2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

生産性のJカーブ:如何に無形資産が汎用技術を補完するか

ここで紹介したNBER論文の続きとでもいうべき表題のNBER論文が上がっている(原題は「The Productivity J-Curve: How Intangibles Complement General Purpose Technologies」、ungated版)。著者たちも前回と同じで、Erik Brynjolfsson(MIT)、Daniel Rock…

税の等価性とその含意

というNBER論文が上がっている。原題は「Tax Equivalences and their Implications」で、著者はAlan J. Auerbach(UCバークレー)。 以下はungated版の要旨。 In economic analyses of the effects of tax policies, one commonly encounters discussions of…

新技術、グローバルバリューチェーン、および発展途上経済

というNBER論文(原題は「New Technologies, Global Value Chains, and Developing Economies」)をダニ・ロドリックが上げている(ungated版)。 以下はその要旨。 Many of the exports of developing countries are channeled through global value chains…

カプラン「僕の中立金利の利用方法」

ダラス連銀のカプラン総裁が中立金利について小論を書いている(H/T Tim Taylor)。 Despite the fact that judging the level of the neutral rate is inherently uncertain and imprecise, many of us at the Federal Reserve pay close attention to the …

マイナス名目金利と銀行業

と題したブログエントリ(原題は「Negative Nominal Interest Rates and Banking」)の冒頭でCecchetti=Schoenholtzが、ドラギECB総裁の以下の言葉を引用している。 “By and large our negative interest-rate policies have been a success. We haven’t se…

不運なコホート:大規模なクロスセクションデータセットを用いた不況時に労働市場に参入することの長期的影響の推計

というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Unlucky Cohorts: Estimating the Long-term Effects of Entering the Labor Market in a Recession in Large Cross-sectional Data Sets」で、著者はHannes Schwandt(ノースウエスタン大)、Till M. v…

2%インフレ目標なんかいらない?

ポール・ボルカーが下記の本を著し、それについてブルームバーグ論説を書いている。Keeping At It: The Quest for Sound Money and Good Government (English Edition)作者: Paul Volcker,Christine Harper出版社/メーカー: PublicAffairs発売日: 2018/10/30…

高まるアマゾン効果:オンライン競争と価格付け行動

というNBER論文(原題は「More Amazon Effects: Online Competition and Pricing Behaviors」)をBillion Prices ProjectのAlberto Cavallo(ハーバード大*1)が上げている(ungated版、今年のジャクソンホールのシンポジウムでのYuriy Gorodnichenkoによる…

マイナス金利政策とイールドカーブ

というNBER論文が上がっている。原題は「Negative Interest Rate Policy and the Yield Curve」で、著者はJing Cynthia Wu(ノートルダム大)、Fan Dora Xia(BIS)。 以下はその要旨。 We evaluate the implications of the ECB's negative interest rate p…

ベンガル飢饉はケインズがもたらした?

「Profit Inflation, Keynes and the Holocaust in Bengal, 1943–44」という論文をMostly Economicsが紹介している。著者はジャワハルラール・ネルー大学名誉教授のUtsa Patnaik。以下はその要旨。 The year 2018 marks the 75th anniversary of the Bengal …

自己実現的な金融危機

表題のProject Syndicate論説(原題は「Self-Fulfilling Financial Crises」)でデロングが、 Nicola GennaioliとAndrei Shleiferの以下の共著書を、2008年の金融危機を理解する上で読むべき第5の本、として推奨している*1。A Crisis of Beliefs: Investor P…

経済学における話題の新しいアイディアが実際には悪いアイディアである理由

ジョージ・メイソン大のMercatus Centerの表題のコメンタリー記事(原題は「Why a Hot New Idea in Economics is Actually a Bad Idea」)で、スコット・サムナーがMMTを批判している(共著者はPatrick Horan、H/T Mostly Economics)*1。 以下はその冒頭。 …

ノードハウスが紹介するワイツマンの業績

13日エントリでは今回ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・ノードハウスと受賞しなかったマーチン・ワイツマンに関するピーター・ドーマンのEconospeakエントリを紹介したが、そのワイツマンが教授職から研究教授職に退く記念シンポジウムが10/11にハーバ…

反トラストとハイテク企業、ベーシックインカム、移民

コーエンのクルーグマンインタビューから、これまで紹介してきたマクロ以外の話題に関するクルーグマンの見解を幾つか拾ってみる。 ●反トラストとハイテク企業 Two things, actually, I think are pretty clear. One is, the old antitrust paradigm still h…

4%インフレに文句を言うのは誰?

コーエンのクルーグマンインタビューのマクロの話の最後。 COWEN: If we have a service-sector economy where contracts are not renegotiated all the time — workers’ bargaining power, at times, will be weak — would the American public put up with…

イエレンも中銀文化に取り込まれたのか?

引き続きコーエンのクルーグマンインタビューのマクロの話の続き。 COWEN: Janet Yellen mentioned yesterday, I read, that the Fed may need to raise interest rates again at this point. If you view that matter different than she does, how would y…

クルーグマンの見る世界経済のリスク

昨日紹介したタイラー・コーエンのクルーグマンへのインタビューの続き。 COWEN: Political risk aside, which we’ve already discussed, what do you think is the number-one danger to the global economy right now? Is it corporate debt? Is it China?…

クルーグマンがサマーズに後れを取ったこと

タイラー・コーエンがクルーグマンへのインタビューをmediumのConversations with Tylerシリーズに上げている(H/T Mostly Economics)。 以下はその中で人口成長率の低下と長期停滞について触れた部分。 COWEN: A few macro questions. How much do you wor…

今年度のノーベル経済学賞非受賞者に込められた意味

「Nobel Prizes in Economics, Awarded and Withheld」と題されたEconospeakエントリでピーター・ドーマンが、今年度のノーベル経済学賞は誰が受賞したかよりも誰が受賞しなかったかに注目すべき、と書いている。以下はその末尾。 The reality is this is a …

FOMC声明後の米債券市場の変動

というNBER論文が上がっている(ungated版(昨年末時点のWP))。原題は「Post-FOMC Announcement Drift in U.S. Bond Markets」で、著者はJordan Brooks(AQRキャピタルマネジメント)、Michael Katz(同)、Hanno Lustig(スタンフォード大)。 以下はその…

FRBは名目金利の下限にそれほど制約されているわけではない

というNBER論文が上がっている。原題は「The Federal Reserve Is Not Very Constrained by the Lower Bound on Nominal Interest Rates」で、著者はUCアーバインのEric T. Swanson。著者のHPによれば、先月14日に開催された「実効金利下限における金融政策(…

1960年代のFRBにおける経済分析の変容

という論文をMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「The transformation of economic analysis at the Federal Reserve during the 1960s」で、著者はリール大博士課程のJuan Acostaとセルジー・ポントワーズ大THEMA(Théorie Économique, Modélisa…

ノーベル経済学賞を受賞したハイエクが賞の問題点を説いた時

Tim Taylorが、自分の2年前のエントリを再掲しているが、その中でハイエクがノーベル経済学賞を受賞した時の言葉を引用している(H/T Mostly Economics)。 Your Majesty, Your Royal Highnesses, Ladies and Gentlemen, Now that the Nobel Memorial Prize …

資産としての居住地

プリンストン大のAdrien BilalとEsteban Rossi-Hansbergがミネアポリス連銀から「Location as an Asset」というWPを出し、「Trading places」と題された同連銀のRegion誌記事(筆者はDouglas Clement)でその内容が解説されている。 The obvious question is…

センチメントへのショックはどの程度持続的なのか?

表題のSF連銀Economic Letter記事(原題は「How Persistent Are the Effects of Sentiment Shocks?」)でJess Benhabib、Ben Shapiro、Mark M. Spiegelが、人々のセンチメントが経済に与える影響を調べたBenhabib=Spiegel論文(WP)の概要を紹介している。 …

ランダム化比較試験対回帰不連続デザイン

Francis DieboldがArt OwenとHal Varianの新しい論文「Optimizing the Tie-Breaker Regression Discontinuity Design」にリンクし、そこで使われている手法について以下のように解説している。 Randomized controlled trials (RCT's) are clearly the gold s…

回転率流動性と金融政策の伝達

本ブログでは、従来の経済学では注目されてこなかった金融政策の伝達経路に関する論文を幾つか紹介してきたが(e.g. 再分配経路、デットサービス経路)、回転率ー流動性経路というまた新たな経路を提示した表題の論文がNBERに上がっている(ungated版、2年前…

分極化を読み解く

「Unbundling Polarization」というNBER論文が上がっている(ungated版)。著者はNathan Canen(ヒューストン大)、Chad Kendall(南カリフォルニア大)、Francesco Trebbi(ブリティッシュコロンビア大)。 以下はその要旨。 This paper investigates the d…

動学的パネルデータモデルによる予測

というNBER論文が上がっている(ungated版、4年前のスライド資料)。原題は「Forecasting with Dynamic Panel Data Models」で、著者はLaura Liu(FRB)、Hyungsik Roger Moon(南カリフォルニア大)、Frank Schorfheide(ペンシルベニア大)。 以下はその要…

信念の不一致とポートフォリオ選択

というNBER論文が上がっている(ungated版がリンクされている著者の一人のHP)。原題は「Belief Disagreement and Portfolio Choice」で、著者はMaarten Meeuwis、Jonathan A. Parker、Antoinette Schoar、Duncan I. Simester(いずれもMIT)。 以下はその要…