ASDの「語用論」に関する研究が話題。言葉を文字通りの意味で解釈するASD(字義通り性)と、言葉に”目的”と”意図”を込めて用いる定型発達者(発語内行為)との比較。
自閉症における語用論研究 田中 優子, 神尾 陽子

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出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/50/1/50_54/_article/-char/ja/
語用論(ごようろん、英: pragmatics)とは、言語表現(英語版)とそれを用いる使用者や文脈との関係を研究する言語学の一分野である。
話者のことばの運用 (言語使用) を学問する研究分野であり、その性質等を理論的に解明するアプローチに加え、実験観察等に基づいた言語運用(英語版)の側面からのアプローチもあることから、理論言語学と応用言語学の両方に属する。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/
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発語内行為とは、発語行為(何ごとかを言う行為)の遂行がもう一つの他の行為になっている という、この「もう一つの他の行為」のことである。
例えば、質問を発する、または 質問に答えること、何らかの情報、保証、警告を与えること、などがそれにあたる。
出典:https://core.ac.uk/pdf/aaa56663844.pdf

関連ポスト「ASDライフハック。語用論を学べ」

社会的(語用論的)コミュニケーション障害

社会的(語用論的)コミュニケーション症は、言語障害の一つです。
言葉の意味そのものはわかっていても、話し相手や状況に応じたコミュニケーションが困難なことが特徴です。
例えば、相手が子どもだからわかりやすくゆっくり話したり、図書館の中で静かに話したりといったことができません。会話の文脈を理解することも苦手で、慣用句やユーモアを字義通りに受け取ったり、いつも堅苦しい話し方しかできなかったりもします。そのため、コミュニケーションがうまく取れず、人間関係や学業成績に著しい影響が生じます。
出典:https://www.e-heartclinic.com/kokoro-info/special/speech_4.html

補足・コメント欄より

まず
語用論っていう「人が言葉を用いるとはどういうことか?」をめっちゃ厳密に定義する学問が存在する
ってことを理解しないとワケワカメだろうね。

言葉は、たんに言葉を音として発する以外に、目的達成のための手段として極めて操作的に用いられる場合がある、ってことを発見した人が語用論っていう学問の中で「言語行為」っていう現象を定義したのね。

ASDの人には「字義通り性」って言って、言葉を「書いてあるとおりに読むこと前提で用いる」んだけど、健常者はそうではなく、「相手にああしてほしいこうしてほしいという意図や目的を込めて言葉を用いる」のね。

ASDの人は言葉を用いるときに「言葉自体が目的」だけど、健常者は「言葉を目的のための手段として用いる」の。

これをえらい言語学者の人が「言語行為・発語内行為」って名付けたの。

例えるなら「醤油ある?」は言葉ね。
「醤油ある?」に込められた(相手に醤油をとってほしい)という目的は発語内行為ね。

で、

ASDの人は健常者がやってるような「発語内行為」
(目的達成のための行為として言葉を発するときの、達成したい目的のこと。ここでは”醤油とってほしい”がそれ。)を理解できないので、「醤油はあるよ」と返す。(字義通り性だね。)


これはASDが発語内行為を理解できず、健常者が言葉に込めた発語内行為の未達成(醤油をとってくれない)を招きがちだよね。

だから発語内行為(醤油ある?に醤油取ってという目的を含ませること)ってのはそもそも健常者にしか通じない多数派の語用論なんだろうね、って話が書いてあるよ。
さらに語用論では「新旧情報区別」「過剰質問開始」「人称逆転」「単調音律」などなどの人が言葉を用いる際のダメなテンプレがいっぱいあるから、そういうの学んでおくと「あっこれダメなパターン入っとるな」って気付けるのでええよね、って話も書いてあるね。

語用論という「言葉の社会性」に焦点をあてた学問が、ASDライフハックに使えるかもね、って話だね。
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