンションの側まで掃除してくれて、苔取りなんかもしてくれていた。
ある日、ふと見ると、うちのマンションの木を切っていた。
道路にはみ出していたかしら?まあ、切ってくれるのはありがたいことだと思って見ていた。
ある日、その人に声をかけてみた。
「いつも木を切ってくださっていたんですね。ありがとうございます」
「あれ、見ていました?」
「ええ。植木屋さんでバイトでもしていたんですか?」
こういったことは専門の知識がないと、できないと思っていたので、聞いてみた。
「いえ、木を切るのが好きなんです」
「あら、そうでしたか」
ありがたいと思っていたのはくうみんだけではなく、くうみんと同じマンションに住む男性も、たまに缶コーヒーの差し入れをしていたらしい。
そうか、木を切るのが好きなんだ。そういう人もいるのね。そんな風に思い、その人が木を切るのは、いいことだと信じていた。
しかしある日のこと。
くうみんと同じスポーツジムに通う、近所に住む女性が憤慨しながら話しかけてきた。
「あのマンションの掃除の女性、いるじゃない?」
「ええ、知っていますけど、何かあったんですか?」
「うちのムラサキシキブ、勝手に切っちゃったのよ!」
話を聞いてみると…
朝、ごみを出そうと外に出たら、あの掃除の女性がいた。見ると、足元にムラサキシキブの木がごっそり…
「ちょっと!あなた、勝手なことしないでよ!」
敷地の中のムラサキシキブを勝手に切ってしまったらしい。
「道路にはみ出しているからとかなら、まだわかるわよ。そうじゃなくて敷地の中にあるのに、切ってしまったの。仮に道路にはみ出していたとしても、事前に声をかけるべきじゃない?」
「まあ~、ひどいですね」
後で見に行ったが、剪定するというレベルではなく、根元から20センチくらいの所でパッツンと切ってしまって、葉っぱが一枚も残っていない。
こりゃ~、まずいわ。
他の人にも聞くと、いろいろなところで木を切っているらしく、近くのお店や、個人の家の木を勝手に切っているらしい。
「Kさんちの木も切ろうとしたけど、未遂だったって」
「kさんの家の庭木に手を出すなんて、なんと恐ろしい!」
kさんはうるさ型の爺さんで、何かとがめることはないかと家の周りの道路をいつもうろうろしている。
くうみんも、自分の家が出すべきゴミ置き場に出そうとしたら、ゴミ回収は行ってしまった後だったので、近くのまだ回収していない場所に出そうとしたら、
「そこはあんたらの所じゃないからダメ!」
と言われたことがある。
本当はダメだってことは分かっているけど、こんなことは近所なんだし、多少の融通は利かせて欲しい。
その時に実はあの、掃除係の女性が、助けてくれたのだった。
やり取りを見ていたくだんの女性、
「頭ごなしにダメと言うのは良くない!」
kさんは、さんざん文句を言って、
「今回に限り、出すのもやむを得ない。あとで町内会長に連絡するように」
「はい、わかりました」
ということでやっとゴミ出しができた。
この時の恩も感じていたんだけど…
ちなみに、今更連絡しても、町内会長も困るだけと思ったので、連絡はしなかった。
その、うるさ型のkさんちの庭木に手を出すなど、なんてこった!
「それでね、あの人、後でお金持ってきたの。私は受け取らなかったんだけど、主人が受け取ってしまって」
「ヘ~」
「いくらだと思う?2千円よ!」
「2千円ですか~!」
それくらいの金額なら、お菓子か果物でも持って行った方がいいのではないか?お金を出すのなら、5千円以上ではないと格好がつかないのではないか?
そう言えば、うちのマンションの木…2、3本立ち枯れているのがあるけど、それは間違った剪定をしたからかもしれない。
マンションの木は、自分が植えた木ではないから、勝手に切られてもそんなに気にならないけど、これが自分で植えた木なら、勝手に切って欲しくない。枯れてしまったら、なおさらだ。
もし、木を切りたいのなら、やはり事前に「切っていいですか?」と、断らなければ。
ぼうぼうになって困っている、ぜひ切って欲しいという人もいるかも知れない。
結構いろいろなところで衝突している噂もある。
しかし、そんなに悪い人ではないと思うので、今度切りたくなったら、ぜひ断ってからにしてちょうだいませ。
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