信頼関係は意図的に作れる。トップ営業マンが使う「ミラーリング」

 心理学に関する本が書店平積みされている昨今。しかし、その技術を実際に活用している人は意外と少ない。多くの人が「話のネタ」として使う程度で終わっており、なんとももったいない気持ちになってしまう。

「なんだか気が合う」を意図的に

photo via Ashinari

 心理学のテクニックを「豆知識」で終わらせている人が多いいっぽうで、無意識にせよ、戦略的にせよ、その技術を活用して、多くの成功や高い地位を獲得している人もいる。  結果を出している優秀な人物と話すと、「この人は◯◯という心理テクニックを、こう使っているのか」と感じさせられる。多くの場合において、彼らは心理テクニックをうまく使っているのだ。  筆者は「心理学は多くの社会問題を解決できる武器となる」という可能性を信じて、これまでその武器を磨くための活動を続けてきた。優秀な方の使っているテクニックを他の人でも使えるよう心理学と照らし合わせ、モデリンク(体系化)することで仕事やプライベートで結果を出したい方にレクチャーをしている。  現在は、とある外資系保険会社の営業メンバーに「心理術をレクチャーし、営業成績を上げる」というプロジェクトを行なっているが、本記事で取り上げるテーマも、結果を求められる営業のための心理戦略セミナーで教えているもののひとつである。  その心理テクニックとは、相手と信頼関係を築くのに有効な「ミラーリング」と呼ばれるもの。恋愛やコミュニケーションに関する心理学の本によく登場するので、ご存知の方もいるかもしれない。  これは神経言語プログラミング(NLP)のテクニックのひとつで、相手の仕草・表情・姿勢・声のトーン・呼吸などを鏡のように真似することで、相手の意識・無意識に類似性を植え込み、ラポール(信頼関係)を築いていく。  仕草や話のスピード、表情などが合うことで、「この人とは気が合う」という感情が起きるのではないかと考えられている。逆にそういった要素が合致しないと、「なんだか合わないな」と思われてしまい、共感は発生しない。当然、ラポールも築けなくなってしまう。  しかし、実践するうえで気をつけたいのは、多くの人が単純に「相手の仕草を真似る=ミラーリング」だと理解していることだ。  筆者がミラーリングについてレクチャーするとき、「動作を合わせる」というミラーリングは最初に実践するものとしては勧めない。動作が合ったかどうかは、ラポールが形成されたかチェックするときに使えばいいのだ。ラポールが築けると、相手は自然と自分の仕草を無意識に真似するようになる。これは、「リーディング」と言われており、十分なラポールが築けた証拠となる。  正直、仕草を真似しているのがバレると「なんだか気持ち悪い」と思われてしまい、むしろ人間関係に悪影響を及ぼしてしまう。ある心理学の本では「気づかれないように仕草を真似してください」と書いてあったが、それはそれで難易度が高い。
次のページ
「ミラーリング」のポイントはここ!
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会