2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧 - himaginary’s diary

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マイノリティの住宅保有者は住宅景気の変動に弱い

というNBER論文をEconomic Logicが紹介している。論文の原題は「The Vulnerability of Minority Homeowners in the Housing Boom and Bust」で、著者はPatrick Bayer、Fernando Ferreira、Stephen L. Ross。 以下はその要旨。 This paper examines mortgage …

紐を押すのはやはり難しい

Economist's Viewの5/29付けリンク集でリンクされた論文をもう一篇紹介してみる。以下はLSEのSilvana TenreyroとGregory Thwaitesによる論文「Pushing On a String: US Monetary Policy is Less Powerful in Recessions」の要旨。 We estimate the impulse r…

コアインフレ率はどれだけ上手く恒久的な物価変動を捉えているのか?

というテーマについて書かれた論文にEconomist's Viewがリンクしている。論文の原題は「How Well Does “Core” Inflation Capture Permanent Price Changes?」で、著者はMichael D. Bradley(ジョージ・ワシントン大学)、Dennis W. Jansen(テキサスA&M大学…

国際金融システムに「システム」を付与する

と題されたMichael D. BordoとAngela RedishのNBER論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Putting the ‘System’ in the International Monetary System」。 以下はその要旨。 The international gold standard of the late nineteenth century has …

南北戦争の経済的理由

について書いた論文にUDADISIがリンクしている。論文のタイトルは「Why Fight Secession? Evidence of Economic Motivations from the American Civil War」で、著者はイェール・ロー・スクールのZachary Liscow。 以下はその要旨。 Why fight secession? Th…

ケインズ経済学が短期にのみ拘泥しているという偏見

が生じた理由をEconospeakでピーター・ドーマンが考察している。ドーマンによれば、その理由は以下の2つあるという。 ケインズ経済学は投資から消費に資源を振り向ける、というハイエクらに代表される見解 過剰消費→過少投資→過少雇用、というのがハイエクの…

パソコンの有無は学業に関係ない

という研究結果がNBER論文*1で報告されている(H/T UDADISI)。著者はカリフォルニア大学のRobert W. FairlieとJonathan Robinson。 以下はその要旨。 Computers are an important part of modern education, yet many schoolchildren lack access to a comp…

不完備契約が最適となる場合

「Incomplete contracts can be optimal」と題したエントリで、Economic Logicがオリバー・ハート(Oliver D. Hart)らの「More is Less: Why Parties May Deliberately Write Incomplete Contracts」というNBER論文を紹介している。共著者はMaija Halonen-A…

言語だけでなく方言もまた交易に影響する

という主旨の論文をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Same Same But Different: Dialects and Trade」で、著者はAlfred Lameli(ドイツ言語地理研究所(Research Centre Deutscher Sprachatlas))、Volker Nitsch(ダルムシュタット工科大学)、Je…

四世紀前のリスク管理

と題したエントリで、Economic Logicが一橋大のWPを紹介している。論文のタイトルは「Share Portfolios and Risk Management in the Early Years of Financial Capitalism:London 1690-1730」で、著者はコロラド大学ボルダー校のAnn M. Carlos、ゲティスバー…

輸入との競争が激化すると高校中退率が減る

という論文をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「The Good News About Disappearing Jobs: U.S. High School Dropout Rates and Import Exposure」で、著者はパデュー大学のAndrew GreenlandとJohn Lopresti。以下はその要旨。 We exploit regional v…

ニューヨークで働く女性が少ないわけ

について書かれたセントルイス連銀のWPをMostly Economicsが紹介している。著者はDan A. Black、Natalia Kolesnikova、Lowell J. Taylor(Blackはシカゴ大、Kolesnikovaはセントルイス連銀、Taylorはカーネギーメロン大;BlackとTaylorはNORCとIZAにも属して…

高齢者は資産を十分に素早く取り崩していない

と題したエントリ(原題は「The elderly are not decumulating their wealth fast enough」)で、Economic Logicがその現象と金融リテラシーとの関係を分析した論文を紹介している。論文のタイトルは「Housing wealth decumulation, portfolio composition a…

月曜日は土曜日に始まる

ならぬ月曜日には正直になる、という論文をEconomic Logicが紹介している。論文の原題は「Honest on Mondays: Honesty and the Temporal Distance between Decisions and Payoffs」で、著者はベングリオン大学のBradley J. Ruffleとエルサレム工科大学のYoss…

早期退職と健康

以前、早期退職と早死にに関する研究を紹介したことがあったが(ここ、ここ)、UDADISIが退職と健康に関する論文から以下の図を紹介している。 論文のタイトルは「The Health Consequences of Retirement」で、著者は海軍兵学校のMichael Insler。以下はその…

コント:ポール君とグレッグ君(2013年第3弾)

一応拾っておきます。 ポール君 僕の知る限り、基礎教科書で流動性の罠に兎にも角にも言及しているのはクルーグマン=ウェルスだけなのだな、これが。 グレッグ君 ポール君の言っていることはおそらく事実だ。いや、他の教科書が流動性の罠をカバーしていな…

保険料率の安定とFanti論文

半年ほど前に小生が要旨を紹介したピサ大学のLuciano Fantiの論文「経済成長、年金の賦課方式、および定年(Growth, PAYG pension systems crisis and mandatory age of retirement)」がツイッター上で少し話題になったようなので、最初に紹介した者の責任…

社会の目は規則違反の行動を抑止するか?

というテーマについて、結構微妙な手法を用いて検証した論文をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Does Social Judgment Diminish Rule Breaking?」で、著者は南メソジスト大学のTimothy C. SalmonとDanila Serra。 以下はその要旨。 We experimental…

学生が経済学の実験に参加するのは金目当て

という点を実証した論文をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Self-Selection into Economics Experiments is Driven by Monetary Rewards」で、書いたのはノッティンガム大学のJohannes AbelerとDaniele Nosenzo。以下はその要旨。 Laboratory exper…

実質為替レートと交易条件の乖離をもたらしたもの

ここ2日間、交易利得関係のエントリを続けたが、今日も交易条件ネタ。 少し前のアゴラに池尾和人氏が「実質為替レートと交易条件」というエントリを上げ、経済産業研究所(RIETI)の森川正之氏のコラムを引きつつ、リーマンショック以降、それまで同様の動き…

為替と交易利得

昨日に続き交易利得ネタ。最近の円安に関して、交易利得への悪影響を懸念する声が時々聞かれる。では、為替レートはこれまでの交易利得にどの程度の影響を与えてきたのだろうか? まず、日銀の輸出入物価指数と円レートの推移を見てみよう。 このグラフは年…

交易利得とニュメレール・デフレーター

少し前のはてぶで、交易利得の計算におけるニュメレール・デフレーターは輸出入の寄与を人為的に均等化している、と書いたが、その点について少し補足しておく。 名目輸出をX、名目輸入をY M、実質輸出をx、実質輸入をy mとすると、ニュメレール・デフレータ…

嘘の謝罪は見抜かれる

ということを実験で実証した論文をEconomic Logicが紹介している。論文の原題は「I am sorry [ニコちゃんマーク] - Honest and fake apologies」で、著者はエアランゲン・ニュルンベルク大学のVerena Utikal。以下はその要旨。 Apologies have a positive …

競争相手が正解した時のプレッシャー

について調べた論文をUDADISIが紹介している。 以下はその要旨。 This paper investigates how individuals’ performances of a cognitive task in a high-pressure competition are affected by their peers’ performances. To do so, I use novel data fro…

プロテスタンティズムの倫理は存在するか?

マックス・ウェーバーのプロ倫を巡る研究は本ブログでもここやここやここで紹介したことがあったが、また新しい研究をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Does a Protestant work ethic exist? Evidence from the well-being effect of unemployment…

ドル化された国における米国の金融政策の影響分析

と題された論文をUDADISIが紹介している。論文の原題は「Analyzing the effects of US monetary policy shocks in dollarized countries」で、著者はオックスフォード大のTim Willems。以下はその要旨。 Identifying monetary policy shocks is difficult. T…

日本の金融リテラシーの世界における位置づけ

を示す図をUDADISIがブログエントリに上げている。この図の引用元は、ダートマス大のAnnamaria Lusardiとペンシルベニア大のOlivia S. Mitchellの共著論文「The Economic Importance of Financial Literacy: Theory and Evidence」。ただし、図の元データと…

なぜ住宅ローン市場は崩壊したのか?

と題した5/1エントリで、タイラー・コーエンがボストン連銀のディスカッション・ペーパーを紹介している(エントリの原題は「Why the housing market imploded」)。論文のタイトルは「Why Did So Many People Make So Many Ex Post Bad Decisions? The Caus…

交易条件がGDPデフレータに与えた影響

「散歩から探検へ〜政治を動かすもの」ブログの「黒田バズーカ砲は華麗なる空砲か(4)〜「雀を羆にすり替え」齋藤誠〜」と題された4/29付けエントリで、消費者物価は安定していたが、GDPデフレータが下がったためにデフレ感が蔓延していた、然るにそのGDPデフレ…

出生率と女性の労働参加率の関係

昨日に続き出生率絡みの論文を紹介してみる。 以下は10年前のドイツはマックスプランク人口研究所のTomas Kögelの論文「Did the Association Between Fertility and Female Employment Within OECD Countries Really Change its Sign?」の要旨。 Recent lite…