病院へ行く日
こんな検査は頼んでいないが、漢方の先生がオーダーしているので仕方なくしている。採血が終わるといつものように庭に行こうとしたら、窓に目隠しが貼ってある。ドアには、出入り禁止の張り紙が。
「放射線棟を工事中です。ご迷惑をかけします」
ふ~ん、この庭、気に入っていたのになくなっちゃうのか。狭苦しくなるなあ。
入院していた時は庭に良く行った。食用になる「アミタケ」を見つけたこともある。運動不足解消のため、敷地内を散策する患者は多かった。
持ってきた本を読んだり、病院内をぶらぶらしたりして時間を潰す。
「もしもし」
優しそうなおぢさんに呼び止められた。聞くと、「病院友の会」勧誘だ。こういった会はどうもこのひねくれものくうみんとしては、
「全摘手術は怖くないですよ」
とか、
「抗がん剤、皆していますからね、大丈夫」
とか、怖がる新人患者を病院側の言いなりにさせる医者の手先になっているような気がしてならない。
もっとも無治療組のびんぼっちゃんも、こういった会のボランティアをしているし、
「くうみんさんが患者会に入ったら、無治療側に引き連れるよう画策してよ」
とも言っている。
くうみんなんかが患者会なんかに入ったら、いいにつけ悪いにつけ、会をかき回すことになるだろうなあ。
11時半の予約だけれど、ピッタリに診察できないのは判っている。判っていたけど、今日はひどすぎる。なんと中待合室に呼ばれたのは3時半だ。それでもすぐに診察ではない。
60才くらいの女性がいて、その人と話をする。私の次の人だ。
「いつも待つけど、今日はひどいですね」
この人も抗癌剤やホルモン剤の後遺症を何とかすべく、漢方の先生にかかっていると言う。
「足が痺れてしまって」
「パクリですね」
抗がん剤のパクリタキセル。セイヨウイチイと言う植物から作った抗癌剤。植物性だから安心、と言う言葉を見事裏切ってくれた。
痺れもあるけれど、抗がん剤やホルモン剤では様々な不快な症状を引き起こす。命あってのものだねと言うが、これが本当に効いたのかと言うのは?だ。
100人のうち35人には何らかの形で効いていると言う。しかし、副作用、後遺症は100%の人に現れる。
聞くとこの方は、もう10年以上も抗癌剤の後遺症に悩まされていると言う。
「まあひどい。10年経っても、まだ…」
くうみんのこのさまざまな不快な症状、手の麻痺、しびれ、のぼせ…まだまだ続くのか…暗澹たる気持ち。
やっと診察室に呼ばれたのは4時近くになってから。今日は先生機嫌が悪いのか文句ばかり言っている。
「白髪が出てきたんですけど、どうにかなりませんか」
「あんたビール4本も飲んで、体が冷えるから当然だろう」
「今は3本です、そのあとワイン」
「医者の言うことを聞かない患者には、こっちだって何も言わないよ!」
「医者の言うことねえ。聞きませんねえ」
くうみんがなぜ病院に行くかと言えば、抗がん剤やホルモン剤の後遺症を抑えるための薬が欲しいからだ。癌の治療なんかしようと思わない。効果があるとは思えないからだ。
今の不快な症状を抑える薬さえもらえばどうでもいい。反論もせず帰った。
でも、今度自分の考えを言った方がいいかも知れない。やみくもな治療拒否ではないと言うこと。
外で待っていた女性に挨拶をした。
「それではお大事に」
そう言いあって帰った。
癌患者はなぜかまわりから「頑張ってください」と言われる。がんばれって、何をがんばるの?マラソン?ウェイトトレーニング?やっぱりお大事にって言って欲しい。
久々の病院、わたしってやっぱり病人かしらと認識する日。
今日は帰りも遅くなったので近所の安くておいしいと評判のステーキハウスに行った。
スープとサラダ
ハンバーグは200グラム ちょっと食べた後
ステーキは150グラム こっちも食っちまっただ
これにライスとコーヒーがついてハンバーグは1000円、ステーキは1300円とお値打ち。
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