2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

コンビニエンスイールドと為替相場のパズル

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版へのリンク)。原題は「Convenience Yields and Exchange Rate Puzzles」で、著者はZhengyang Jiang(ノースウエスタン大)、Arvind Krishnamurthy(スタンフォード大)、Hanno Lustig(同)、Jialu Sun(ノー…

マクロ経済分析に使える四半期の中国時系列の構築

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Constructing Quarterly Chinese Time Series Usable for Macroeconomic Analysis」で、著者はKaiji Chen(エモリー大)、Patrick C. Higgins(アトランタ連銀)、Ta…

ユニバーサルポートフォリオ縮減

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Universal Portfolio Shrinkage」で、著者はBryan T. Kelly(イェール大)、Semyon Malamud(Swiss Finance Institute*1)、Mohammad Pourmohammadi(ジュネーブ大)、Fabio Trojani(同)。 以下…

巨大なECBのバランスシートは安定性ではなくリスクの元

という論陣を元ドイツ連銀総裁イェンス・ヴァイトマンが張っている(H/T Mostly Economics;リンク先はディ・ヴェルト日曜版*1掲載論説のOMFIFによる英語翻訳・編集版)。原題は「Big ECB balance sheet is a source of risk not stability」で、著者はJens …

金がすべてではない:妨害行動のオークションでの高価格入札から推計したカットスロート・キッチンにおける勝利のプレステージ価値

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Money Isn’t Everything: Estimating the Prestige Value of Winning Cutthroat Kitchen from Overbidding in Sabotage Auctions」で、著者はMeg Snyder(イェール大…

積み重ね差の差分析

というNBER論文が上がっている。原題は「Stacked Difference-in-Differences」で、著者はCoady Wing(インディアナ大)、Seth M. Freedman(同)、Alex Hollingsworth(オハイオ州立大)。 以下はその要旨。 This paper introduces the concept of a "trimme…

涼しい都市:都会の樹木の価値

というNBER論文が上がっている(2021年時点のWP)。原題は「Cool cities: The value of urban trees」で、著者はLu Han(ウィスコンシン大学マディソン校)、Stephan Heblich(トロント大)、Christopher Timmins(ウィスコンシン大学マディソン校)、Yanos …

非定常系列の主成分分析

というNBER論文をジェームズ・ハミルトンらが上げている(ungated版)。原題は「Principal Component Analysis for Nonstationary Series」で、著者はJames D. Hamilton(UCサンディエゴ)、Jin Xi(同)。 以下はその要旨。 This paper develops a procedur…

財政刺激策、預金獲得競争、およびシャドーバンキングの台頭:中国についての実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Fiscal Stimulus, Deposit Competition, and the Rise of Shadow Banking: Evidence from China」で、著者はViral V. Acharya(NYU)、Qian Jun(復旦大)、Yang Su(香港中文大)、Zhishu Yang(清華大…

電力部門は発展における弱い鎖なのか?

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Is the Electricity Sector a Weak Link in Development?」で、著者はJonathan M. Colmer(バージニア大)、David Lagakos(ボストン大)、Martin Shu(香港中文大)。 以下はその要旨。 This paper ask…

非営利団体と政府の対象:理論と医療部門への応用

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Nonprofits and the Scope of Government: Theory and an Application to the Health Sector」で、著者はKaren Eggleston(スタンフォード大)。 以下はその要旨。 Nonprofits supply many tax-financed…

コロナ禍におけるスプレッドの奇妙な振る舞い

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)原題は「The Puzzling Behavior of Spreads during Covid」で、著者はStelios S. Fourakis(ジョンズホプキンズ大)、Loukas Karabarbounis(ミネソタ大)。 以下はその要旨。 …

人口と厚生:最大多数の最大の善

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Population and Welfare: The Greatest Good for the Greatest Number」で、著者はMohamad Adhami(スタンフォード大)、Mark Bils(ロチェスター大)、Charles I. Jones(スタンフォード大)、Peter J.…

変則的な推定量についてのブートストラップ診断

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Bootstrap Diagnostics for Irregular Estimators」で、著者はIsaiah Andrews(MIT)、Jesse M. Shapiro(ハーバード大)。 以下はその要旨。 Empirical researchers frequently rely on normal approxi…

ミレイの未来はエルドアンより厳しい?

という主旨のOMFIF論説をMostly Economicsが紹介している。論説のタイトルは「Argentina and Türkiye: a tale of two adjustments(アルゼンチンとトルコ:二調整物語)」で、副題は「Milei and Erdoğan take contrasting approaches to economic problems」…

何が為替を動かすのか?

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「What Drives the Exchange Rate?」で、著者はOleg Itskhoki(UCLA)、Dmitry Mukhin(LSE)。 以下はその要旨。 We use a general open-economy wedge-accounting fr…

組織犯罪と経済成長:マフィアが浸透した地方自治体による実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Organized Crime and Economic Growth: Evidence from Municipalities Infiltrated by the Mafia」で、著者はAlessandra Fenizia(ジョージワシントン大)、Raffaele…

人生におけるインフレの記憶:調査と実験による実証結果

というNBER論文をGorodnichenko=Coibionらが上げている(ungated版へのリンクがある著者の一人(Coibion)のページ)。原題は「Lifetime Memories of Inflation: Evidence from Surveys and the Lab」で、著者はIsabelle Salle(オタワ大)、Yuriy Gorodnic…

イノベーションブーム、容易な資金調達、および人的資本の蓄積

というNBER論文が上がっている(9月時点のWP、昨年1月のプレゼン資料)。原題は「Innovation Booms, Easy Financing, and Human Capital Accumulation」で、著者はJohan Hombert(パリ経営大学院)、 Adrien Matray(プリンストン大)。 以下はその要旨。 I…

(ほぼ)200年のニュースベースの景況感

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「(Almost) 200 Years of News-Based Economic Sentiment」で、著者はJules H. van Binsbergen(ペンシルベニア大)、Svetlana Bryzgalova(ロンドンビジネススクール)、Mayukh Mukhopadhyay(同)…

大分岐から南南分岐へ:世界の経済史における新たな比較の観点

グローバルサウスあれこれ - himaginary’s diaryでは、内実の不均一性からグローバルサウスという用語に疑問を投げ掛ける見解を紹介したが、南南問題とよく言われるその不均一性に歴史的観点から焦点を当てた表題のCEPR論文が上がっている(Mostly Economics…

データに見る産業政策の復活

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The Return of Industrial Policy in Data」で、著者はSimon Evenett(ザンクトガレン大学)、Adam Jakubik(IMF)、Fernando Martín(Global Trade Alert)、Michele Ruta(IMF)。 以下はその要旨…

トランプは良いこともするのか?

サマーズが第二次トランプ政権の危険性について深刻な懸念を表明している。 以下は12/20ツイート。 The @FT's Unhedged asked me about the macroeconomic implications of a second Trump term: When you have a president who challenges the results of e…

航空事故とフォーク定理

今回の羽田の航空事故を巡り、事故の刑事責任の追及が自動車事故などに比べて緩やかなのはやはり納得できない、という声と、今後の安全性のためにはそれが当然、という現在の慣行を支持する主張が改めて持ち上がり、議論になっている。現在の慣行については…

予測間違いの罪と罰

クルーグマンが12/23のブルースカイ投稿で、インフレ沈静化には高失業が避けられない、と予測した人たちを批判している。 Everyone makes bad predictions. God knows I have. Were predictions that we'd need years of very high unemployment to tame inf…

なぜ利上げは景気後退をもたらさなかったのか?

前回と前々回のエントリではインフレの沈静化にFRBの利上げは貢献しなかった、というクルーグマンの考察を紹介したが、12/23のブルースカイのスレッドでクルーグマンは、ではなぜ利上げが景気後退をもたらさなかったのか、について考察している。 Exactly. W…

インフレの沈静化はどのように生じたのか・続き

前回エントリで紹介したようにクルーグマンは、インフレ沈静化におけるFRBの貢献を否定するスレを12/23と1/1にツイッターで立てたが、その前の12/16には、今の彼の「本拠地」であるブルースカイでも同様のスレッドを立てている。 Gotta say: the attempts of…

インフレの沈静化はどのように生じたのか

についてクルーグマンが連ツイを立てている。 OK, since the debate is mostly happening here, a thread on why I don't buy the argument that Fed rate hikes explain disinflation, and unwinding of transitory shocks does; Mike Konczal says most of…

コント:ポール君とラリー君――軟着陸宣言は早計かの巻

前々回エントリで紹介したツイートの前の2つの12/30のツイートで、サマーズは以下のように述べている。 I think there's still a risk that the market is probably underestimating: that we're not going to quite make as much progress on inflation as …

コント:ポール君とラリー君――米国人の景気判断はどうなっているかの巻

前回エントリで紹介したツイートの後続のツイートでサマーズは以下のように述べている。 No question, things are more symmetric now than they were a year or a year and a half ago. Whatever economy patricians may think, the American people are ve…