2020-01-01から1年間の記事一覧 - himaginary’s diary

2020-01-01から1年間の記事一覧

TFPの測定:利益、調整コスト、稼働率の役割

生産性ネタをもう一丁。以下はDiego A. Comin(ダートマス大)、Javier Quintana Gonzalez(スペイン銀)、Tom G. Schmitz(ボッコーニ大)、Antonella Trigari(同)による表題のNBER論文(原題は「Measuring TFP: The Role of Profits, Adjustment Costs, …

中国とドイツでも生産性は低下している

という主旨の論文「A global decline in research productivity? Evidence from China and Germany」をタイラー・コーエンが紹介している。以下はリンク先でまとめられている論文のハイライト。 Replicates findings in Bloom et al. (2020) for China and G…

成長予測における月次世界指標の比較

というNBER論文が上がっている。原題は「A Comparison of Monthly Global Indicators for Forecasting Growth」で、著者はChristiane Baumeister(ノートルダム大)、Pierre Guérin(IMF)。 以下はその要旨。 This paper evaluates the predictive content …

法廷が米大統領を選ぶ可能性はいかほどか? 選挙人制度および国民投票で僅差の逆転可能性のある選挙結果が生じる確率

というタイムリーなテーマのNBER論文が上がっている(ungated版のある著者の一人のサイト)。原題は「How Likely Is It that Courts Will Select the US President? The Probability of Narrow, Reversible Election Results in the Electoral College versu…

ギャップを埋めよう:FRBの金融政策の実施方法を反映した教材改訂

というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「Let's close the gap: Revising teaching materials to reflect how the Federal Reserve implements monetary policy」で、著者はJane Ihrig(FRB)、Scott Wolla(セントルイス連銀)。 以…

判事の定年制による米国の州最高裁のパフォーマンスの改善

というNBER論文が上がっている(7月時点のWP、H/T Mostly Economics)。原題は「Mandatory Retirement for Judges Improved Performance on U.S. State Supreme Courts」で、著者はElliott Ash(チューリッヒ工科大学)、W. Bentley MacLeod(コロンビア大)…

時折り限界制約が生じるDSGEモデルのための区分線形近似とフィルタリング

というNBER論文が上がっている(2月時点のWP)。原題は「Piecewise-Linear Approximations and Filtering for DSGE Models with Occasionally Binding Constraints」で、著者はS. Bora˘gan Aruoba(メリーランド大)、Pablo Cuba-Borda(FRB)、Kenji Higa-F…

トランプの選挙集会で700人が死んだ

と題したエントリ(原題は「Trump rallies have killed 700 people」)でマンキューがこちらのSSRN論文を紹介している。論文のタイトルは「The Effects of Large Group Meetings on the Spread of COVID-19: The Case of Trump Rallies」で、著者はB. Dougla…

アイルランドの銀行危機

というBIS論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「The banking crisis in Ireland」で、著者は Patrizia Baudino(BIS)、Diarmuid Murphy(アイルランド中銀)、Jean-Philippe Svoronos(BIS)。 以下はその要旨。 This paper covers the banking c…

ただの銀行ではなく国の偉大なエンジン:イングランド銀行とイギリス経済、1694-1844

という論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Not an ordinary bank but a great engine of state: The Bank of England and the British economy, 1694-1844」で、著者はPatrick K. O’Brien(LSE)、Nuno Palma(マンチェスター大)。 以下はその…

パンデミック経済危機、予備的行動、および移動制約:ランダム性を伴う動学的不均衡モデルの応用

というNBER論文をスティグリッツが上げている(原題は「The Pandemic Economic Crisis, Precautionary Behavior, and Mobility Constraints: An Application of the Dynamic Disequilibrium Model with Randomness」)*1。 以下はその要旨。 This paper anal…

危機のイノベーションの編成:第二次大戦の教訓

というNBER論文が上がっている。原題は「Organizing Crisis Innovation: Lessons from World War II」で、著者はDaniel Gross(デューク大)、Bhaven Sampat(コロンビア大)。 以下はその要旨。 World War II was one of the most acute emergencies in U.S…

r引くg

動学的効率性を論じる時の金利は無リスク金利ではなくリスク金利だという話は高橋洋一氏の言を引く形で以前本ブログでもここで言及したことがあったが、ロバート・バローが表題のNBER論文(原題は「r Minus g」、ungated版)でその点を追究している。以下は…

大きなマイナスの結果をもたらす小さな確率の事象に人々はどのように反応するのか?

というNBER論文が上がっている。原題は「How do People Respond to Small Probability Events with Large, Negative Consequences?」で、著者はMartin S. Eichenbaum(ノースウエスタン大)、Miguel Godinho de Matos(カトリカ・リスボン・スクール・オブ・…

なぜトランプの貿易戦争は失敗したのか?

クルーグマンが、トランプの貿易政策が所期の目的を達成できなかった理由を追究した表題の小論を書いている(原題は「Why Did Trump’s Trade War Fail?」、H/T タイラー・コーエン)。以下はその一節。 I don’t mean that the burden of tariffs appears to …

中国における業界クラスター、ネットワークとCovid-19ショックからの回復

というNBER論文が上がっている。原題は「Industrial Clusters, Networks and Resilience to the Covid-19 Shock in China」で、著者はRuochen Dai(中央財経大学)、Dilip Mookherjee(ボストン大)、Yingyue Quan(北京大)、Xiaobo Zhang(同)。 以下はそ…

バイデノミクス対トランポノミクス

大統領選は宴もたけなわという感があるが、2つの機関による両者の経済プランの分析をこちらの記事が紹介している(H/T Mostly Economics)。 The Committee suggests that ‘both plans would add substantially to the debt’ but in numbers that are a whis…

預金者はCOVID-19にどのように反応したか?

というNBER論文が上がっている。原題は「How Did Depositors Respond to COVID-19?」で、著者はRoss Levine(UCバークレー)、Chen Lin(香港大)、Mingzhu Tai(同)、Wensi Xie(香港中文大)。 以下はその要旨。 Why did banks experience massive deposi…

米国の賃金フィリップス曲線は平らになったのか? 半構造的な追究

前回エントリからのフィリップス曲線の平坦化つながりということで、昨年初めの表題のNBER論文を紹介しておく(一昨年末時点のungated版)。原題は「Has the U.S. Wage Phillips Curve Flattened? A Semi-Structural Exploration」で、著者はJordi Galí(CRE…

フィリップス曲線の傾き:米国の州についての実証結果

エミ・ナカムラとジョン・スタインソンらが表題のWPを書いている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「The Slope of the Phillips Curve: Evidence from U.S. States」で、著者はJonathon Hazell(プリンストン大)、Juan Herreno(コロンビア大)、Emi Naka…

行動ファイナンスの最重要人物

MRブログでアレックス・タバロックがファーマのインタビュー記事を紹介している。以下はその記事からの引用。 ...what do you make of the growing discipleship of behavioral finance which focuses on the influence of psychology on investment decisio…

機織りとしての経済学者

アイルランド中銀総裁のガブリエル・マクルーフ(Gabriel Makhlouf*1)が、経済学徒に向けたメッセージの中で、経済学者を以下のように定義している(H/T Mostly Economics)。 At some point you’ll probably be asked the question “what is an economist?…

米国の所得・資産格差のトレンド:修正主義者の論議の再訪

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Trends in US Income and Wealth Inequality: Revising After the Revisionists*1」で、著者はEmmanuel Saez(UCバークレー)、Gabriel Zucman(同)。 以下はその要旨。 Recent studies argue that US …

マクロ消費調整のミクロ解析

というNBER論文が上がっている(6月時点のWP)。原題は「The Micro Anatomy of Macro Consumption Adjustments」で、著者はRafael Guntin(NYU)、Pablo Ottonello(ミシガン大)、Diego Perez(NYU)。 以下はその要旨。 We study crises characterized by …

人的資本の減価

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のHP)。原題は「Human Capital Depreciation」で、著者はMichael Dinerstein(シカゴ大)、Rigissa Megalokonomou(クイーンズランド大)、Constantine Yannelis(シカゴ大)。 以下はそ…

グラビテーション対帝国

貿易の重力理論を英国の歴史的なデータを用いて実証分析した「The Gravitational Constant?(重力定数?)」というNBER論文をDavid S. Jacks(サイモンフレーザー大)、Kevin Hjortshøj O'Rourke(NYUアブダビ校)、Alan M. Taylor(UCデービス)が上げてい…

中銀の独立性の論拠:国際的論争の主要論題の概観

というECBのOccasional Paper Series論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「The case for central bank independence: a review of key issues in the international debate」で、著者は同行のRodolfo Dall’Orto Mas、Benjamin Vonessen、Chr…

COVID-19ワクチン候補の臨床試験設計の費用便益分析

というNBER論文をアンドリュー・ローらが書いている。原題は「A Cost/Benefit Analysis of Clinical Trial Designs for COVID-19 Vaccine Candidates」で、著者はDonald A. Berry(ベリー・コンサルタンツLLC*1)、Scott Berry(同)、Peter Hale(ワクチン…

米中貿易戦争とグローバルバリューチェーン

という論文をタイラー・コーエンが紹介している。論文の原題は「The US-China Trade War and Global Value Chains」で、著者はミネソタ大のYang Zhou。 以下はその結論部。 This paper studies the heterogeneous impacts of the US-China trade war through…

量的緩和の50の陰影:経済分析における利害の衝突

というNBER論文が書かれており、関連VoxEU記事も上がっている(H/T タイラー・コーエン、Mostly Economics)。論文の原題*1は「Fifty Shades of QE: Conflicts of Interest in Economic Research」で、著者はBrian Fabo(スロバキア国立銀行)、Martina Janč…