(2015年11月13日 アルツハイマー型認知症の診断から約8年9ヶ月)
*発掘品
おママが特別養護老人ホームに入所してから早3ヶ月近くになろうとしています。
おママの部屋の片付けを少しずつ進めています。
何せ、おママは昭和一桁。
「いつか使うかもしれない」と思って、雑誌の切り抜き、パンフレット、包装紙などを溜め込み、座卓の上は山のようになっていました。座卓だけではなく床にも机の下もそんな山が幾つもあるのです。
実際に、その中からおママは貼り絵の材料を見つけていましたし、2019年の夏以降は私もその中から「お題パック」や「お題」をセットしていましたから、あながち不毛な山ではなかったのです。
丁寧に見ていけば、おママが貼り絵の材料に使った紙の元が分かるかも知れません。それで今回片付ける際も、念の為に一枚一枚、確認をしています。
でも、埃をかぶった紙類って厄介です。
鼻は詰まるし喉も痛む。手もかなり汚れます。
段々疲れてくると
「えーーい❗️ザザッと全部ゴミ袋に入れちまえ❗️」
と癇癪を起こしそうになるのですが、そこはグッと堪えて我慢です。
我慢をしていたら、(↓)山の中からこんなものが出てきました。
「おママ…、いつ、こんな物を作っていたの?」
表面の写真だけではイマイチ分かり辛いと思います。
(↓)裏面です。
恐らく、水羊羹かゼリーを何方からか頂いたのでしょう。その箱の中の部品を使って、おママは手遊びをしたようです。
同じ紙から1.2センチくらいの幅のテープを切り出して、箱の部品に通しているのです。
それが,まぁ、キッチリ,ピッタリ。
呆れるほど、寸分たりとも歪みやズレがないのです。
そして表面に飾りを施しました。
均一に歪みなく各ピースを貼っていく。おママの几帳面さがよく顕れています。
(おママったら、こんなにスキなく組んで、貼って…。)
きっと楽しかったと思います。誰かに見せるわけでもない。ただの手遊びですけど、作ること、作業するその工程自体に意味があったにだと思います。
私は発見した時、思わず笑ってしまいました。そして笑いながら泣きました。
誰に評価されるわけでもなく、それでも作りたいと思う気持ちを大事にし、
その手仕事はどんな物でもきっちり仕上げる。
おママはその気持ちに忠実な人でした。それは認知症になっても変わらなかった。
これはその結晶のように思いました。
(↓)大きさの参考までに、オネコさんに持ってもらいました。
飾りの青地に白い模様の入った正方形は何かの包装紙だったと思います。
細長い棒状の飾りは(↓)小津和紙で購入した友禅紙です。大判なのでまだ7割ほど残っています。
*制作時期を探る
いつ頃、この手遊びをしたのでしょう?
それはおママが認知症になっても、自分で使う紙を選び、作業机で黙々と貼り絵をしていた頃。2019年以前だと思います。しかも、シンメトリーを寸分の狂いもなく貼り絵で仕上げていた時期と考えると、それよりもう少し前ではなかったか?
手がかりは小津和紙の友禅紙です。
この和紙は私も「お題」にしたことがあるので,存在は知っていました。
おママは自分で紙を選んでいた頃、よく手持ちの大判友禅紙から幅数十センチくらいを切り出していました。そして、それが大体なくなるか、飽きるまで連作をする傾向がありました。この手遊びもその連作の一環だったと思います。
古いファイルをめくって見ると、2008年11月、2011年6月に連作があり、2015年11月にも数枚ありました。
この手遊びの時期は、上記のどれかでしょう。
因みに、
この友禅紙を購入したのは2008年(認知症と診断されて1年後)かも知れません。
その頃、おママは何度かオネコさんと小津和紙や銀座の伊東屋へ行って、紙を購入していました。しかし、オネコさん曰く、
「どんな紙を購入したかは全く記憶がない、これだったかどうかも分からない」
そうです。
(↓)他の紙と合わせても面白いですね。
(2011年6月24日 アルツハイマー型認知症の診断から約4年4ヶ月)
(2011年6月22日 アルツハイマー型認知症の診断から約4年4ヶ月)
(2008年11月2日 アルツハイマー型認知症の診断から約1年9ヶ月)
因みに一番上の貼り絵ですが、おママのお気に入りだったティーバックの袋も使われています。(↓)
おママの貼り絵を見てくださり,ありがとうございます。