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Microsoft「Visual Studio 2022」を発表、待望の64bit化
4月の下旬に、Microsoft から、アプリケーションの統合開発環境 Visual Studio の時期バージョン Visual Studio 2022 が発表された(
Visual Studio Blog、
窓の杜)。
この発表で話題になったことの1つに、Visual Studio の64bitアプリケーション化がある(作成したアプリケーションの出力は、これまでどおり32bit、64bitの両方をおこなえる)。
これまで32bitアプリケーションだった Visual Studio は、64bitアプリケーションになる。そのことでメモリ不足などの発生が起きなくなり、大規模なソリューションをあつかえるようになる。
もう1つアプリケーションの64bit化の話題がある。こちらは開発者だけでなく、一般の人にも関係することだ。Microsoft の OneDrive である(
窓の杜)。
これまでは32bitアプリケーションしかなく、64bitの Windows でも、32bitアプリケーションを使わざるを得なかった。OneDrive で64bitアプリケーションが使えるようになれば、サイズの大きなファイルを大量に送る場合などにパフォーマンスが向上する。
Microsoft は去年の5月に、メーカーへのOEM用の Windows は、64bit版 Windows 10 のみにすると発表した(
マイナビニュース)。Microsoft は段階的に、32bit版の Windows を終了させようとしている。
32bitと64bit。この数字の違いは何なのか。Widows 上で動作する際に、どのような違いがあるのか。Windows の歴史とともに見ていこう。
まず、32bitと64bitの話題で出てくるbitとは何かについて話す。
普段我々は、10で桁が上がる10進数という数え方を使っている。対してコンピューターでは、2で桁が上がる2進数という数え方を使っている。bitは、この2進数の1桁のことを指す。
2進数では、0、1の次は、桁が上がって10になる。10、11の次も、桁が上がって100になる。以降、101、110、111となり、1000の時点で桁が上がる。
なぜこんな奇妙な数字を使うのか。2進数は、機械で表現するのが簡単だからだ。2進数の1をスイッチON、0をスイッチOFFと置き換えてみる。2進数の桁は、ON/OFF のあるスイッチを並べることで簡単に実現できる。
たとえば、101、110、111は、ON-OFF-ON、ON-ON-OFF、ON-ON-ONで表現できる。
ONとOFFしか状態がなければエラーが発生しにくい。10段階のスイッチが並んでいれば、ちょっとしたことで壊れたり、値がずれたりしてしまう。
実際のコンピューターは、物理的な機械ではなく電子的な機械だ。電子的な装置でも、10段階より2段階の方がエラーが起きにくい。
2進数は単純な機構で数字をあつかえる。人間には分かり難いが、機械を作る上では便利な数え方なのだ。
さて、このbitなのだが、1bitでは0~1の2つの値を表現できる。2bitでは、2×2で0~3の4つの値を表現できる。3bitでは、2×2×2で0~7の8つの値を表現できる。以降、1bit増えるごに、2倍ずつあつかえる数が増える。
32bitの世界では、2を32回掛ける。そして0~4,294,967,295の整数をあつかえる。この数値を使って、メモリーを管理すると、4GBのメモリー空間をあつかえる。
32bit版の Windows では、基本的に4GBまでしかメモリーを使えない。こうした制約は、32bitという数値の範囲によって発生する。
次に64bitの世界では、2を64回掛ける。そして0~18,446,744,073,709,551,616の整数をあつかえる。大幅に範囲が増えるために、4GBのメモリーの制限がなくなる。32bitと64bitでは、このように、あつかえるリソースの範囲が大きく変わる。
Windows 10 であつかえる物理メモリーの制限を見ていこう(
Microsoft Docs)。32bit版(X86)では、いずれも4GBになっている。64bit版(X64)では、Windows 10 Home が128GB。Windows 10 Pro 、Windows 10 Education が2TB。Windows 10 Enterprise と Windows 10 Pro for Workstations が6TBになっている。
また、32bit版と64bit版のWindowsには、あつかえるHDDの容量にも違いがある。32bit版では2TBまでの制限がある。動画が主流になり、大きなデータを保存するようになった現在では、64bit版のWindowsの方が使い勝手がよいということになる。