新着! カール・ベームの四季ライヴ - ハイドン–オラトリオ

作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のアルバム収集とレビュー。音楽、旅、温泉、お酒など気ままに綴ります。

新着! カール・ベームの四季ライヴ

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本日、他の注文といっしょにHMV ONLINEから到着したアルバム。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ヒストリカルなレコーディング復刻の大御所、GOLDEN Melodramからのリリースされたばかりの、カール・ベーム指揮のウィーン・フィル、1965年5月22日のライヴ録音。ソプラノがヒルデ・ギューデン(Hilde Güden)、テノールがヴァルデマール・クメント(Waldemar Kmentt)、バス・バリトンがヴァルター・ベリー(Walter Berry)、ハープシコードがフランツ・ホレチェク(Franz Holecek)、合唱がウィーン楽友協会合唱団という豪華な組み合わせ。いやがうえにも期待が高まります。

ベームにはこのアルバムの2年後、1967年にウィーン交響楽団と入れた四季のセッション録音もあり、そちらはヤノヴィッツが歌っていることで私も好きなアルバムなんですが、Deutsche Grammophonのあまり良くない録音の代表格で、音が痩せていてちょっとぎすぎすしたところがあるのが玉にキズでした。

ベームと言えば私はシュワルツコップとのコシ・ファン・トゥッテと、プライ、ヤノヴィッツとのフィガロの結婚。この2組のアルバムは今でも定番としてたまに聴いています。コシ・ファン・トゥッテの夢のようなオーケストラの響き、歌の響宴、絶妙の間。この録音が1962年。そしてフィガロでの第一幕のフィナーレの行進曲とともにケルビーノが出陣していく場の何とも言えない情景、そしてグランドフィナーレのすべてを許す和音が鳴らされるまでの進行。どちらも心に深く焼き付いています。フィガロの録音が1968年。この二つの金字塔とも言うべき録音の間に、しかもウィーン・フィルとのライヴということで時期的には文句なしでしょう。

さて、このアルバムの演奏は如何なものでしょう。

冒頭は遠い録音から拍手が鳴り響き、長い沈黙から冒頭のタクトが振り下ろされます。録音はステレオのようで、厚みはあるものの、高音がこもり気味のもの。ただし、オケの柔らかい音色とソロの声を楽しむには問題ありません。65年録音といっても驚くほど鮮明なものありますので、いい録音とは言えませんが、鑑賞上支障なしという範疇ですね。ヴェールのかかった録音の彼方に聴こえる当時の響きは素晴しいものがあります。春のフィナーレ(トラック8)に至り、感慨無量に。ベームの気迫炸裂です! このライヴを生できいていたら凄かったでしょう。
夏は最初から、丹念な情景描写で聴かせます。オケもソロも調子が上がってきてますね。夏のクライマックスも凄いことになってます。最後のトラック15は音が歪んで飛んじゃってますが、素晴しい盛り上がりですね。
秋のホルンの号砲もなかなかの雰囲気。最後の冬の情景も、ことさら丹念に描いてゆき、最後の合唱の場面のクライマックスへ。振り切れるというより徐々に力を抜いていくような表現が秀逸ですね。ベーム全盛期の岩のごとき全体設計が聴き取れます。

ソロはバスのワルター・ベリーの出来が一歩抜けてます。素晴しい音量と覇気のある歌唱。それからソプラノのギューデン。録音の高域が伸びていないせいか録音ではちょっと聴き劣りするように聴こえますが、よく聴くと素晴しい歌唱。テノールのクメントはちょっと癖のある声ですがそこそこ熱演といったところでしょう。

評価は、録音のマイナスを差し引いても[+++++]を進呈したい出来。ただ、一般の方に薦めるには若干気が引けるということで、泣く泣く[++++]としました。ヴェールのかかった録音から、目をつぶって45年前のウィーンでのベームの演奏に想いを馳せたくなる名演と言えるでしょう。
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