どうしてもできないこと
くうみんは、犬の散歩のマナーはいい方だと思う。
人が来るとわかればリードは短く持つ。う〇こは地面に着く前に切ったペットシーツを広げてそこに落とすようにする。小用は排水口の近くでさせて、ペットボトルの水で流す。たまに狙いが外れた時は、大きめに切ったペットシーツに吸収させ、水を少量流して、それをまたペットシーツで吸収させる。その様子を見る人の目も暖かいと感じる。
しかし、それでも怒られることがあった。
マンションの敷地内をチコリを連れて歩いていた時のこと。
「敷地内は犬は抱っこしなくちゃいけないんですよ!」
声のする方を振り返ると、40代半ばくらいの奥様が、目を吊り上げて叫んでいる。
「あ、そうでしたか、すみません」
その場で抱き上げたが、えらく重い。チコリは抱っこが嫌いなので、余計重くなる。
チコリがうちに引き取られたときは、体重は6.5キロくらいだった。それがこの1年ですくすく(ぶくぶく)と肥え太り、今では8キロにもなってしまった。
8キロはかなり重く、これを抱えてエレベーターのボタンを押したり、ドアの開け閉めをするのは難儀だ。
ペットカートも考えたが、うちのマンションはステップ階段と言って、1階おきにエレベーターが止まるタイプ。1階と4階、6階にしか止まらない。くうみんは5階に住んでいるので階段を使わなければならない。だからカートを使うとしたら、まずカートを4階まで持って行き、玄関からチコリを抱えて階段を下りてカートに安置させるという手順を踏まねばならず、そのうち面倒くさくなりそう。
敷地内を移動するときは抱きかかえなければいけない。そんな決まりあったかしら?
チコリを引き取るにあたって、マンションの規定を調べたのだが、「危険な動物はNG。ペットは迷惑をかけないように飼うこと」としか、書いていなかった。
管理会社に聞いてみても、
「特に決まりはありません」
との回答。まあ、犬の苦手な人もいることだし、誰か来たら抱きかかえることにしよう。
ということで、くうみんは人が来たら、チコリを抱きかかえ、エレベーターでは誰かいるときは「お先にどうぞ」と、一台待つことにした。しかし、ほとんどの場合は「いいですよ」と、一緒に乗せてくれた。
そのうち、問題の奥様にばったり会ってしまった。あっちは降りる所で、こっちは乗る所。慌ててチコリを抱きかかえた。
その奥様がエレベーターから出たので、くうみんは乗り込んだ。奥様はエレベーターののボタンを押して、エレベーターを止めた。
「抱っこしなくちゃいけないっていったじゃありませんか!!」
「はい、でも、重いのでなかなかそういう訳には行かなくて」
「きまりは守らなくちゃいけません!」
「いえ、そういう決まりはないそうです。犬の苦手な方もいらっしゃると思いますので、人のいるときは抱きかかえるようにしています」
「きまりはあるんです!管理会社に確認します!」
「はい、そうしてください」
あ~、こえ~。そしていつも通り、チコリの散歩に行ったのだった。
そのうち、マンションの掲示板に
「ペットを敷地内で移動させるときは抱きかかえて行くように」
という案内が掲示された。
まあ、そんな決まり、本当にあったんだ!
くうみんは、とりあえずくだんの奥様に謝りに行った。しかし、奥様、今までの勢いがない。
「はあ、まあ、あまり気になさらないでください」
はて、どうしたんだろう?
同じマンションに住む、同じようにわんこを飼っている人に聞いてみると、決まりとしてはないらしい。ただ、努力義務というか、嫌いな人への配慮として、今回の掲示になったのであろうと。
あのうるさい奥様の勢いがなくなったのも、決まりはなかったというのがはっきりしたからに違いないと。
くうみんも、管理会社に電話をした。
「あの~、今回掲示された、ペットは抱きかかえて移動すること、という件ですが、決まりはないんですよね」
「はい、そうですが」
「私、どうしてもできないんです」
「しかしですね、くうみん様、自分にはかわいいペットでも他の方から見れば怖いと思うんですよ」
「それは分かりますが、うちの犬、8キロもあって、抱っこするの、大変なんです」
管理会社の女性も、それを聞いてトーンダウンした。
「それは大変ですね。ひょいと抱えられる程度の大きさかと思っていました」
「はい、リードは短く持って、エレベーターは人が待っているときは一台待つことにしていますし、こちらとしては気を使っているつもりなんです」
「そうでしたか。それじゃ、やむをえませんね」
こういうことははっきり決まりを作るよりは、あいまいにしておいた方がいいんですよ、とも言っていた。まあ、大人の対応という所だろう。
その後、くうみんはどうしているかと言えば、チコリといるときはなるべく人に会わないようにして、移動することにしている。
くだんの奥様には絶対に会わないように祈っている。
また、人間の子供も、10キロくらいあっても抱っこしなければならないシチュエーションは多いと思う。世のお母さん方を尊敬するくうみんであった。
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人が来るとわかればリードは短く持つ。う〇こは地面に着く前に切ったペットシーツを広げてそこに落とすようにする。小用は排水口の近くでさせて、ペットボトルの水で流す。たまに狙いが外れた時は、大きめに切ったペットシーツに吸収させ、水を少量流して、それをまたペットシーツで吸収させる。その様子を見る人の目も暖かいと感じる。
しかし、それでも怒られることがあった。
マンションの敷地内をチコリを連れて歩いていた時のこと。
「敷地内は犬は抱っこしなくちゃいけないんですよ!」
声のする方を振り返ると、40代半ばくらいの奥様が、目を吊り上げて叫んでいる。
「あ、そうでしたか、すみません」
その場で抱き上げたが、えらく重い。チコリは抱っこが嫌いなので、余計重くなる。
チコリがうちに引き取られたときは、体重は6.5キロくらいだった。それがこの1年ですくすく(ぶくぶく)と肥え太り、今では8キロにもなってしまった。
8キロはかなり重く、これを抱えてエレベーターのボタンを押したり、ドアの開け閉めをするのは難儀だ。
ペットカートも考えたが、うちのマンションはステップ階段と言って、1階おきにエレベーターが止まるタイプ。1階と4階、6階にしか止まらない。くうみんは5階に住んでいるので階段を使わなければならない。だからカートを使うとしたら、まずカートを4階まで持って行き、玄関からチコリを抱えて階段を下りてカートに安置させるという手順を踏まねばならず、そのうち面倒くさくなりそう。
敷地内を移動するときは抱きかかえなければいけない。そんな決まりあったかしら?
チコリを引き取るにあたって、マンションの規定を調べたのだが、「危険な動物はNG。ペットは迷惑をかけないように飼うこと」としか、書いていなかった。
管理会社に聞いてみても、
「特に決まりはありません」
との回答。まあ、犬の苦手な人もいることだし、誰か来たら抱きかかえることにしよう。
ということで、くうみんは人が来たら、チコリを抱きかかえ、エレベーターでは誰かいるときは「お先にどうぞ」と、一台待つことにした。しかし、ほとんどの場合は「いいですよ」と、一緒に乗せてくれた。
そのうち、問題の奥様にばったり会ってしまった。あっちは降りる所で、こっちは乗る所。慌ててチコリを抱きかかえた。
その奥様がエレベーターから出たので、くうみんは乗り込んだ。奥様はエレベーターののボタンを押して、エレベーターを止めた。
「抱っこしなくちゃいけないっていったじゃありませんか!!」
「はい、でも、重いのでなかなかそういう訳には行かなくて」
「きまりは守らなくちゃいけません!」
「いえ、そういう決まりはないそうです。犬の苦手な方もいらっしゃると思いますので、人のいるときは抱きかかえるようにしています」
「きまりはあるんです!管理会社に確認します!」
「はい、そうしてください」
あ~、こえ~。そしていつも通り、チコリの散歩に行ったのだった。
そのうち、マンションの掲示板に
「ペットを敷地内で移動させるときは抱きかかえて行くように」
という案内が掲示された。
まあ、そんな決まり、本当にあったんだ!
くうみんは、とりあえずくだんの奥様に謝りに行った。しかし、奥様、今までの勢いがない。
「はあ、まあ、あまり気になさらないでください」
はて、どうしたんだろう?
同じマンションに住む、同じようにわんこを飼っている人に聞いてみると、決まりとしてはないらしい。ただ、努力義務というか、嫌いな人への配慮として、今回の掲示になったのであろうと。
あのうるさい奥様の勢いがなくなったのも、決まりはなかったというのがはっきりしたからに違いないと。
くうみんも、管理会社に電話をした。
「あの~、今回掲示された、ペットは抱きかかえて移動すること、という件ですが、決まりはないんですよね」
「はい、そうですが」
「私、どうしてもできないんです」
「しかしですね、くうみん様、自分にはかわいいペットでも他の方から見れば怖いと思うんですよ」
「それは分かりますが、うちの犬、8キロもあって、抱っこするの、大変なんです」
管理会社の女性も、それを聞いてトーンダウンした。
「それは大変ですね。ひょいと抱えられる程度の大きさかと思っていました」
「はい、リードは短く持って、エレベーターは人が待っているときは一台待つことにしていますし、こちらとしては気を使っているつもりなんです」
「そうでしたか。それじゃ、やむをえませんね」
こういうことははっきり決まりを作るよりは、あいまいにしておいた方がいいんですよ、とも言っていた。まあ、大人の対応という所だろう。
その後、くうみんはどうしているかと言えば、チコリといるときはなるべく人に会わないようにして、移動することにしている。
くだんの奥様には絶対に会わないように祈っている。
また、人間の子供も、10キロくらいあっても抱っこしなければならないシチュエーションは多いと思う。世のお母さん方を尊敬するくうみんであった。
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