「全ての企業のサービスを成長させる」をミッションに掲げ、WebサイトやアプリのUI/UX改善をはじめ、技術力でサービスやプロダクトの成長を支援してきた、リクルートグループのニジボックス。
そんな同社が今注力するのは「データ人材」の育成です。具体的には、BIエンジニア、データエンジニアなど、データ領域でリクルートとともにプロダクトを「共創」できる専門家集団の立ち上げを進めています。その背景には、リクルートでプロダクトのデータ利活用が急速に進んだ結果、「共創」ニーズに対して人材が圧倒的に不足している、という課題がありました。
リクルートグループにおいて、データ実務が担えるエンジニアを、スピーディーに育てなければならない。そのために社内で活用されているのが、「インプットプログラム」と名付けられた新人エンジニアの研修プログラムです。プログラムを修了すれば、リクルートグループの実務で通用する知識やスキルを身に付けることができます。
実はニジボックスには「未経験で入社してエンジニアのキャリアを歩む」社員が数多く在籍しています。そうした新人の成長をこれまでも、そしてこれからも力強く支えるのが「インプットプログラム」なのです。“有料級”とも言えるその充実度は、社内外から高く評価されるほど。
今回、BIエンジニア、データエンジニア向けのインプットプログラムで実際に使用されているSQL、Tableau、Adobe Analyticsの教材を特別に公開!
この教材の数々を、いったいどんな人たちが、どんな考えに基づいて作り上げたのか。
教材の作成を担当した、ニジボックスの遠峯康夫さん、山田悦明さん、橋本はるなさんに伺いました。
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初級・中級・上級……習熟度を「細かく」設定
── ……なんとも内容の濃い教材の数々ですが、これらは皆さんによって作られたと伺いました。まずは皆さんの自己紹介と、実際に担当した教材を教えてください。
遠峯康夫(以下、遠峯) 遠峯と申します。「データの専門家集団」の立ち上げがミッションで、ニジボックスでは主に人材の採用や教育を担当しています。本日紹介する「インプットプログラム」の作成責任者という立場です。
遠峯 康夫(とおみね・やすお)
データエンジニアリング室 室長
リクルートでは、データ利活用のシステムを開発・運営する部署の部門長を務める。
山田悦明(以下、山田) 遠峯のもとで、データエンジニアの採用と教育に貢献すべくSQLとTableauの教材作成を担当しています。
山田 悦明(やまだ・えつあき)
データエンジニアリング室 BIエンジニアリング1グループ マネジャー
リクルートでは、グループ全体のBI(ビジネス・インテリジェンス、事業上の意思決定に活用するためデータを収集・分析・活用すること)ツールの管理やアクセス解析を推進する組織の部門長を務める。
橋本はるな(以下、橋本) 同じく遠峯の配下で、Adobe Analyticsに関する教育を担当する橋本です。
橋本 はるな
データエンジニアリング室 BIエンジニアリング1グループ
リクルートでは、グループ全社のアクセス解析ログを収集するツールを管理するリーダー。
── まずは、このインプットプログラムの大枠をご説明いただけますか?
山田 基本的に全ての教材は、初級、中級、上級の3段階に分かれていて、それぞれの段階をへるごとにスキルアップできる仕組みです。各段階の終了時にはテストが用意されており、満点を取らないと次の段階へ進むことができません。
── 山田さんがSQLとTableau、橋本さんがAdobe Analyticsの教材を担当されたそうですが、各教材ではどのようなことが学べるのでしょう?
山田 SQLとはデータベースを利用する際に、データを取得したりデータを格納するテーブルを作成したりするために必要なプログラミング言語です。初級の教材では、「SQLとは何か」から始まって、SQLによるデータ分析とはどういうものか、という基本概念と、SQLによるデータベース操作の基礎を学んでもらいます。
中級になると、構造データに対して分析に必要な処理をSQLでどう実現するのか考える、という、より実践に近い内容になっていきます。例えば、ARRAY関数やSTRUCT関数を活用して、事業の意思決定に使いやすいデータを整形したり、抽出したりします。
データベースにおけるテーブル操作の主要なコマンドである、CREATEやDROP文、INSERT、UPDATE、DELETE、TRUNCATE文の使い方もここで学びます。
Tableauは、Salesforce社が提供するBIやデータ分析のためのツールです。データを視覚化する手法「データビジュアライゼーション」に適したツールなので、ビジネスの現場でよく使われています。
初級は「中級者から部分的に切り出された業務の実行が可能なレベル」、中級は「上級者のサポートのもと、どのような課題でも技術的には対応可能なレベル」、そして上級は「どのような課題でも技術的には対応可能(ただし、世の中的に前例がない、など高難度なものは除く)」と定義しています。
橋本 Adobe Analyticsは、Webサイトやアプリのアクセス解析を行うツールです。幅広い機能を持っており、使いこなすにはアクセス解析やマーケティングの知識も必要なので、プログラムも広範囲かつ踏み込んだ内容になっています。
初級は、Adobe Analyticsの操作方法から始まり、中級ではデータ分析や分析に必要な要件定義をするための方法を学びます。
教材の内容は、Adobeの上級資格相当のレベルという世の中的にも高い水準にチューニングしています。また、業務レベルとしては、技術的に最適な方法を提案・選定できる、他者が実装した成果物をレビューできるなど、チームの業務をリーディングするため必要なレベルに設定しています。トレーニングの意味に加えて、実務を通して1年以上かけて成長していく想定です。
「初歩の初歩の部分」から解説。細かく達成感を得られるための工夫
── 資格試験の教材のように細かく設計されていますね。でも、テストで満点を取らないと次の段階に進めない、というのは受講者にとってかなりハードルが高いのでは?
山田 そこは私たちも悩んだところです。そもそもインプットプログラムの目的は、リクルートグループで実務を担えるレベルの知識と技術を身に付けてもらうこと。当初は「80点なり90点を取れれば良いのではないか?」という意見も社内で出ましたが、どこまでの得点なら妥協できるか、そもそも妥協点をどう定義するか、現場の方やマネージャーとも何度もディスカッションをした結果、妥協点はないという結論になりました。
だから、上級をマスターすれば、リクルートグループ内で依頼された業務を期待通りにこなすための素養が得られることになります。中級は、上級のメンバーにサポートを受けることで、基本的な実務がほとんど完遂できるレベルです。
橋本 Adobe Analyticsにしても、単純にツールとして使えるようになるだけでなく、上級をクリアしたら勉強会などで講師として話すことができるレベルを想定しています。だからこそ、ツールについて網羅的に知っている必要がありますし、やっぱりテストは満点を取ってほしいんです。
── 多くの職業、職種で「これができたら一人前」みたいな仕事があるのは感覚的に分かります。ただ、それを業務の中から洗い出して、きちんと言語化するのは、作業量的にも、難易度的にも、かなりハードルが高いように思えます。
山田 そうですね。おっしゃる通り大変でしたが、レベルの定義を明確にしておかなければ教材としての信頼性を欠くので、ここはこだわったポイントです。先ほどディスカッションの話も触れましたが、「実務ができるレベル」を定義するために、具体的には、レベルの定義をこちらで具体的に言語化し、それを現場に何度も確認してもらって詰めていく、というプロセスを3、4回繰り返しています。
一方で、具体的な教材の中身については、リクルートグループ各社で使われている研修プログラムを参考にしたところもあります。リクルートではSQLやTableauを10年以上にわたり活用してきたので、ざっと集めただけで、(研修プログラムは)SQLで7プログラム、Tableauで13プログラムもあったんですね。
もちろん、社内プログラムだけでなく、外部の研修資料やプログラム、書籍なども一部参考にしながら作り上げています。
── 言うなれば、リクルートの「秘伝のタレ」が惜しげもなく注ぎ込まれていると。既存のプログラムも参考にされたとのことですが、ニジボックスならではの要素やこだわったポイントはなんでしょう?
山田 SQLの教材に関しては「基準を作る」というところです。そもそも世の中にあるSQLのインプットプログラムの多くは、あまりレベル分けされていないんですね。Tableauは初心者向けや上級者向けのコースがあるので、基準が作りやすかった。一方のSQLはそうした基準がなかったので、リクルートでの業務内容を参考に基準をイチから作っていかなければならず大変でした。
それに、実務に役立つという側面では、どんな機能や技術でデータを見せるか、ビジュアライズするかというハードスキルだけでなく、「データを見る人の立場に立って考える」などのソフトスキルも大切です。そこは従来OJTなどで補完されていたところで、体系化されていなかったので、関連書籍を読み漁りながら一つ一つ言語化していきました。
── たしかに、その辺りは実務に役立ててもらうために必要不可欠ではありますが、OJT以外でのインプット方法があまり思い浮かびませんね……。
山田 だから、教材には業務で出た実例を豊富に採用しているんですね。例えば、SQLには、リクルートの中でよく使うクエリや、これまで業務のなかで作られ、引き継がれてきたテンプレートも取り入れています。
加えて、もう一つ大切にしたところは、トレーナーや講師がつきっきりで見なくても自己学習で進められるよう作ったところです。能力や背景、入社のタイミングもバラバラな受講者が、各々のレベル感に合わせて学習できるよう設計しています。
橋本 Adobe Analyticsについては、リクルートグループ内の業務で必要な機能だけでなく、先ほども触れましたが、Adobeの認定資格の基準に沿って、機能を網羅的にカバーすることを意図しました。というのも、実務では「こんなことがやりたい」というふわっとした現場の要望に対して、機能や知識を柔軟にフィットさせなければならない局面も出てきますし、それを実現するためには、網羅的に機能を知っている必要があるからです。進級テストでも「トラブルシューティング演習」という形で、実際に現場から来た質問をそのまま問題にしたものがあります。
あと、網羅的に、というのはニジボックスならではの試みなのですが、あえて職種を絞らず、さまざまな職種にフィットできるようインプットしているんです。
だからこそ、自分たちの学ぶ内容はどの職種がどんな局面で活用するものなのか、そもそもどんな職種がどんな仕事を担当しているのか、といった「全体」と自分の「現在地」を見せる視点を意識しています。
── 「全体像」と「現在地」を把握する、というのはモチベーション維持のためにも欠かせませんよね。
橋本 そうですね。モチベーション維持の観点でもう一つ言うなら、Adobe Analyticsの教材はサービスにログインするといった、本当に初歩の初歩の部分からプロセスを分割、説明して、細かく達成感を得てもらえるようにも工夫しています。
やはり、自己学習で進めてもらうためには、たとえある地点でつまずいても、自力で起き上がってもらうことが大切ですから。
特に、プログラムの受講がスタートする入社直後の4週間は、周囲に知っている人も少なく、自分が会社に貢献できるのか不安でいっぱいで、仕事の進め方についてもいろいろと思い悩む時期です。だからこそ、ちょっとしたことにでも達成感を得てもらえるようにしています。
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「間違えること」は悪いことではなく「学びの起点」
── 新たに入社されたエンジニアの方は、どういう流れでこのインプットプログラムを受講することになるのですか?
山田 まずはガイダンスを受けてもらい、どういう研修を受けるのか、なぜその研修が必要なのかというところからインプットしていただきます。それから、職種ごとに必要なスキルを定義したシラバスに従って個別のインプットプログラムを受講していただく流れです。
BIエンジニアなら、まずはSQLの初級とTableauの初級の他に、エンジニアとして共通して必要になってくるGitHubやシェルコマンドなどを学びます。初級の方には基本的に、なぜその知識や技術が必要なのか、これが習得できるとどんな仕事ができるようになるのか、事細かにお話しするようにしています。
── とても丁寧なオンボーディングですね。実際にインプットプログラムを受講された方は、どんな感想を?
橋本 Adobe Analyticsのプログラムで、ある機能について学んだ受講者の方から「テストがすごく楽しい」というコメントをもらいました。複雑な操作が必要な機能なのですが、クイズ形式のテストで、どこが間違っていたのかすぐに分かってありがたかったとのことです。
このコメントが結構重要だと思っていて。というのも、インプットプログラムを受講してもらううえで私たちが何より大切にしているのは、「間違えること」に対してネガティブさを感じさせないことなんです。ご本人のパーソナリティもありますが、間違いを「失敗」ではなく「新たな学びの起点」と受講者が捉えられるよう、教材はもとより日頃のコミュニケーションでも意識しています。
遠峯 目標に向けて学んで、ある一定の基準を達成できているかテストして、基準に達していなければ個別にケアを受けて軌道修正して、もう1回テストを受けて、クリアできたらその学習の目的を達成した、と考えることを「TOTEモデル(Test-Operate-Test-Exitモデル、テストと操作を繰り返して目標に近づくためのプロセス)」と言いますが、インプットプログラムはこのモデルに従って目標に対して最短距離で学べるよう設計されています。
他にも、経験者ならある程度、自分のスキルに応じてステップを進められるように設計していて、教材が簡単過ぎてつまらないということもないようにしています。
それに、一定のレベルに達した後は、自ら学習していかなければなりません。ですから、完全な初学者には丁寧に教えますが、一定のレベルまで進んだ方が、自分のモチベーションに従って、調べるなり、書籍を読むなり、勉強会に行くなりして、習熟スピードを自力で上げられるかどうかを意識していますね。
── ニジボックスのインプットプログラムは、IT人材が不足する今、エンジニアを確保するためには大切な取り組みだと思います。ただ、社員が人材育成に掛けているリソースは、他社と比べて少し過剰ではないかとも思えるほどです。これほどまで、新人教育に力を注ぐのはなぜでしょうか?
遠峯 これは産業構造の問題でもありますが、解決しなければならない課題の数に対してデータの専門家の数が足りていないからです。
もう一つは、すごく素朴な話ですが、一緒に働いている仲間の市場価値を上げたいからです。私自身もリクルートグループにキャリア採用で入社して、前職で一緒だった仲間とまた仕事をしたり、卒業していった仲間とまた別のところで一緒になったりします。そういう関係性はリクルートグループだからこそ、というところもあると思うし、その関係性を維持できるのはお互いに市場価値を高められているから、というのもあると思うんです。
だから、一緒に働いている同僚には、より高みを目指してほしい。その結果として本人の市場価値が上がって、さまざまな仕事に携われるようになれば、ニジボックスでの経験を他の業界で生かして、産業全体で盛り上げられるかもしれない。そんなことができたら素敵ですよね。
株式会社ニジボックスではデータ領域に携わるエンジニアを募集中!
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[タイアップ広告] 企画・制作:はてな
取材・文:青山祐輔
撮影:小野奈那子