2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

コント:ポール君とラリー君――季節調整は大切だよの巻

ここで紹介したように今年のノーベル経済学賞を巡る話で論敵となったクルーグマンとアダム・トゥーズが、賃料インフレを巡る話でサマーズにまとめてボコられている。 There are important issues with regard to the residential component of inflation but…

長期的社会的距離

というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Long Social Distancing」で、著者はJose Maria Barrero(メキシコ自治工科大学)、Nicholas Bloom(スタンフォード大)、Steven J. Davis(シカゴ大)。 以下はその結論部。 More than te…

ワクチンの直接的な効果と間接的な効果:学校におけるコロナからの実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Direct and Indirect Effects of Vaccines: Evidence from COVID-19 in Schools」で、著者はSeth M. Freedman(インディアナ大)、Daniel W. Sacks(ウィスコンシン大学マディソン校)、Kosali I. Simon(インディア…

将来のパンデミックに対する先行準備の費用便益計算

というNBER論文が上がっている。原題は「Calculating the Costs and Benefits of Advance Preparations for Future Pandemics」で、著者はRachel Glennerster(シカゴ大)、Christopher M. Snyder(ダートマス大)、Brandon Joel Tan(IMF)。 以下はその要…

コロナによる学習の損失と回復:インドのパネルデータによる実証結果

というNBER論文が上がっている。原題は「Covid-19 Learning Loss and Recovery: Panel Data Evidence from India」で、著者はAbhijeet Singh(ストックホルム商科大学)、Mauricio Romero(メキシコ自治工科大学)、Karthik Muralidharan(UCサンディエゴ)…

銀行取り付け騒ぎでの預金と融資の再配分:国有銀行の役割

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Deposit and Credit Reallocation in a Banking Panic: The Role of State-Owned Banks」で、著者はViral V. Acharya(NYU)、Abhiman Das(インド経営大学院アーメダバード校)、Nirupama Kulkar…

コロナによる出生の増加:コロナ禍に対応した予期せぬ米国の出生率の増加

というNBER論文が上がっている。原題は「The Covid-19 Baby Bump: The Unexpected Increase in U.S. Fertility Rates in Response to the Pandemic」で、著者はMartha J. Bailey(UCLA)、Janet Currie(プリンストン大)、Hannes Schwandt(ノースウエスタ…

「うん、知ってた」の陥穽

ノアピニオン氏が賞賛し、山形さんやhicksianさんも言及しているが、クルーグマンがアダム・トゥーズ*1の論考にツイッターで噛み付いている。 A somewhat belated response to Adam Tooze's uncharacteristically ill-tempered response to the latest econo…

マンキューの過剰な金融引き締めへの懸念

ここで紹介したエントリを敷衍する形で、マンキューがFRBの引き締め過ぎへの懸念をまとめたエントリを起こしている。以下はその概要。 まず、以下の2点についてはタカ派に同意。 金融財政政策の担当者が最近のインフレ高騰に一部責任があるというのには同意…

コント:ポール君とラリー君――賃料と賃金をどうみるかの巻

少し前にこことここでクルーグマンの連ツイを紹介したが、そこで示された彼のインフレへの見方をまとめたNYT論説にサマーズが猛反発し、ツイッターで以下のように反駁した。 I am disappointed by the tendentious & selective analysis of team transitory …

セグメント化された裁定

というNBER論文が上がっている(昨年11月時点のSSRN版、今年5月のスライド資料)。原題は「Segmented Arbitrage」で、著者はEmil Siriwardane(ハーバード大)、Adi Sunderam(同)、Jonathan L. Wallen(スタンフォード大)。 以下はその要旨。 We use arbi…

ドルの強さを理解する

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics;ungated(SSRN)版)。原題は「Understanding the Strength of the Dollar」で、著者はZhengyang Jiang(ノースウエスタン大)、Robert J. Richmond(NYU)、Tony Zhang(FRB)。 以下はその要旨。 We li…

ワシリー・レオンチェフの辛辣さを理解する:産業連関分析の戦後の成功と失敗

というSSRN論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Understanding the bitterness of Wassily Leontief: Postwar success and failures of input-output techniques」で、著者はリヨン第2大学のVincent Carret。 以下はその要旨。 Although Leontief…

政治的U:民主主義と所得についての新たな実証結果

というiza論文が上がっている(H/T Mostly Economics経由のVoxEUコラム)。原題は「The Political U: New Evidence on Democracy and Income」で、著者はNauro Campos(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)、Fabrizio Coricelli(パリ経済学校)、Marco …

コロナ禍における英独のインフレウェイトの更新

というIMF論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Updating Inflation Weights in the UK and Germany during COVID-19」で、著者は同基金のFrancesco GrigoliとEvgenia Pugacheva。 以下はその要旨。 The COVID-19 pandemic altered consumption pa…

バーナンキ対キンドルバーガー:どの信用経路?

というペリー・メーリング(Perry G. Mehrling)のINET記事(原題は「Bernanke v. Kindleberger: Which Credit Channel?」)をMostly Economicsが紹介している(同じ記事をメーリングが自サイトに乗せたものを山形さんもツイッターで紹介されている)。 In t…

クルーグマンからタカ派への3つの疑問

昨今のインフレと金融政策の論争に関して、クルーグマンが金融引き締め派の論拠に疑問を呈する連ツイを行っている。 A on the current macro policy debate, which looks on the surface a lot like the debate in early 2021 — in which I was wrong! — but…

コロナ禍における共和党員と民主党員の超過死亡率

というNBER論文が上がっている。原題は「Excess Death Rates for Republicans and Democrats During the COVID-19 Pandemic」で、著者はイェール大のJacob Wallace、Paul Goldsmith-Pinkham、Jason L. Schwartz。 以下はその要旨。 Political affiliation ha…

自動化と二極化

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Automation and Polarization」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Jonas Loebbing(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン)。 以下はその要旨。 We develop an assignment model of …

在宅勤務とオフィス不動産の黙示録(再)

「Work From Home and the Office Real Estate Apocalypse」というNBER論文が上がっている。これは6月に結論部を紹介したSSRN論文のNBER版だが、要旨の数字が当時と変わっているので改めて紹介しておく。 We study the impact of remote work on the commerc…

三線都市物語

ここで紹介した中国の住宅ブームのピークアウトに関する論文を書いたケネス・ロゴフ(Kenneth S. Rogoff、ハーバード大)とYuanchen Yang(IMF)のコンビが、その続きとも言うべき表題のNBER論文(原題は「A Tale of Tier 3 Cities」)を上げている(IMF版)…

FRBは動く標的の後方を撃っているのか?

FRBは引き締めすぎ、という論陣を張っているクルーグマンが、自分の考えをまとめた連ツイを立てている。 A thread on Fed policy, explaining — partly to myself — where I'm coming from. The first thing to say is that in a *qualitative* sense my vie…

1995年以降のマクロ経済政策についての思索、NICEからVICEへ、そしてまた元に?

南アフリカ準備銀行のレセチャ・クガニャゴ(Lesetja Kganyago)総裁の9/28の表題の講演(原題は「Reflections of macroeconomic policy since 1995, from NICE to VICE – and back again?」)の冒頭をMostly Economicsが紹介している。 This is an unusuall…

グローバル化と不均一性:ハリウッドによる実証結果

というアトランタ連銀論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Globalization and Heterogeneity: Evidence from Hollywood」で、著者はKonrad Adler(ボン大学)、Simon Fuchs(アトランタ連銀)。 以下はその要旨。 Linder (1961) conjectured that…

英国の1970年代の危機の再来はあるか?

前回エントリの続き。BOEによるマネタイズについてクルーグマンは9/25に以下のような追加の考察を行っている。 More thoughts about the UK. As I tweeted earlier, while the not-a-budget is stupid and cruel, hard to see a sterling crisis 1/ But, peo…

ゾンビ経済学とおバカリスクプレミアム

クルーグマンが英国の状況についてツイッターで考察している。 Thinking more about reactions to the Truss/Kwarteng not-a-budget released Friday. While I yield to nobody in my disdain for their embrace of zombie economics, I'm puzzled by all th…

サプライチェーン破綻のマクロ経済と資産価格への影響

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Macroeconomic and Asset Pricing Effects of Supply Chain Disasters」で、著者はイェール大のVladimir SmirnyaginとAleh Tsyvinski。 以下はその要旨。 We build a…

政策担当者のための貨幣と金融の歴史的統計:統一した枠組みに向けて

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Historical monetary and financial statistics for policymakers: towards a unified framework」で、著者はClaudio Borio(BIS)、Øyvind Eitrheim(ノルウェー中央銀行)、Marc Flandreau(ペン…

回答者の一対評価を用いた様々な社会的距離行動の相対的コロナリスクに対する認識の推計

というNBER論文が上がっている。原題は「Estimating Perceptions of the Relative COVID Risk of Different Social-Distancing Behaviors from Respondents' Pairwise Assessments」で、著者はOri Heffetz(コーネル大)、Matthew Rabin(ハーバード大)。 …

コント:ポール君とグレッグ君(2022年第1弾)

「ポール・クルーグマンは正しいかも(Paul Krugman may be right)」と題したエントリで久々にマンキューがブログでクルーグマンに言及した。 When I was young, Paul Krugman was one of my favorite economists, and I would try to read everything he w…