ゼーフリート/クリップス/ウィーンフィルの天地創造から(ハイドン)
月末ですが、もう一つ小物をとりあげます。先日取り上げたヨーゼフ・クリップスとウィーンフィルの交響曲を取り上げた際に、ネットのディスコグラフィを調べていて発見したアルバム。
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新星堂とEMIによる”栄光のウィーンフィルハーモニー管弦楽団II~その指揮者とソリストたち~”というシリーズの第24集の「ウィーン国立歌劇場の名歌手たち」というアルバム。この中に「天地創造」からガブリエルのアリアを2曲が入っています。ガブリエルはイルムガルト・ゼーフリート(Irmgard Seefried)、ヨーゼフ・クリップス指揮のウィーンフィルの演奏。このアリアの演奏は1946年11月3日、4日です。
先日クリップスの振るウィーンフィルの素晴らしいハイドンに酔いしれましたが、冒頭に書いたとおり、他に録音がないかと調べていたところ、驚くべき録音が存在することがわかりました。ハイドンはハイドンでも天地創造であり、しかもガブリエルが好きなイルムガルト・ゼーフリート! アリアの抜粋とはいえ録音は1946年と戦後間もなく。録音が古いのが嬉しいのではなく、ゼーフリートのハイドンの中では一番若い時の録音ということで、ネットで発見して、マイクロセカンド単位の早業でamazonに注文を入れました。到着がこれほど待ち遠しいアルバムはありませんでした。
これまでゼーフリートの歌うハイドンは2度ほどレビューしていますが何れも天地創造。
2011/09/22 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ-2
2011/09/20 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ
2011/02/20 : ハイドン–オラトリオ : マルケヴィチ/ベルリンフィルの天地創造、ゼーフリート絶唱
マルケヴィチのアルバムでのゼーフリートのガブリエルのアリアを聴いたときの衝撃は忘れられません。アリアの音程がゆっくりと上がるのに合わせてこちらも昇天。この世のものとは思えない美しさに完全にノックアウトされました。この録音が1957年ということでゼーフリートは44歳、そして次に手にいれたヨッフムのアルバム1951年録音、ゼーフリート38歳。若干古目の録音からも可憐で艶やかなソプラノに痺れたものです。そして今回のアルバムは1946年録音ということでゼーフリート33歳。ちょっと平常心を失い気味です(笑)
このアルバムに収録されているのは第1部のガブリエルの第7曲のレチタティーヴォと第8曲のアリア、そして第2部冒頭の第14曲のレチタテイーヴォと第15曲のアリアです。
Hob.XXI:2 "Die Schöpfung" 「天地創造」 (1796-1798)
(Recitativo: Und Gott sprach, Aria: Num beut die Flur)
LPから起こしたものでしょうか、わずかながらスクラッチノイズが聞こえますが、音の鮮度は悪くありません。レチタティーヴォから憧れのゼーフリートの若々しい声にうっとり。かえってノイズがノスタルジックな雰囲気を盛り上げます。ガブリエルのアリアに入ると序奏からクリップスはかなりゆっくり目のテンポでウィーンフィルからゆったりとした響きを引き出しています。それに合わせてゼーフリートも朗々とアリアを歌います。ゆったりとした静けさの支配するアリア。マルヴィッチとの歌唱は成熟した魅力に溢れていましたが、こちらは若々しく可憐な印象。声の伸びはマルケヴィチ盤ですが、この清純な感じもいいですね。最後にすっと突き抜ける高音の魅力を聴かせます。
(Aria: Auf starkem Fittige)
第二部の冒頭の序奏から入ります。クリップスは相変わらず落ち着いてウィーンフィルを捌きます。しっとりとした響きが古きよきウィーンフィルの良さ。ゼーフリートは声量を抑えて可憐に入ります。歌のテクニックは後年のものには敵いませんが、持って生まれた声の美しさで聴かせるもの。憧れのゼーフリートですが、アリアの聴かせどころの演出などは、まだまだ工夫の余地があり、やはりマルケヴィチ盤の素晴らしい完成度、ヨッフム盤の声の輝きとは一段差がありました。
若かりしゼーフリートの美声を味わえる貴重なアルバム。よくぞこのアルバムを企画してくれました。このアルバム自体は1998年のもので、リリースから17年も経ってしまったことになります。戦後のウィーンの時代の空気を味わったような暖かい心になるアルバムでした。ちなみに他にもエーリッヒ・クンツのレポレッロ、シュワルツコップのトゥーランドットなど1940年代後半の華やかなウィーン国立歌劇場のアリアを楽しめる好企画です。ハイドンのアリアは[++++]としておきましょう。
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新星堂とEMIによる”栄光のウィーンフィルハーモニー管弦楽団II~その指揮者とソリストたち~”というシリーズの第24集の「ウィーン国立歌劇場の名歌手たち」というアルバム。この中に「天地創造」からガブリエルのアリアを2曲が入っています。ガブリエルはイルムガルト・ゼーフリート(Irmgard Seefried)、ヨーゼフ・クリップス指揮のウィーンフィルの演奏。このアリアの演奏は1946年11月3日、4日です。
先日クリップスの振るウィーンフィルの素晴らしいハイドンに酔いしれましたが、冒頭に書いたとおり、他に録音がないかと調べていたところ、驚くべき録音が存在することがわかりました。ハイドンはハイドンでも天地創造であり、しかもガブリエルが好きなイルムガルト・ゼーフリート! アリアの抜粋とはいえ録音は1946年と戦後間もなく。録音が古いのが嬉しいのではなく、ゼーフリートのハイドンの中では一番若い時の録音ということで、ネットで発見して、マイクロセカンド単位の早業でamazonに注文を入れました。到着がこれほど待ち遠しいアルバムはありませんでした。
これまでゼーフリートの歌うハイドンは2度ほどレビューしていますが何れも天地創造。
2011/09/22 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ-2
2011/09/20 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ
2011/02/20 : ハイドン–オラトリオ : マルケヴィチ/ベルリンフィルの天地創造、ゼーフリート絶唱
マルケヴィチのアルバムでのゼーフリートのガブリエルのアリアを聴いたときの衝撃は忘れられません。アリアの音程がゆっくりと上がるのに合わせてこちらも昇天。この世のものとは思えない美しさに完全にノックアウトされました。この録音が1957年ということでゼーフリートは44歳、そして次に手にいれたヨッフムのアルバム1951年録音、ゼーフリート38歳。若干古目の録音からも可憐で艶やかなソプラノに痺れたものです。そして今回のアルバムは1946年録音ということでゼーフリート33歳。ちょっと平常心を失い気味です(笑)
このアルバムに収録されているのは第1部のガブリエルの第7曲のレチタティーヴォと第8曲のアリア、そして第2部冒頭の第14曲のレチタテイーヴォと第15曲のアリアです。
Hob.XXI:2 "Die Schöpfung" 「天地創造」 (1796-1798)
(Recitativo: Und Gott sprach, Aria: Num beut die Flur)
LPから起こしたものでしょうか、わずかながらスクラッチノイズが聞こえますが、音の鮮度は悪くありません。レチタティーヴォから憧れのゼーフリートの若々しい声にうっとり。かえってノイズがノスタルジックな雰囲気を盛り上げます。ガブリエルのアリアに入ると序奏からクリップスはかなりゆっくり目のテンポでウィーンフィルからゆったりとした響きを引き出しています。それに合わせてゼーフリートも朗々とアリアを歌います。ゆったりとした静けさの支配するアリア。マルヴィッチとの歌唱は成熟した魅力に溢れていましたが、こちらは若々しく可憐な印象。声の伸びはマルケヴィチ盤ですが、この清純な感じもいいですね。最後にすっと突き抜ける高音の魅力を聴かせます。
(Aria: Auf starkem Fittige)
第二部の冒頭の序奏から入ります。クリップスは相変わらず落ち着いてウィーンフィルを捌きます。しっとりとした響きが古きよきウィーンフィルの良さ。ゼーフリートは声量を抑えて可憐に入ります。歌のテクニックは後年のものには敵いませんが、持って生まれた声の美しさで聴かせるもの。憧れのゼーフリートですが、アリアの聴かせどころの演出などは、まだまだ工夫の余地があり、やはりマルケヴィチ盤の素晴らしい完成度、ヨッフム盤の声の輝きとは一段差がありました。
若かりしゼーフリートの美声を味わえる貴重なアルバム。よくぞこのアルバムを企画してくれました。このアルバム自体は1998年のもので、リリースから17年も経ってしまったことになります。戦後のウィーンの時代の空気を味わったような暖かい心になるアルバムでした。ちなみに他にもエーリッヒ・クンツのレポレッロ、シュワルツコップのトゥーランドットなど1940年代後半の華やかなウィーン国立歌劇場のアリアを楽しめる好企画です。ハイドンのアリアは[++++]としておきましょう。
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