ドナルド・トランプ氏の大統領返り咲きが決まり、市場は大きく動いている。
ここから先、どのような銘柄が上がっていくと考えられるのか。
88歳にして現役トレーダーで、毎日早朝から米国市場もチェックする藤本茂さんに話を聞いた。資産20億円超の藤本さんが厳選した、トランプ返り咲きが追い風になる日本株とは――。
(以下、茂さんが注目する個別銘柄を一覧表で紹介)
藤本さんがまず注目銘柄に挙げたのは総合商社の「三井物産(東証プライム・8031)」だった。
「同社は日本の大手総合商社のなかでも特に、資源・エネルギー分野に強いため、注目しています。
それというのも、トランプ氏は化石燃料の規制を緩和し、石油や天然ガスの生産拡大を進めると主張しているからです。
三井物産は2025年3月期通期業績を上方修正する好調ぶりで、大いに期待できるのではないか」
続いて藤本さんが注目銘柄として挙げるのは、独立系ソフト開発会社の東海ソフト(4430・東証スタンダード)。
「テスラやスペースXの経営トップであるイーロン・マスク氏がトランプ支持を打ち出して要職に就くことになるが、米国のIT業界ではトランプ支持が拡大。トランプ勝利で今後の成長も見通せる。
日本のIT企業でも、東海ソフトは2025年5月期が最高益更新および4期連続の増配を見込んでおり、配当利回りが約3.9%という高配当銘柄です。
それなのにPER(株価収益率)などの指標から見るとまだまだ割安と言えます」(藤本さん)
海外売上比率99%の企業とは
また、輸出メーカーでは日本初のベアリングメーカーとして国内シェア首位、世界シェア3位、2輪車用計器では世界首位の日本精機(東証スタンダード・7287)に注目しているという。
「トランプ氏の掲げる減税策や輸入品への高関税政策は米国内のインフレ再燃につながり、当面は円安ドル高の局面で日本の輸出メーカーに有利になると考えられる。
日本精機は海外売上比率が7割近くにおよび、円安基調が続くことは業績に大きなプラス要因となる。
円安の影響もあって足元の業績も好調で、2025年3月期は前期45円から50円への増配も見込んでいる。配当利回りが4%を大きく超えて高いのも選んだ理由です」(同前)
4つ目は、トランプ氏が住宅ローン金利の引き下げや住宅供給の増加方針を掲げていることから、日本の住宅関連で竹内製作所(東証プライム・6432)を挙げた。
「トランプ氏の公約は、ミニショベルなどを手がける日本の小型建機メーカーにとってありがたいものなので、竹内製作所に期待。同社の海外売上比率は99%で、円安もプラスに働く。4%近い高い配当利回りも魅力です」
こうした達人の知恵を、私たちも活かせるか。
【プロフィール】
藤本茂(ふじもと・しげる)/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。68年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。