おじさん母入院す
その日はおじさんが夜、飲み会なので、くうみんは勝手気ままな夕べを満喫していた。亭主元気で留守がいいとはよく言ったものだ。自営のおじさんはいつも家にいるので、たまに一人になるとのんびりできていい。
夕食はアボカドとマグロネギトロ、新玉ねぎスライス、トマトを盛って、新ニンニクの効いた思い切り臭いドレッシングをかけたカルパッチョを作ったが、その他は冷蔵庫の中の残り物を総ざらえするつもりだ。
22日は夏至で、その翌日であるその日も、7時過ぎまで明るいはずなので、5時ごろランニングに出かけ、フィットネスクラブの風呂に入って帰宅したのは8時を過ぎていた。
一人でニンニクの効いた思い切り臭いカルパッチョを肴にビールを飲んでいると、いきなり電話がなった。時計を見ると、もう10時になる。こんな時間に誰だろう、と思いながら出ると、おじさん母が入居しているホームの施設長だった。
「もしもし、何回か電話をしたのですが」
聞くと、義母が脳梗塞の発作を起こして、救急車で緊急入院したと言う。施設長は付き添いで、今病院からかけているらしい。
いよいよか、と思った。
最近のうちの不思議ちゃんは、おじさん方の祭壇にある「ご先祖様の家」のふたが時々開いていることだ。何もしていないのに、どうしたんだろうと思ったが、義母に「早く来い!」と言っているのかも…
「それでですね、今、個室しか空いていないので、お母様は個室に入っているのですが、よろしいでしょうか?」
ここで仕方ないですね、などと言ってはいけない。
「それについてはいいとも悪いとも答えないでください。私から言いますから」
こんな遅い時間まで付き添ってもらった上に施設長に個室料金の交渉までお願いするのはあまりにも申し訳ない。こっちがしなくては。
「それでは私、帰りますので後程先生から電話があると思います」
「まあ、こんな遅い時間まで、ありがとうございます」
しばらくすると医師から電話があった。脳梗塞の発作で何日か入院が必要だそうで、CTを撮ったとか、今までした検査の内容を説明してくれた。
「それでですね、今個室しか空いていないのですが、個室料金は1万5千円なのですが、よろしいでしょうか?」
キター!個室料金。
「1万5千円!とても払えません」
「それではですね、空き次第と言うことになりますが差額ベッド代千500円の部屋があるのですが」
これなら払えるだろうと言わんばかりの口調だが、これで屈するようなくうみんではない。
「千500円ですか?払えなくもないですが、義母を預けるのに、かなり無理しているものですから」
「そうですか、ではこの話はまた明日と言うことで」
「よろしくお願いします」
いつもは飲み会があると言っても9時ごろには帰るのに、今日に限っておじさんが帰って来たのは11時過ぎだった。酔っぱらって電車を乗り過ごしたらしい。くうみんの報告を受けると、
「う~ん、いよいよか」
と、うなった。
翌日、押っ取り刀で病院に赴いて、義母の様子を見ると、なるほどいつもよりは反応が鈍いが、そんなに悪くはなさそうだ。医師の説明でも、1週間ほどの入院で食べ物を飲み込めるように、リハビリをするのが目的らしい。
「よろしくお願いします」
入院の手続きでは、こいつらから金は取れないと思ったのか、個室ではあるが、差額ベッド代は無しと言うことにしてくれた。
くうみんはこの話を翌日お見舞いに来たおじさんのお姉さん方に自慢げに話した。
「まあ、くうみんさんよくやったわ!」
「へっへ~、お姉さん方、それほどでも~」
退院は30日と言うことだ。それまでにどうにか食べ物を受け付けるようになればいいのだが。
これからちょっと目が離せない日々が続きそう。
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22日は夏至で、その翌日であるその日も、7時過ぎまで明るいはずなので、5時ごろランニングに出かけ、フィットネスクラブの風呂に入って帰宅したのは8時を過ぎていた。
一人でニンニクの効いた思い切り臭いカルパッチョを肴にビールを飲んでいると、いきなり電話がなった。時計を見ると、もう10時になる。こんな時間に誰だろう、と思いながら出ると、おじさん母が入居しているホームの施設長だった。
「もしもし、何回か電話をしたのですが」
聞くと、義母が脳梗塞の発作を起こして、救急車で緊急入院したと言う。施設長は付き添いで、今病院からかけているらしい。
いよいよか、と思った。
最近のうちの不思議ちゃんは、おじさん方の祭壇にある「ご先祖様の家」のふたが時々開いていることだ。何もしていないのに、どうしたんだろうと思ったが、義母に「早く来い!」と言っているのかも…
「それでですね、今、個室しか空いていないので、お母様は個室に入っているのですが、よろしいでしょうか?」
ここで仕方ないですね、などと言ってはいけない。
「それについてはいいとも悪いとも答えないでください。私から言いますから」
こんな遅い時間まで付き添ってもらった上に施設長に個室料金の交渉までお願いするのはあまりにも申し訳ない。こっちがしなくては。
「それでは私、帰りますので後程先生から電話があると思います」
「まあ、こんな遅い時間まで、ありがとうございます」
しばらくすると医師から電話があった。脳梗塞の発作で何日か入院が必要だそうで、CTを撮ったとか、今までした検査の内容を説明してくれた。
「それでですね、今個室しか空いていないのですが、個室料金は1万5千円なのですが、よろしいでしょうか?」
キター!個室料金。
「1万5千円!とても払えません」
「それではですね、空き次第と言うことになりますが差額ベッド代千500円の部屋があるのですが」
これなら払えるだろうと言わんばかりの口調だが、これで屈するようなくうみんではない。
「千500円ですか?払えなくもないですが、義母を預けるのに、かなり無理しているものですから」
「そうですか、ではこの話はまた明日と言うことで」
「よろしくお願いします」
いつもは飲み会があると言っても9時ごろには帰るのに、今日に限っておじさんが帰って来たのは11時過ぎだった。酔っぱらって電車を乗り過ごしたらしい。くうみんの報告を受けると、
「う~ん、いよいよか」
と、うなった。
翌日、押っ取り刀で病院に赴いて、義母の様子を見ると、なるほどいつもよりは反応が鈍いが、そんなに悪くはなさそうだ。医師の説明でも、1週間ほどの入院で食べ物を飲み込めるように、リハビリをするのが目的らしい。
「よろしくお願いします」
入院の手続きでは、こいつらから金は取れないと思ったのか、個室ではあるが、差額ベッド代は無しと言うことにしてくれた。
くうみんはこの話を翌日お見舞いに来たおじさんのお姉さん方に自慢げに話した。
「まあ、くうみんさんよくやったわ!」
「へっへ~、お姉さん方、それほどでも~」
退院は30日と言うことだ。それまでにどうにか食べ物を受け付けるようになればいいのだが。
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