五反田団『びんぼう君』 - 青春ゾンビ

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五反田団『びんぼう君』


五反田団の代表作『びんぼう君』の再演を観た。貧乏な父と息子の2畳2人暮らし。息子の誕生日会にクラスメイトを呼ぶも、結局仲がいいわけでもない女子が1人しか来なくて・・・という3人芝居だ。父と息子の関係にクラスメイトが入る事で、息子とクラスメイトの関係に父が入る事で、それぞれ演じていた役割が変化していく様がたまらなく面白い。また、劇内で人形遊びやおままごとに興じる。更に元をただせば演劇というのは役者が演じているものであって、「演じる」という行為が複雑に絡み出していくのを目の当たりにする興奮。では、小難しい芝居なのか、というとそんな事は全くなく、むしろ大それたものを演劇に期待している人には口足りないくらいのライトな味わいに仕上がっている。貧困に対抗する技は想像力で、テレビを観た事のないびんぼう君が想像力でサザエさんを筋肉質な男として立ち上げたり、集めて燃やすと紫の炎が出ると信じて爪切りにいそしんだりする愛おしさ。2畳を舞台にした小さな演劇だが、90分があっという間に感じた。