2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オプションに基づく将来の政策金利予想

という小論をSF連銀のMichael Bauerが9/29付けのFRBSF Economic Letterに書いている。 以下はその要旨。 Forecasts of short-term interest rates that are based on futures rates in financial markets can be very misleading when the policy rate is ne…

北欧モデルの概観とイノベーションの経済学

「Leaders and Followers: Perspectives on the Nordic Model and the Economics of Innovation」というNBER論文をスティグリッツが書いている。 以下はその要旨。 This paper is an exercise in comparative institutional analysis, asking what kinds of …

沈黙のFRB

昨日取り上げたFRBとゴールドマンサックスの馴れ合いの件について、ジャスティン・フォックスも反応した。 昨日紹介したブルームバーグ論説でマイケル・ルイスは「規制監督者が多少なりとも銀行にコントロールされていたことは漠然とは知られていた。今やそ…

46時間後…

というダニー・ボイル映画を連想させるようなタイトルを付けたFT Alphavilleブログ記事をPaul Murphyが書いている(原題は「46 hours later…」)。 Carmen Segarra, a specialist hired by the New York Fed in the wake of the crisis to sit inside the li…

ディッキー・フラー検定であまり知られていないこと

についてDave Gilesが書いている。 ディッキー・フラーの回帰式は以下のように表される。 ΔYt = [α + β t] + γYt-1 + [Σ δj ΔYt-j] + εtここで[・]の項はオプションであり、 うち、[Σ δj ΔYt-j]は式の残差に自己相関が無いことを保証する役割を担う「拡張項…

債券市場はインタゲの最良の友

というNBER論文が上がっている。原題は「The Bond Market: An Inflation-Targeter's Best Friend」で、著者はUCバークレーのAndrew K. Rose。 This paper explores the relationship between inflation and the existence of a publicly-traded, long-maturi…

買い物は、世界を救う。

昨日エントリではののわ氏のツイートに触れたところ本人にコメント欄にご降臨いただくという思わぬ栄誉に浴したが、最近注目を集めたののわ氏ツイートには以下のものがあった。 https://twitter.com/nonowa_keizai/status/514030009732714497:twitterここで…

為替と交易利得・再訪

岩田一政元日銀副総裁のブルームバーグインタビュー記事が一部で話題を呼んでいる。池尾和人氏がツイッターでそれに同意を示したところ、フランソワーズ二郎氏がサブプライム問題と比較した場合の交易条件の悪化による悪影響の定量的な評価についての疑問を…

バリー・リソリツが3万のブログポストから得た教訓

バリー・リソリツがThe Big Pictureを2003年に立ち上げて以来書いたブログエントリが3万に達したのを機に、そこから学んだことをWaPoにまとめている(H/T Economist's View)。以下はその概要。 書くことは自分がどう考えるかを知る良い方法 書き始めるまで…

財政悲観主義を招いたのは誰?

昨日取り上げたサイモン・レン−ルイスのエントリの冒頭では、以下のような断り書きが追記されていた。 After I wrote this I saw that Frances Coppola has a post that covers some of the same ground, but the point I want to make is different. (拙訳…

マネタリズムもFTPLもインフレ予測に役に立たない

前回エントリで取り上げたクリス・ディローの考察は、サイモン・レン−ルイスの「インフレの過度に単純化された理論(Simplistic theories of inflation)」というエントリをきっかけに展開されていた。同じレン−ルイスのエントリを、クルーグマンもこちらの…

難しい問題には簡単な答が存在することもある

少し前にブクマしたクルーグマンのブログエントリ(邦訳[=2番目の記事])は、クリス・ディローのブログエントリにリンクしていたが、そちらには以下のようなことが書かれている。 There's a long tendency for people to be attracted to simple ideas. M…

スター選手がさらにスターを生み出すのか?

「Do Star Performers Produce More Stars? Peer Effects and Learning in Elite Teams」というNBER論文(ungated版)をCasey Ichniowski(コロンビア大、今年初めに死去)とAnne Preston(ハバフォード大)が書いている。 以下はその要旨。 This study inve…

マンキューがマンキュールールを破る時

2年半ほど前、マンキュールール(=マンキュー版テイラールール)を巡るマンキューとクルーグマンの軽いskirmishを紹介したことがあった。その時マンキューは、ゼロ金利からもうすぐ抜け出せそうだと言わんばかりのエントリを書いてクルーグマンから文句を付…

資産運用契約と均衡資産価格

以下はAndrea M. Buffa(ボストン大)、Dimitri Vayanos(LSE)、Paul Woolley(LSE)による「Asset Management Contracts and Equilibrium Prices」というNBER論文(ungated版)の要旨。 We study the joint determination of fund managers' contracts and…

コント:ポール君とグレッグ君(2014年第13弾)

マンキューとクルーグマンが、ノアピニオン氏のブルームバーグ論説に対し正反対の反応を示した。テーマは議論における礼儀正しさで、その点では第12弾(や第1弾)の続編とも言える。 グレッグ君 ノア・スミスが良いこと言った: 我々の議論の大部分は、オバ…

詐欺が経済を破綻させるのか?

という点についてピーター・ドーマンが考察している。 I would like to distinguish between the cyclical visibility of fraud and its actual cyclicality. Fraud is exposed in the crash, but did it peak just prior to it and cause it to happen? The…

季節調整が単位根検定に与える影響

についてDave Gilesがまとめている。 One of the consequences of these standard seasonal adjustment procedures is that they introduce a moving average (MA) component into the data. Indeed, that's part of the point of using them - to smooth ou…

インターバンク市場の摩擦が役立つ時

「Frictions in the interbank market and uncertain liquidity needs: Implications for monetary policy implementation」という論文をMonika Bucher(ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフ)、Achim Hauck(ポーツマス大)、Ulrike Neyer(ハインリ…

奴隷か傭兵か:フリードマンと完全志願制の軍隊

UDADISIがシングルトンによる表題の論文(原題は「Slaves or Mercenaries: Milton Friedman and the Institution of the All-Volunteer Military」)を紹介していたので、この人はファイナンスだけでなくこの方面も研究していたのかと思ったが、シングルトン…

大胆な改革こそが長期停滞への唯一の解

3日エントリで紹介したゴードンの研究にサマーズも反応し、表題の論説を書いている(原題は「Bold Reform is the Only Answer to Secular Stagnation」;本石町日記さんツイート経由のEconomist's View経由)。 The economy continues to operate way below …

実質GDPの測り方

ヒューストン大学准教授Dietz VollrathのブログThe Growth Economics Blogにおいて、GDPの国際比較を行う場合にどの価格体系を使うべきか、という点について興味深い指摘がなされている。同ブログでは携帯電話と散髪の二財モデルをベースに、米国とナイジェ…

ABMを巡る迎撃

一昨日のエントリの注記で、Backhouse=Laidlerが描写するストックホルム学派の手法とエージェント・ベース・モデル(ABM)の類似性を指摘したが、こちらのRajiv Sethiのブログエントリを読むとその感を強くする。 What you cannot have in an ABM is the as…

帰無仮説の検定は反証主義的な手法ではない

ということをアンドリュー・ゲルマンが強調している。 ...it’s my impression that null hypothesis significance testing is generally understood as being part of a Popperian, falsificiationist approach to science.So I think it’s worth emphasizin…

IS-LMで失われたもの

という10年前の論文*1をDavid Glasnerが先月下旬のエントリで取り上げている。同論文によると、IS-LMはそれ自身ケインズの一般理論の部分的かつ不完全な蒸留物であったが、一般理論とともに、当時のマクロ経済学の有望な分野の芽を摘んでしまったのではない…

住宅価格にモメンタム効果は無い?

モメンタム効果の研究で知られる*1シェリダン・ティットマンが、住宅価格に関するNBER論文*2を書いている。論文のタイトルは「The Dynamics of Housing Prices」で、著者はSheridan Titman(テキサス大オースティン校)、Ko Wang(ジョンズ・ホプキンス大*3…

ゴシップで分かること

以下はアビジット・バナジー、エスター・デュフロらのNBER論文*1「Gossip: Identifying Central Individuals in a Social Network」の要旨。著者はAbhijit Banerjee(MIT)、Arun G. Chandrasekhar(スタンフォード)、Esther Duflo(MIT)、Matthew O. Jack…

ゴードン「実質成長率が3%台に戻す? 供給が追い付かないよ?」

以下は、ロバート・ゴードンのNBER論文「A New Method of Estimating Potential Real GDP Growth: Implications for the Labor Market and the Debt/GDP Ratio」の要旨。 Forecasts for the two or three years after mid-2014 have converged on growth rat…

最高の人生の選び方

リッチモンド連銀の季刊誌Econ Focusの最新号が、今年92歳になった経済学者Richard Timberlakeのインタビュー記事を掲載している(H/T Tim Taylor)。 以下はその中で語られているミルトン・フリードマンとのエピソード。 Milton Friedman was a triple star…

均衡実質金利とテイラールール

ジョン・テイラーが、PIMCOのPaul McCulleyが書いた最近のニューズレターから以下の一節を自慢げに引用している。 …for me, it is so befuddling that the Fed, and thus the markets, still clings – even if reluctantly – to one man’s estimate of an “e…