ジャック&ベティに映画『KCIA 南山の部長たち』を見に行くのこと - 関内関外日記

ジャック&ベティに映画『KCIA 南山の部長たち』を見に行くのこと

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映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開

 

おれはそれなりに韓国映画(おもにダークなやつ)を見てきたつもりではあるが、たとえば「イ・ビョンホン」と打ったところでイ・ビョンホンのファンが、韓国映画、ドラマファンがどのように思うかわからないのである。おれはあまり物事を覚えるのが得意ではないので、かつておれがイ・ビョンホンを見たのかどうかもわからないし、え、この大統領、『黒金星』の? という具合だ。

にしても、このイ・ビョンホン、というかキム部長はかっこいい。公式サイトでもどーんと出てくるこのポスターはかっこいい。この髪型、このメガネでそれである。イ・ビョンホン恐るべしと思った。

話はKCIAの部長による朴正煕暗殺事件、それに至る40日間のドラマである。彼らの過去を含めれば射程はもっと長いが、とにかくそういう政治、謀略、暴力ドラマである。とはいえ、べつに韓国の政治史に詳しい必要もないだろう。おれも詳しくはない。せいぜいWikipediaで朴正煕あたりの項目を読んでおけばいいだろうし、読まなくてもいいかもしれない。ともかく、たとえばラヴレンチー・ベリヤがスターリンを暗殺したような話である(ベリヤはスターリンを撃ってないです)。明智光秀が信長を討ったのとは……ちょっと違うかもしれない。やはり、独裁者と、国を支配する情報機関という意味では、ベリヤの立場だろう。もちろん、人格は違うが。

さて、正直なことを言うと、前半少し、寝た。うつらうつらしていた。が、鑑賞後の満足感でいうと、わりと満足したので、まあ細かいところはいいんだよ、というところだ。

この映画の舞台となるのは1979年、おれの生まれた年だ。先に、イ・ビョンホンの髪型とメガネがいいと言ったが、もっといい感じの身なりをしていた人がいる。話のキーパーソンの一人でもある、先の南山(KCIA)の部長(トップ)であった、パク・ヨンガクということになる。この髪型、このサングラス、このスーツの柄、全てが完璧だ! と思った。もちろん、おれには1979年の記憶はないが、「これぞ!」と思った。

というか、全体的に「これぞ!」という感じに溢れていた。当たり前のことだろうが、当時を再現した服装、当時走っていた自動車、そのあたりのかっちりきっちり作られているのだろうな、と思った。

朴正煕(をモデルとした大統領)も見事なものであった。どこかもう、物憂げな感じのする独裁者。「きみのそばには私がいる。好きにやりたまえ」。この繰り返されるフレーズ。どうにもよくない人間を重用してしまいながら、それでも独裁者でなくてはならない。それを顔に出してはならない。だからこそ、あの、一人になったときに、せつない歌を歌うシーンがいきる。そして、それを盗聴するキム部長……。男のドラマよな。

それにしたって、暗殺シーン、キム部長、あんた飲みすぎだ。シーバルリーガル、あんな量を一気飲みしたら、急性アルコール中毒になりかねんぞ。だから、なんか銃をロックしたりしちゃったり(ジャムったのではないらしい)、靴なくなったりするんだぞ。血に滑って盛大に転けるんだぞ。……でも、影響を受けて、帰りに安いスコッチを買ってゴクゴク飲みながらこれを書いているわけだが。

酒といえば、マッコリをサイダーで割った「マッサ」という飲み物が出てくる。ともに革命を戦った朴正煕とキム部長の思い出の飲み物でもある。あの頃はよかった。

で、最後のキム部長、イ・ビョンホンの顔のアップだ。これがすばらしかった。もう、諦めていて、終わったことを悟っていて、それでも、どうしたらいいのかわからないかつての盟友を、尊敬するべき大統領を撃ち殺して、もう、そこで終わってしまったかのような表情。見事な見せ場よ。そして、車は誤った方向を選択する。もっとも、根城の南山に戻ったところでどうなったかはわからないが。

なんだろうか、なんというか、韓国政治史に詳しくはないが、ドラマよな。そして、このドラマが引き継がれてしまっているから、韓国の大統領はあまり幸せな終わり方をしないのかもしれないなどと思うが、そのあたりはわからない。少なくとも、戦後日本の総理大臣は暗殺されたりしていないので、実録風映画は作りにくいのかもしれない。加藤の乱? 暴れるハマコー? ……だめだな。まあ、暗殺されたりしないのはいいことなのだけれど。

そんなわけで、イ・ビョンホンの表情を見るためだけでもこの映画には価値がある。そんなふうに勧めておきたい。

 

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で、10時55分開始の映画が終わったのは13時ごろだったろうか、朝から雨だったのに、出てみるとやんでいて、傘をさす人もいない。が、すぐにまた降り出して、えらい大雨になった。韓国料理ではなく中国料理屋で飯を食って、ブックオフに行って、ユニクロに行って、G.U.に行って、上島珈琲店に行った。大雨なので人がほとんどいなくて、外を歩く以外は快適だった。以上。

 

 

 

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www.tbsradio.jp

これ、たまたま聴いてたんだけど、書き起こしの始まる前に「煙草を吸うのではなく、飴だったのは史実らしい。ところで、キム部長は煙草を吸っていただろうか」というようなことを言っていたと思う。キーパーソンである女性とのホテルかどこかでのシーンで吸っていたと思う。

 

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