2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

中国SF作家・郝景芳によるAIを主題としたSF短編集『人之彼岸』を読んだ

人之彼岸 / 郝 景芳 (著)、立原 透耶 (訳)、浅田 雅美 (訳) 重篤な病で瀕死状態だった母親を入院させた男は、自分の無力さに苛まれていた。だが母親はある日突然、何事もなかったかのように退院してきた。母はまだ病院にいるはず。では今ここにいるのは一体…

最近読んだコミックなどなど/『雨と君と』を中心に

雨と君と(1) / 二階堂幸 『雨と君と』はある雨の日に主人公女子が「犬のような生き物」を拾って飼い始めるところから始まる。 この「犬のような生き物」、実はタヌキである。しかし主人公をはじめ周りは「まあ犬だって言ってるんだろうから犬なんだろう」と…

映画『モンスターハンター』はメチャクチャ楽しい怪獣映画だったぞ!

モンスターハンター (監督:ポール・W・S・アンダーソン 2020年アメリカ映画) 全世界で10億本だか100億本だかを売り上げた(誇張)という超大ヒットゲーム『モンシターハンター』の映画化作品が公開されるというからオレはとても楽しみにしていたのだよ! …

ケン・リュウ最新短編集『宇宙の春』を読んだ

宇宙の春 / ケン リュウ (著)、古沢 嘉通 (訳) わたしは秋に生まれた。いま、宇宙は真冬だ――死に絶え、そしてまた生まれ変わる宇宙の変遷を四季の変化に見立てて描いた表題作、3人の女性が力を合わせて悪に立ち向かう、『三国志』を大胆に換骨奪胎したシス…

滅亡した世界でバットマンとジョーカーの最後の旅が始まる/『バットマン:ラストナイト・オン・アース』

バットマン:ラストナイト・オン・アース / スコット・スナイダー (著), グレッグ・カプロ (イラスト), 高木 亮 (翻訳) 「これがバットマンの最後の旅になるかもしれない……」 突如ゴッサムシティに出現した、自身の遺体をなぞるかの如く描かれたチョークラ…

『この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選』を読んだ

この地獄の片隅に パワードスーツSF傑作選 / J・J・アダムズ (著), 中原 尚哉 (翻訳) 異星種族との戦いの最前線で、いつ果てるともしれない激戦を続けている小隊。そこへ司令官のマクドゥーガル将軍が前線視察にやってきて……(この地獄の片隅に)偵察任務中…

フィリピン旅行で犯罪捜査!?韓国アクション・コメディ『国際捜査!』を観た!

国際捜査! (監督:キム・ボンハン 2020年韓国映画) みみっちさが染みついたしょうもない韓国人刑事が、フィリピンへと家族旅行に行ったところとんでもない事件に巻き込まれ、涙目になりながら捜査に乗り出しちゃう!?というアクション・コメディです。主…

ジョニー・トー映画を観まくった!(後編)

さて前編ではノワール/アクション系を中心に書いたが、この後編ではワイ・カーファイ共同監督作を中心にあれこれ紹介してみる。 ワイ・カーファイとの共同監督作『マッスルモンク』 (2003)にはなにしろ驚かされた。ムキムキの男性ストリッパーは実は人の「…

ジョニー・トー映画を観まくった!(前編)

ジョニー・トー、香港映画を代表する監督の一人であり、数々のノワール作品で絶大な人気を誇る監督でもある。オレのTwitterのフォロワーさんにもプロフィールにジョニー・トー好きを公言する方が結構いらっしゃったりする。 そんなジョニー・トー映画、オレ…

日本でアステカ暗黒神の幻影が跋扈する強烈な犯罪小説『テスカトリポカ』

テスカトリポカ / 佐藤 究 メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向か…

宇多田ヒカル『One Last Kiss』 とメロディック・ハウス

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観終わり、その余韻のまま宇多田ヒカルの歌うテーマソング『One Last Kiss』のシングルを購入し、しんみりしながら聴き入っているオレである。 収録曲はこんな感じ。 1: One Last Kiss (映画『シン・エヴァンゲリオン…

さよなら、全てのエヴァンゲリオン。/映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』【多分ネタバレなし】

シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| (総監督:庵野秀明 監督:鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏 2021年日本映画) エヴァンゲリオン最終編 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ第4部完結編、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観た。観終わった。ポスターや…

『バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト』は痺れるほどにカッコいいバットマン・コミックだった!

バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト / ショーン・マーフィー (著、イラスト)、クラウス・ジャンソン (イラスト)、秋友克也 (翻訳) 自らの善の人格であるジャック・ネイピアを意識の奥底に追いやったジョーカーは、 ウェイン一族への復讐を誓うアズラ…

マルク・デュガンの近未来SF『透明性』を読んだ。

透明性/マルク・デュガン (著)、中島 さおり (翻訳) 自国第一主義による地球温暖化は終局を迎え、人類の生存域が北欧地域に限られた2060年代。グーグルによる個人データの完全な可視化は、人間から共感という能力を失わせていた。そんななか、アイスランド…

アンドロイドSF『マーダーボット・ダイアリー』がなかなかに面白かったぞ!!

マーダーボット・ダイアリー/マーサ・ウェルズ (著), 中原 尚哉 (翻訳) かつて重大事件を起こし、その記憶を消されている人型警備ユニットの“弊機”は、ひそかに自らをハックして自由になったが、連続ドラマの視聴を趣味としつつ、保険会社の所有物として業…

甘さのない、青春。/映画『野球少女』

野球少女 (監督:チェ・ユンテ 2019年韓国映画) 男子ばかりの高校野球チームにたった一人女子として参加し、プロになる夢に遮二無二邁進する主人公。韓国映画『野球少女』の粗筋を知ったときは、あー女の子が男社会を苦労しながらぶち破ってゆき最後にみん…

『ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察』を読んだ

ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察 / ジェームズ・ブライドル (著), 久保田晃弘 (翻訳) 情報テクノロジーはますます進化し、経済・政治・社会の変化を加速している。しかし今、人々は溢れかえる情報の中で、単純化された物語や…

オカルト・テイストのバットマン・コミック『バットマン:ダムド』

バットマン:ダムド/ブライアン・アザレロ (著), リー・ベルメホ (イラスト) 戦いの末、バットマンはゴッサムゲート・ブリッジから転落し、瀕死の重傷を負う。謎の男ジョン・コンスタンティンに救われたバットマンは、飛び込んできたニュース速報に耳を疑う…

旧ソ連に生きる人々の抑圧された日常を生々しく描き出す映画『DAU. ナターシャ』

DAU. ナターシャ (監督:イリヤ・フルジャノフスキー、エカテリーナ・エルテリ 2020年ドイツ・ウクライナ・イギリス・ロシア映画) 1952年、旧ソ連秘密研究都市 なんだかとんでもない映画を観てしまった。タイトルは『DAU. ナターシャ』、ロシア人監督コンビが撮…

嵐と共にリーサルなあいつが帰ってきた!?/映画『リーサル・ストーム』

リーサル・ストーム (監督:マイケル・ポーリッシュ 2020年アメリカ映画) 巨大ハリケーンに襲われたプエルトリコの街サンファン!その嵐の中、凶悪強盗団がマンションに押し入った!そこにいたのは避難勧告に応じない住人たちの元を訪れていた二人の警官!…

殺人ゲームの参加者にさせられちゃった!?/映画『ガンズ・アキンボ』

ガンズ・アキンボ (監督:ジェイソン・レイ・ハウデン 2019年イギリス・ドイツ・ニュージーランド映画) ちーっす!俺ダメ人間のマイルズでーっす!職場じゃイジメの餌食だしその職場もクビ寸前だし彼女にはフラれるし、楽しみといえば部屋で酒かっ食らいな…