注目のブレイキン大会 -THE JAM-
にかける思いを主催者Taisukeが語る!
国内3大ブレイキン大会の一つに数えられるTHE JAMのFINALが2024年3月に開催された。ここでは主催の B-Boy Taisukeに魅力や楽しみ方についての話を聞いた!
記事の後半では、THE JAM FINALの無料見逃し配信を用意したので、TOPブレイカーたちの当日の熱いパフォーマンスをもう一度チェック!
『無名のブレイカーがいきなり優勝するかもしれない!
間口が広く、誰でもチャンスを掴み取れる大会、それがTHE JAM』
by Taisuke
【 B-Boy Taisuke (野中泰輔)とは!?】
1990年生まれ33歳(2024年現在)。8歳からブレイキンを始め、わずか11歳で最も大きな世界コンテストのひとつ、BATTLE OF THE YEAR 2001に日本代表として出場。そこで準優勝したことで国内だけでなく国外からの注目を集める。その後は、Red Bull BC Oneをはじめとする数々の世界大会に参戦し、国内外で50回以上の優勝を果たす。2015から2017は、自身が所属する日本代表チームのThe Floorriorzとして出場したBattle Of The Yearで3連覇し、前人未到の記録も打ち立てた。現在は第一線で活躍するだけでなく、日本のシーンを牽引し続けるキーマンとして若手育成にも務める。プロフィールやダンス映像は【こちら】
【THE JAMとは!?(インタビュー)】
ブレイカーたちの憧れの場所、THE JAMとは?
ーー日本三大ブレイキン大会の一つであるTHE JAMですが、まずは大会の成り立ちから教えてください。
Taisuke:THE JAMの初開催は2018年。その年から、世界のブレイキン大会の最高名誉であるRed Bull BC ONE(※)の日本国内地方予選が廃止され、招待選手のみが参加できる形に変わりました。自分は、それがもったいないなって思ったんですよね。日本のストリートスポーツが近年強くなっていて、ブレイキンも盛り上がりを見せる今のタイミングで、いろんな人たちにチャンスがなくなるのは避けたかったんですよ。
※Red Bull BC ONE/レッドブルが2004年から主催している、世界最高峰の1 on 1ブレイキンバトルイベント。常に世界のブレイカーが目標とする大会で、World Finalの舞台に立つために毎年、何千人ものB-Boy/B-Girlたちが挑戦している。
ーースケーターのようにストリートにとんでもない才能が眠っているかもしれないわけですもんね!
Taisuke :極端な話、無名のブレイカーがいきなり優勝してしまうかもしれない。そんな、皆にとってフェアでチャンスを掴み取れる大会として生まれたのがTHE JAMなんです。
Photo:@haru_graphics
ーープロアマ男女問わず、誰でも挑戦できるうえに、トップブレイカーがオーガナイズしているという説得力も出場者のプロップスになりますよね。
Taisuke : 海外でもトッププレイヤーが主催してる大会ってほとんどないんですよ。変な話、 B-Boy Taisukeという名前は世界でも知名度があるので、有名になりたい若者たちにTHE JAMという場所をどんどん利用してもらいたいです。自分が2016年にRed Bull BC ONEの引退宣言をしたのも、若い世代にチャンスを作る為に決めたことなので。
ここで勝ったら日本最強! 他大会にはないTHE JAMの魅力
ーーTHE JAMならではの大会の特徴を教えてください
Taisuke : 正直言うと、世界大会のメダルを狙える人間でもTHE JAMで勝つのは難しいですね。
ーーそうなんですね! 確かに、優勝するのが最も難しい大会という噂を聞きました。
Taisuke : これはすごく大事にしている考えなのですが、ダンスってボディランゲージなんですよ。相手に何かを伝える手段の一つにダンスがある。その瞬間、ダンスを通して何を伝えたいのか、それが相手の心にどれだけ響くのか。これによって、ジャッジの手が上がるかどうかが決まります。毎日の筋トレや練習、採点基準の為にムーブを組み立てることはもちろん重要ですが、技術だけでなく、そういった熱い感情を伝えることも大切だと思います。
ーーハートの部分も大切にしているんですね。審査員には前回のRed Bull BC ONEの世界チャンピオンを筆頭に現役のトップブレイカーたちが名を連ねていますよね。
Photo:@haru_graphics
Taisuke : ここで勝てたら文句ないでしょ! という審査員たちを集めています。現世界チャンピオンになれているのも、さっき話したように、ボディランゲージとして心を動かすことができたからなわけじゃないですか。やっぱりそこはロボットじゃできない、人間の強さであり、ダンスの醍醐味だと思うので、そういう才能を世界へ送り出したいですね。
ーーさらに、THE JAM FINALで勝てば、世界一の称号へ繋がるRed Bull BC Oneへの扉が開かれると。
Taisuke :優勝者には、Red Bull BC One Cypher Japanの出場権が与えられます。
ーーあれ、さっきのRed Bull BC OneとRed Bull BC One Cypher Japanって違うんですか?
Taisuke : Red Bull BC Oneの世界大会に日本代表として参加するための国内予選がRed Bull BC One Cypher Japanですね。
知識よりも好きを大事に! ダンサーのご当地性も見所。
ーー玄人も認める大会だと思うのですが、ダンスに興味を持ち始めたばかりの人たちはどんなところに注目すれば良いでしょうか。
Taisuke : あんまり初心者だからこれを勉強した方が良いみたいなことは言いたくないんですよね。正解はないので、自分の感覚や好みを大事にして欲しいです。バトルだから、どっちが勝ったか自分なりに予想してみてください。その過程で、こういうのが好きかもっていうポイントを自分なりに発見してもらえればいいかなと。
Photo:@haru_graphics
ーーなるほど、知識より直感が大事ってことですね。THE JAM FINALはハイレベルな最終決戦なので、何も知らずに観戦しても楽しめそうです。
Taisuke : そうなんです。年々レベルが上がっていて、予選からかなりハードなので、決勝に上がってきたメンバーは本当に誰が勝つか分かりません。THE JAM FINALをきっかけに、世界的に有名になっていくダンサーも多いので、出場者全員、今後注目しておいた方がいい存在と言えます。
Photo:@haru_graphics
ーーつまり全バトル見逃せないと! 会場で熱気を感じるのがいちばんですが、THE JAM FINALはスポナビで無料配信されるので要チェックですね。
Taisuke : 配信でも過去動画でも是非一度見て欲しいです。エリアによってダンサーの雰囲気も違うので、その辺りに注目しても面白いかもしれません。
ーーへー! やっぱり地域のカルチャーがダンスにも現れるんですね。
Taisuke : 関西は派手系が多いです。良くも悪くも我が道をいくタイプが多くて、印象に残りやすいと思います。東京は個性が強い。ちゃんとダンスができる技術があって、オールドスクールも分かった上で、自分をどう表現するかに長けている。
ーー Taisukeさんの地元の九州はどうですか?
Taisuke : 九州は比較的にオールマイティーなんですが、大きい一発を持ってるタイプが多いですかね。急に神が降りて来て、もう誰も止められないみたいな。
ーーなるほど、そういった視点でチェックするのも面白いですね。
Taisuke : 意外と地元を代表する意識が強いのも九州な気がします。かなりカルチャー気質でジーパンで全然踊っちゃうノリです。そういったポイントも意識しながら事前に過去の名勝負等をYouTubeで観てみたら、より楽しめるかもしれません。
本物を身近に。 B-Boy TaisukeがTHE JAMにかける想い。
ーーそれでは最後に、THE JAM FINALをはじめて観てみようという方たちにメッセージをお願いします。
Taisuke : 全てがオープンで誰でも出られるので、出場者も観戦者にとっても、すごく距離感が近いと思っています。いちばん身近な大会だけど、そこには国内トップクラスのブレイカーたちが出ていて、審査員も世界一の人間たちがいる。どこよりも気軽に、本物を見られる場所になっています。世界と戦う現役選手、ブレイキン界を作ってきたレジェンド、これからの時代を担うキッズ、 幅広い世代のトップクラスが戦う、日本のブレイキンの魅力が全て詰まった大会。是非一度、THE JAMをチェックしてみて欲しいです。
ーー当日、現地(兵庫県で)にいけない人はLIVE配信でチェックがマストですね。
Taisuke : はい。本当は会場でブレイカーたちが放つ熱気を生で感じとってもらいたいですが、彼らのこの大会にかける熱い気持ちは、映像でも十分に伝わると思う。最近のブレイキンは「ダンスかスポーツか?」なんていう議論がされていますが、本当の一流のパフォーマンスを見れば、ダンスもスポーツも超越していることが分かってもらえると思います!
【優勝者・見逃し配信】
O-15 BBOY は地元大阪出身の BBOY Ichigo が優勝!
Photo:@haru_graphics
『前回はベスト4まで進みましたが、悔しい思いの方が強かったです。今日は当日予選からでしたが、来た時から優勝することは決めていました。去年よりも確実に体力や技術が進化している自信があったし、そんな自分を見せたかったので優勝できて嬉しいですね』
B-GIRLはB-GIRL Ayaneが優勝!
Photo:@haru_graphics
『今までのTHE JAM FINALでは、決勝で負けるなど悔しい思いをしてきたので、今日は“絶対に優勝する”と決めて調整をして臨みました! Red Bull BC ONE Cypher Japanの出場権が得られたことももちろん嬉しいですが、THE JAM FINALは自分の中でとても大事な大会なので優勝できて本当に良かった。自分より下の世代の活躍が見れたことも今後の刺激になりましたね』
U-15は愛知出身のBBOY RAIAが優勝!
Photo:@haru_graphics
『実はこれまで、あまりバトルで勝ちたいという思いが強くなかったんです。でも最近、DANCEALIVE(4月14日両国国技館)のKIDSで予選を通過したことをきっかけに自信が持てるようになりました。この日もバトルのひとつひとつで自信を深めていきながら一気に優勝を掴み取ることができました』