甲信越エリアでは、3月を過ぎると山開きがはじまり、本格的な登山シーズンがスタートします。今回は、日本の象徴である富士山や、自然が豊かな八ヶ岳など、山開きの式典が行われる山を3つ紹介。これから参加できる式典もあるので、参考にしてみてください。

①日本一高い霊峰!富士山(ふじさん)|山梨県・静岡県

2023年 山開きされる山 甲信越

標高が3,776mある、日本で一番高い山です。2013年には、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。

富士山の山開き情報

山開きの日にちは、山梨県側の吉田口が7月1日、静岡県側の須走口・御殿場口・富士宮口が7月10日です。それぞれの山開きにあわせて「富士山開山祭」が実施されます。

山梨県側|吉田口

山梨県側で山開きが行われる場所は、吉田口の登山道の起点である、北口本宮冨士浅間神社(きたぐちほんぐうふじせんげんじんじゃ)です。登山客や関係者の安全を祈願する、開山祭の神事が執り行われます。

また、富士山の5合目にある冨士山小御嶽神社(ふじさんこみたけじんじゃ)では、しめ縄を断ち切る「お道開き」を実施。神話に登場する手力男命(たぢからおのみこと)に扮した人が、登山道入口のしめ縄を木槌で断ち切る様子は見ものですよ。

山開き前日の6月30日には、富士吉田市で「富士山開山前夜祭」が開催されます。けがれをはらい、清らかに過ごせるように祈る夏越大祓式(なごしのおおはらえしき)や、富士講行者によるパレードなどのイベントも、楽しみのひとつです。

吉田口の山開き 7月1日
開催場所
アクセス
参考 富士登山オフィシャルサイト

静岡県側|須走口・御殿場口・富士宮口

静岡県側では、3つの登山口が同時に山開きし、富士登山の幕が開けます。それにともない、富士山本宮浅間大社では、開山祭を実施。手筒花火(てづつはなび)の披露や、ミス富士山コンテストの授与式など、催しものが盛りだくさんです。

須走口・御殿場口・富士宮口の山開き 7月10日
開催場所 富士山本宮浅間大社
アクセス
参考 富士登山オフィシャルサイト

富士山の見どころ

2023年 山開きされる山 甲信越

山開きの日は、山頂にある富士山本宮浅間大社の奥宮を訪れてみるのがおすすめです。お札・お守り・金剛杖(こんごうづえ)・御朱印などが授与されます。奥宮の御朱印は、富士山の溶岩が含まれている、特別なものがもらえますよ。

また、富士山の見どころといえば、ご来光や雲海などの神秘的な風景。富士山の噴火口を一周するお鉢巡りも醍醐味です。体力に自信のある人は、日本最高地点にある、剣ヶ峰の石碑まで歩いてみましょう。

富士登山での注意点

お鉢巡りの歩道は、7月10日に開通します。7月1日〜9日に吉田口ルートから登っても、お鉢巡りの歩道をとおって、剣ヶ峰の石碑や、富士山本宮浅間大社の奥宮には行けないので注意してください。

また、山頂トイレも7月10日から使用できます。それ以前に登る人は、携帯トイレを持参しましょう。

なお、夏でも気温が0℃近くになることがあるため、低体温症に注意。下記の記事を参考に、低体温症の対策をしてくださいね。

登山で気をつけたい低体温症の対策

 

②南と北で行われる式典!八ヶ岳|山梨県・長野県

2023年 山開きされる山 甲信越

八ヶ岳は、赤岳を主峰とし、南北に連なる山々の総称。特徴のある山々が連なり、縦走も人気です。

八ヶ岳の山開き情報

八ヶ岳の山開きは、南八ヶ岳の赤岳山頂と、北八ヶ岳の北横岳山頂の2か所で行われます。数に限りがありますが、式典後には、赤岳山神社の御札と記念バッジが、参加者へ贈呈されますよ。

なお、当日が悪天候のときは、会場が変更されることがあります。南八ヶ岳の会場は行者小屋前に、北八ヶ岳は北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅前に変更予定です。当日の天気が悪い場合、午前6時に変更の判断がされるので、公式サイトで確認しましょう。

八ヶ岳の山開き 6月4日
開催場所
  • 南八ヶ岳会場:赤岳山頂
  • 北八ヶ岳会場:北横岳山頂
開催時間 12:00〜
アクセス
参考 八ヶ岳観光協会 八ヶ岳の山小屋「第69回八ヶ岳開山祭 式典開催のお知らせ

八ヶ岳の見どころ

山開きが開催される、赤岳と北横岳の魅力を、それぞれ紹介します。

そびえ立つ主峰!赤岳

八ヶ岳の主峰であり、山頂では360度見渡せる大展望が魅力です。天気に恵まれれば、北アルプスや富士山など、日本有数の山々が望めます。日帰りや縦走で、八ヶ岳の最高峰を制覇する達成感が得られますよ。

ロープウェイで気軽に行ける!北横岳

溶岩台地の坪庭や、原生林に囲まれた七ツ池など、大自然を堪能できる点が魅力。北八ヶ岳ロープウェイを利用すれば、山頂駅まで一気に移動できるので、家族連れにも人気ですよ。

 

③日本三大雪渓!針ノ木岳(はりのきだけ)|長野県・富山県

2023年 山開きされる山 甲信越

後立山連峰の最南端に位置する、標高が2,821mの山です。日本三大雪渓のひとつの、針ノ木雪渓が見られます。雪渓とは、高い山の谷の雪が解けずに、一年中残っている場所です。雪渓や花々を目当てに、多くの人々が訪れます。

針ノ木岳の山開き情報

針ノ木岳慎太郎祭が開催されます。北アルプスの先駆者である、百瀬慎太郎の名がついた、登山の安全を祈願する行事です。

事前に予約をすると、記念登山や高山植物の観察会に参加できます。参加者には温かいおしるこが振る舞われ、記念バッジなども贈呈されますよ。

針ノ木岳の山開き 6月4日
開催場所 針ノ木雪渓
開催時間 9:30〜
アクセス 電車:JR大糸線「信濃大町駅」で下車し、 アルピコ交通バスまたはタクシーで「扇沢駅」まで約40分

車:
▪️長野自動車道「安曇野IC」から「扇沢駅登山口」まで約1時間15分
▪️上信越自動車道「長野IC」から「扇沢駅登山口」まで約1時間30分

参考 長野県 大町市 公式観光サイト 信濃大町なび「第66回針ノ木岳慎太郎祭 6月4日(日)

針ノ木岳の見どころ

針ノ木雪渓をとおる日帰りコースが人気です。また、コマクサの群生や、さまざまな高山植物が観賞できます。

山頂からは、眼下に広がるエメラルドグリーンの黒部湖、その向こうに連なる立山連峰が見渡せますよ。落石が発生しやすい場所やクレバスがあるので、登山の際は注意してくださいね。

山開きの式典が行われる、甲信越エリアの山を3つ紹介しました。山開きは、登山の安全を祈るだけではなく、いろいろな催しも開催されるため、年齢を問わずに楽しめます。記念登山が実施される山では、自分にあったコースを選んで参加してみてください。なお、登山の際は、天候や装備を忘れずにチェックしましょう。各地から多くの登山客が訪れるので、ルールやマナーを守って、自然を楽しんでくださいね。

 

ライター

yuki

幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。