ここ広島には、目にも鮮やかな見所がいろいろある。
緑豊かな平和都市、日本三景でおなじみの宮島、近年だと特別名勝峡谷に指定された三段峡(さんだんきょう)がフランスの日本ガイド「Guide Bleu Japon」で三つ星を獲得したり。
見ごたえあるのは、陽が落ちた後も同じ。
先日、世界的な経済誌「フォーブス」が発表した「夜景の美しい世界都市トップ10」では、広島が世界6位にランクイン(!)、東京に次いで日本で2番目に夜景の美しい都市だと評価された。
美しいのは夜景だけじゃない。
本日は、ガイドブックにも載っていない、僕だけの穴場をご紹介しよう。
なぜ穴場かというと、この絶景が見れる間、大半の人は布団の中で二度寝の最中であるから^^
早速スーパームーン翌朝の出来事から、エッセイ調に綴っていこう。
夜明けのランデブー
早朝ウォーキングに出ていると、当たり前のようで当たり前でないことに気づく。
夜明けは2つとして同じものがないことに。
地球上に同じ人間が2人といないように、夜明けにも個性がある。
空の色、雲の形、風の声、それに朝陽の表情。
朝が訪れるたび、昨日と違う夜明けに出会える。
今朝はどんな夜明けかな?
目覚めると、体よりも気持ちが先走る。
歯を磨いてパジャマを着替えたら、スニーカーを履く時間ももどかしく、ペールブルー色の朝靄(あさもや)へ飛び出す。
まるで夜明けとデートするみたいに。
スーパームーンの翌朝
眠った街を後にして、川風と合流した。
5:41。
西の空を見上げて立ちすくむ。
ビルの谷間に見つけたのは、輝くばかりに美しい女神。
神々しい月影の、なんと妙なること。
まるで人工都市に飾られたルネサンス絵画のよう。
それにしても、この気まぐれな月の女帝陛下。
年に一度のスーパームーンだというのに、こちらを焦らすように、一向に御身を見せてくれない。
いくら待ってみても、厚い雲のベールの向こうに隠れあそばされたまま^^
ウユニ塩湖まで行かなくても
並木路を川沿いに南下すること十数分。
夜明けが近い。
6:09、満潮時。
風は翼を休め、川でさえ海へ向かうのを止めた。
動いているのは、悠々と空を泳いでくる雲の艦隊だけ。
やがて静寂の中、太陽神アポロンが東の空に一矢を放った!
夜明けと川面のコラボレーション!
なんと美しく、迫って来るように情熱的な夜明けだろう。
まるでウユニ塩湖のような鏡面作用で、浮世離れな絶景を描き出す。
わざわざ地球の裏側まで飛んで空気の薄いボリビア高地を旅しなくても、都市生活の徒歩圏内でこんな絶景が待っているなんて。
絶景の作り方
ただしここは川だから、こうした絶景を目にするには、ウユニ塩湖以上に条件が厳しい。
その条件とは、
①快晴かつ
②東の上空にまとまった雲が出ていて
③満潮で河川の流れが止まっているわずかな隙に
④川面を波立たせる川風が止んでいて
⑤にもかかわらず高空では雲を吹き散らすほどの強風がなくてはならない^^;
まさしく自然界の奇跡的な偶然が重なり合った結果、絶景が姿を現すというわけだ。
もう1つ、地理的な条件としては、
⑥川の西岸にいること
舗装された東岸はジョギングやウォーキングで人が行き交ってるのだけど、そこだと太陽と川が正反対の位置にあるため、奇跡的な鏡面効果が起きていることを知る由もないのだ。
神の領域
さらに川に沿って歩みを進めていこう。
見る間に形を変えていく雲は、ますます歓喜の色を濃くしてゆく。
もはや現実世界を超越して、ファンタジー級の絶景!
雲が川の中で優美に泳ぎ戯れている様子ときたら、まるで天国の写し絵のよう。
逆光で佇むビル群が、どことなく城門や砦に見えてしまう。
さながら大英帝国かペルシア帝国の斜陽を想起させる、壮麗な一枚だ。
湾岸の風
6:55。
やがて川風は、海風へと変わってゆく。
広島湾岸に出るこの辺りまで来ると、西岸をたどっているのは僕1人きり。
次第に、街が目覚め始める。
夜明けの魔法は、音もなく解(ほど)けていった。
ほぅ、満足の吐息が漏れる。
そろそろ家路に着くとしよう。
今日1日を豊かにする、魂の糧(かて)を胸に。
それからひと月後
こちらは今朝7:03。
同じ場所、同じシチュエーションで撮ってみたもの。
鏡面じゃなくても、これはこれで雲の表情と色彩のコントラストが素晴らしい♪
ふと、小雨がパラリ降りてきたと思ったら、
南西の空に虹がかかって、
中空に浮かぶ白い点のような満月の反対側に根を下ろした。(画像を拡大していただけば、虹の根元だけが両サイドの山際にうっすら浮かび上がっているかと)
それにしても、疾走していく左右の雲のフォルムときたらイカしてる^^
まるで羽根のついた靴を履いて、青空で駆けっこしているようだ♪
毎朝がドラマティックだから、早朝ウォーキングは楽しい。
では読者の皆さま、今週も良い1週間を♪
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