本を選ぶとき、表紙が気になって手に取ることが多いのですが、こちらの「水車小屋のネネ」も表紙に惹かれました。
そして、厚さに恐れおののきましたw
図書館で借りる場合は、たぶん2週間で読み切れないと思います。
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家庭の問題で家を出た18歳の姉と8歳の妹の20年間の話です。
姉が就職したそば屋でいろんな人に出会い成長していく二人には、大切な「家族」ができます。
題名に出てくる「ネネ」というのは、そば屋で飼われているヨウムのことで、そばの実を引く石臼の番人です。
ヨウムって初めて聞いたのですが、オウムとは違うそうで、寿命が長くしゃべることができるのがヨウムらしいです。
実際、姉妹と出会って20年経っても「ネネ」は登場します。
20年の話なので、みんな年を取って亡くなる登場人物もいます。
大人になった律が、ふと「りっちゃん」と呼ばれ「そういえば昔は、りっちゃんて呼ばれてたな。みんな年を取ったんだな」と誰かの小さくなった背中やふとした懐かしさで老いを感じます。
年を取ることは、夕方の空とか夏から秋の気配を感じる切なさに似てるなと思いました。
1998年から2021年までなので、東日本大地震やコロナもあり登場人物たちの人生に大きな影響を与えます。
こういう小説って、どう終わるんだろうと結末が不思議だったんですが、特に終わりがあるわけではありません。
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律の担任だった藤沢先生が、大人になってから分かる良い先生で、良い人たちに囲まれてたんだなと姉妹は過去を振り返ります。
誰に出会うか、それが人生にとってとても大切なことなんだと思います。
藤沢先生の律への言葉がとても印象的で、先生も律たちに出会って考えが変わったようで互いに良い影響を与えたようでした。
長い長い話ですが、とても良い小説でした。