ショルンスハイムのソナタ全集から「先生と生徒」(ハイドン)
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ハイドンのピアノソナタを時代に応じてクラヴィコード、ハープシコード、フォルテピアノなどを弾き分けて録音したもの。2003~2004年の録音。
初期のもはハープシコードやクラヴィコードで淡々と弾いていき、後期のものはフォルテピアノに。時代とともに響きが変わり、響きと強弱が豊かになっていきます。楽器の変遷を追って多彩な響きが楽しめます。
この全集の聞き所は、2曲はいっている連弾用ソナタで、特にXVIIa:1「先生と生徒」が秀逸。連弾はおそらくショルンスハイムより格上だと思いますがシュタイアーが担当。本来なら、シュタイアーの全集の連弾にショルンスハイムが登場するところでしょう。不思議な企画です。(シュタイアーは別に選集がDeutsche Harmonia Mundiからでています)
おそらくシュタイアーがリードしているんでしょう、他の曲の録音とは次元の違う自由闊達な演奏で、なぜか携帯電話の着信音や声の効果音が入るサービス満点な演出。
このアルバム自体が先生と生徒の合作のような趣です(笑)
あと、意外と良かったのが、皇帝の2楽章の変奏曲。フォルテピアノの弦のびり付きまでリアルにとらえた録音と叙情的な表現が決まってます。
前半のクラヴィコード、ハープシコードでの演奏はハイドンの曲の楽しさを表現しきれていないもどかしさがつきまとうものの、後期のソナタでは明らかに奏法を変え、表現の幅が広がっています。
全集としては作りもしっかり、ライナーノーツも緻密なつくりですが、様々な全集がでている中、ファーストチョイスにはおすすめしにくいです。ピアノソナタを聞き込んだベテラン向けのセットという位置づけでしょう。
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