2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

コント:ポール君とグレッグ君(2014年第3弾)

ここで紹介した5年近く前の「賭け」についてマンキューが勝利宣言をしている。 グレッグ君 僕がポール君に提案した(でも応じてもらえなかった)オバマ政権の経済予測に関する賭けについてだが、スコット・サムナーが僕が勝っていたはずだと宣言しているね。…

いかにして経済学者が博士の異常な愛情をインスパイアしたか

と題したエントリ(原題は「How an Economist Helped Inspire the Movie Dr. Strangelove」)で、マンキューがハーバードケネディスクールのニュースサイトの1/28付け記事に、「それはもちろんトーマス・シェリングだ(Thomas Schelling, of course.)」とい…

コント:ポール君とグレッグ君(2014年第2弾)

およそ2ヶ月ぶりにマンキューがクルーグマンのNYT論説に正面から反応した。 グレッグ君 最近のNYT論説でポール君は、大きな格差が健康の悪化と高い死亡率をもたらすという強力な実証結果がある、と書いた。で、その件についてオンライン版のポール君の論説の…

FRBがFFレートに見切りをつけるべき理由

WSJブログ記事*1を紹介する形で本石町日記さんがつぶやいていたが、ピーターソン国際経済研究所のジョセフ・ギャニオンとDEショーのブライアン・サックが、同研究所サイト上の論文において、新しい金融政策の枠組みを提案している。 論文では、危機時のみな…

エネルギー節約技術の進歩がエネルギー消費の減少につながらない理由

についてペンシルベニア大学ウォートン校教授のArthur van Benthemが研究した結果を、同大の「The K@W Network」1/16付け記事が報告している(H/T Mostly Economics)。 記事の冒頭では、研究のテーマを以下のように表現している。 Developing nations these…

ドクター・ハウスとかつての弟子との論争

ノアピニオン氏が、かつてのマクロ経済学の「先生」であるChris Houseとマクロ経済学の意義について論争を繰り広げている。ノアピニオン氏がThe Week誌でマクロ経済学は経済学の中で最弱と腐したのに対し、Houseがむしろ最強に近い、と自ブログエントリで反…

経済的移動性は下がっていない

というNBER論文をマンキューが紹介している。論文の著者はRaj Chetty(ハーバード大)、Nathaniel Hendren(同)、Patrick Kline(UCバークレー)、Emmanuel Saez(同)、Nicholas Turner(財務省)で、論文のタイトルは「Is the United States Still a Land…

政府が統計操作に手を染める時

と題したエントリ(原題は「When countries manipulate economic data」)で、Economic Logicが「Do countries falsify economic data strategically? Some evidence that they might」という論文を紹介している。論文の著者はTomasz MichalskiとGilles Stol…

労働から消費への税のシフトは効率的だが逆進的?

という論文をEconomic Logicianが紹介している。論文の原題は「Shifting Taxes from Labor to Consumption: Efficient, but Regressive?」で、著者はIZA(Forschungsinstitut zur Zukunft der Arbeit/Institute for the Study of Labor)のNico PestelとEri…

学部長の業績と学部の業績

マンキューが自慢げにこの論文にリンクしている。以下はその要旨。 Much of human knowledge is produced in the world’s university departments. There is little scientific evidence, however, about how those hundreds of thousands of departments ar…

サプライチェーンが増幅する貿易からの利得

タイラー・コーエンが、「新しくおそらくは重要な論文(new and probably important paper)」として、ハーバードのMarc MelitzとプリンストンのStephen ReddingのNBER論文「Missing Gains from Trade?」を紹介している(Economist's Viewもリンクしている)…

一般競争モデルにおける銀行の“デバイス競合”

昨日紹介したウォレスインタビューでは、ダイアモンド=ダイビックモデルの意義について以下のように述べられている。 The literature on banking has always been—like that on money—a troublesome literature. This goes back to economists’ feelings th…

量的緩和政策とパイの切り分け

バーナンキが「QEの問題点は実際には効果があるのに理論上は効果が無いことだ(The problem with QE is it works in practice but it doesn't work in theory)」と述べ、話題を呼んだようだが、まさにその理論上の無効性を示した1981年の論文(cf.ここ)に…

オイラーは方程式、やくざな方程式・補足

前回エントリについて、マクロ経済学者はハンセンも知らないのか、という主旨のメンションをツイッターで頂いたが、もちろんそれは事実に反する。紹介では省略してしまったが、元エントリでは、オイラー方程式に否定的な実証研究を巡るEichenbaumとノアピニ…

オイラーは方程式、やくざな方程式

ノアピニオン氏がセントルイス連銀の秋季コンファレンスに出席した時のエピソードをブログに書いているが、Martin Eichenbaumが講演で「次のモデル更新ではオイラー方程式を遂に放逐できるだろう」と語ったことに耳目を引かれたとの由。そこで講演後にEichen…

ワーキングプアを助ける上で最低賃金は最低の方策

マンキューが最低賃金引き上げの逆効果をデビッド・ヘンダーソンのブログ記事から引用しているが、そのブログ記事はヘンダーソンのへの寄稿記事を元にしたものであり、さらにその寄稿記事の元ネタは「Joseph J. Sabia and Richard V. Burkhauser, “Minimum W…

金利に反応しない投資

本石町日記さんもツイートされているが、FRBが投資の金利感応度に関する論文を出している。著者はSteve A. SharpeとGustavo A. Suarezで、論文のタイトルは「The insensitivity of investment to interest rates: Evidence from a survey of CFOs」。 以下は…

汚物を除去した後の新年の辞

コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁のAEAでの講演がEconomist's ViewやMostly Economicsで紹介されている。 Over the past four decades in Minneapolis, we have found that, to be effective, independent research should follow the usual rules of aca…

2013年の最も重要な経済学的イベント

をブルームバーグが各経済学者に取材した結果を正月付け記事として上げている(H/T Mostly Economics)。 以下はその一覧。 Janet Currie, professor of economics and public affairs at Princeton University: 米国の乳児死亡率の低下 CDCによると2005年か…

DSGEなんかいらない?

ノアピニオン氏が、民間部門でDSGEが使われていないことから、DSGEは市場テストに失敗しているのではないか、という疑問を投げ掛けた。これにMRでアレックス・タバロックが良い指摘だ、と反応した。また、マシュー・イグレシアスは、問題なのはあくまでも淡…

ガラパゴス文化から脱するフランス

Mostly Economicsが、経済に直接関係あるわけでは無いが面白いので(Not really connected to economics but an interesting article)として、Theodore Dalrympleによる1/9付けCity Journal記事を紹介している。 以下は同記事の冒頭部。 France is three or…

景気循環の非対称性を生み出すもの・その2

12/29エントリで紹介した景気循環の非対称性の問題について、EconospeakのKevin Quinnが簡単なモデルで考察を試みている。彼のモデルは概ね以下の通り。 独占的競争では、多くの同型の生産者は同一の需要関数に直面するものとする。 Pi/P = M/P - QiここでPi…

敬意と個性と礼儀と文化(と宗教)

昨日に続き、ノアピニオン氏の提唱する敬意絡みのネタをもう一つ。タイラー・コーエンが、日本ではお互いに敬意を払うというノアピニオン氏の見方に疑問を呈し、米国の方がその点では優れているというエントリを上げたが(邦訳)、同エントリの最初のコメン…

敬意は物質的格差と切り離せない?

1/2エントリでマンキューブログを通じて間接的に紹介した、人は地位に関係なくお互いに敬意をもって接すべき、というノアピニオン氏の提唱に、クリス・ディローも反応している。彼はまず、ジェイ・Zの王様気取りの振る舞いや、シカゴ大学で作業員がエレベー…

ビッグデータにおける統計的有意性

というエントリがBig Data Econometricsなるブログに上がっていることを昨年末にDave Gilesが紹介している。以下はそのブログエントリ「Statistical significance in Big Data」からの引用。 It has been recognized for some time that when using large da…

世界各国における能力への報酬

と題されたNBER論文(cf. OECDのungated版)をマンキューが紹介している。原題は「Returns to Skills around the World: Evidence from PIAAC」で、著者はifo研究所などに所属するEric A. Hanushek, Guido Schwerdt, Simon Wiederhold, Ludger Woessmann。以…

合理的政治人としての岸信介

年末年始に何となく手元の岸信介に関する本を幾つか*1眺めていたら、この人は基本的に、一般に思われているような単なる権力志向の右翼政治家ではなく、所与の前提下で最適な政治解決策を求める、という、ある意味非常に学校秀才的な合理的行動を取る人だっ…

グリーン車と普通車の間の均衡問題として考えてみると

昨日二重の意味で炎上騒ぎがあった新幹線のグリーン車の問題を表題の経済学的問題として考えられないかと無い知恵を絞って素人なりに頭を捻ってみたのでメモ。 通常の状態 普通車に比べたグリーン車による効用と、そのための対価が均衡…通常の運行状況を前提…

ビットコインは貨幣に非ず?

ビットコインを巡ってクルーグマンが幾つかエントリを書いているが、彼の見解は、貨幣として見た場合に価値貯蔵の機能が脆弱ではないか、という12/28付けの最初のエントリでの疑問に尽きているように思われる*1。その点について科学技術者に問い質した時の話…

コント:ポール君とグレッグ君(2014年第1弾)

名指しはしていないけれどクルーグマンのことを念頭に置いていると思われるので、一応拾っておきます。 グレッグ君 ノア・スミス*1とデビッド・ヘンダーソンが敬意について説得力のあることを書いているね。他人を経済的・社会的地位に関係なく敬意をもって…