チャリダーマンが喉から手が出るほどに待ち望んでいた講演依頼を断ってしまう気持ちの問題 - GIGAZINE
コラム

チャリダーマンが喉から手が出るほどに待ち望んでいた講演依頼を断ってしまう気持ちの問題


「同情するなら金をくれ、仕事をくれ」と、常日頃思っている人間ですが、だからといって上手く立ち振る舞うことができるかといえば話は別。講演の打診があったというのに、訳あってお断りの連絡を入れてしまいました。私、大成できそうにありません。

こんにちは、「自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマン」みたいなことをやっていると、いろんな方から声がかかります。たいていは、優しい温かい言葉だったりするのですが、本人は善意のつもりでも相手は戸惑ってしまうことだってあります。今回もそんな感じでした。旅を終えてからの私の活動を振り返る形で、何が起きたのか紹介させていただきます。

◆初めての講演会
長かった旅を終えたといいますか、終わりにしたのは2016年7月。15歳で描いた自転車世界一周という将来の夢は、150カ国と13万1214.54kmという形で幕を終えました。いつか必ず世界を十二分に堪能することができました。最高でした。

2016年10月16日、旅を終えた一つの区切りとして、旅の報告会(講演会)を東京で実施しました。モンベル御徒町店のサロンスペースでした。


私の目の前には、兄弟や親戚、旅で出会った友人、チャリダー仲間、憧れのチャリダー、ツイッターのフォロワーさん、GIGAZINE、ブログの読者さん、とたくさんの人がいました。旅中はずっと1人ですから、孤独感に苛さいなまれ苦しくなることもありました。でも、実は1人ではなくて多くの人と繋がっていました。これまでの人生の中でも一、二を争う最高の日でした。


全くの素人が「自転車世界一周報告会」というイベントをやり遂げるまで - GIGAZINE


◆2回目
2016年10月30日、そのままの流れで大阪に移動し、ギガジンの第3回シークレットクラブオフラインイベントに参加。


2011年から記事を書き続けていたからこそ、頂くことができた機会に込み上げるものがありました。

「世界一周をついに終えたチャリダーマンだけど何か質問ある?」ということでチャリダーマンこと周藤卓也さんにアレコレ聞いてみた~前半~ - GIGAZINE


「世界一周をついに終えたチャリダーマンだけど何か質問ある?」ということでチャリダーマンこと周藤卓也さんにアレコレ聞いてみた~後半~ - GIGAZINE


◆3回目
「わたしたちの走行距離は46万です」とフリーザ様の名言をかぶせたくて仕方ありませんでした。2016年12月11日の日曜日、はじめての講演会をやったモンベル御徒町店のサロンスペースに再び立っていました。しかし、今回は同じように自転車世界一周をした友だちと3人一緒。私を含む4人での合同イベントでした。

「スーパーチャリダーズ」として集まった4人。


・榎本航(えのもとわたる)
イベントの音頭を取ってくれたワタルさん。パワフルでアグレッシブという世間一般のイメージに近い爽やかなチャリダーです。

旅で使っていた「ドンキー号」という自転車を持参。


・島田義弘(しまだよしかず)
折りたたみ自転車を携えて世界を回ったヨシさん。ヨシさんの旅にはカレーと音楽という2つのテーマがありました。

旅中に手に入れた楽器を展示。


・小口良平(おぐちりょうへい)
同じ時期に同じくらい旅をしていたオグチさん。旅のあと、「スマイル!笑顔と出会った自転車地球一周157カ国・155,502km」という本も出版され、全国各地で活躍されています。

小口良平「スマイル!笑顔と出会った自転車地球一周157カ国・155,502km」



自転車のオブジェと地球儀。


・周藤卓也(しゅうとうたくや)
そして、チャリダーマンを名乗る私。


◆4回目
「好きなことで、生きていく」なら、私にとっては旅でした。それには紙ベースで出版を成功させ、講演会もばんばんやって、テレビ番組にも出演するような夢のような未来がそこにあるなら、結婚もできるし、ゲストハウスも作れるし、また旅もできたでしょう。

2016年10月から2017年2月にかけての東京滞在(2週間ほど大阪)は、そのつもりで活動をしていました。シェアハウスに住んでいました。


今後、振り返る機会なんてないので、その時のことを書き残すことにしました。

出版の方は、とある出版社の編集者の方から連絡があり、紆余曲折ありながらも出版会議に諮って頂くのですが採用されず。ここがうまく行けば、もっと違った今を過ごしていたかもしれません。

もう一つ、旅の経験を仕事にしたくて、芸能事務所に文化人枠での所属を目指して動きました。素材としての私は悪くなく、事務所に料理していただくことで、一段と飛躍できる気がしていました。ただ、どうしたらいいか雲を掴むような話で、インターネット上に公開されている芸能事務所のメールアドレスや住所に自己紹介や旅の記録を送るも音沙汰なし。ただ、一つだけですが話を聞いてくれた事務所もありました。それでも、お互いによろしくお願いしますとはなりませんでした。

ワタナベコメディースクールの「こんな人いませんか? ○○から STAR発掘オーディション」にも参加。とにかく見てもらわないと始まらないがゆえの行動でしたが通用しません。流れは、コメディースクールに入学へ。旅×お笑いという構想も頭にあったのですが、そんなやり方を選ぶには歳を取り過ぎていました。どこかしらの事務所に所属するという壁は高し。


そのような東京滞在で、とある方から「旅のお話を聞きたい」というメールを頂きました。私に、私の旅に興味を持っていただくことはこの上なく光栄なことです。しかし、私にはいかんせん余裕がありません。ですので、そのような申し出は有料でやることにしていました。そのことをお伝えしましたが、お相手の方は快諾。

2017年1月18日、晴れて4回目の講演会となった次第です。都内で病院を経営する院長でした。Kさんとします。私の旅の様子を見守ってくれていた方でした。

講演会としましたが、大勢の前で話す形などではなく、当日はKさんと病院の方とフランス料理店で会食。その後は、場所を居酒屋に移してKさんのお友達と一緒に談笑という緩やかなものでした。


その日は、Kさん宅のゲストルームに宿泊。翌朝も自宅付近を車で案内してもらいました。本当によくして頂きました。ありがとうございました。

Kさんには、オーストラリアの蟻塚が一緒に写ったA4サイズの写真を記念に受け取って頂きました。


◆5回目の打診
しかし、旅を仕事にするための東京滞在は、実を結ぶことはありません。2017年3月1日、実家のある福岡に撤退。それでも出版を成功させれば、まだ道は拓けると、地元で半年ほど原稿を書いてはいましたが、どうしても一冊の本になるイメージとなりません。こう書くとうまく繕えますが、実際は「食う」「寝る」「抜く」の三欲に忠実などうしようもない生活になりまして、これではまずいと働くことを決意。お金もすっからかんでした。


2017年9月1日から東京のとある工場で働いています。出稼ぎをするなら、関東のつもりでした。出版にしろ講演にしろ、これまでの旅を仕事に繋げるなら。東京に近い方が可能性が高いという理由。出版はまだ諦めていません。それに、どのみちゲストハウスをやるなら地元福岡のつもりですし、だったらそれまでの間は別のところに住んで、まだ見ぬ土地を旅しようという魂胆。

そんな東京にいた2017年11月中旬、自サイトのホームページ経由で講演依頼のお話が舞い込みました。しかし、なぜか登録もしていないサイト経由。「弊社のような代理店を通してのご講演依頼は可能でしょうか?」という問い合わせでしたが、何か違う気がして以下の返信をしました。


今回の件ですが、私と御社の方でお取引がない以上、
その旨をお客様(クライアント)に伝えることが最優先ではないでしょうか?
人を騙すような形で仕事を受けたくはありません。

今回のお客様が(代理店名)様がご懇意にされている方なら、
また、話が違います。
今回のお客様が、講演を依頼してきたいきさつについてご説明下さい。


すると、「相手は神奈川県内の経営者団体で、講演会企画のたびに相談を頂いている」とのこと。「私と代理店との間にまだお取引がないことは既に伝えている」とあり、一安心。尋ねられた講演料も、経営者の団体ならお金があると、素直に欲を出して「3万円」という希望を出しました。その時に、代理店のマージンを訊きました。すると、悪びれるわけもなく「最低5万円から」という回答を頂きます。

ちょっと待って下さい。マージンを訊いたのは、お金をいただく以上、その額に相応しい働きをしたかったため。それがなぜ演じる私より代理店の取り分が多いのでしょう。あなた方が頭を下げて、獲得してきた仕事なのでしょうか。違いますよね。私に依頼があったはずです。それなのに平然と後出しジャンケンをやる代理店に不信感を抱きました。それでも「この先生き残るにはチャンスを逃すべきではない」「自分に嘘をついてでも、実利を得た方が正しいのでは」と葛藤。結局、一連のモヤモヤを相談という形で自らのFacebookに投稿。悩みに悩んだ上、断るという決断に至ります。何か引っかかったまま引き受けたとしてもベストは尽くせません。ストレスフリーで行きたいのです。

断りの連絡ともに、マージンの件を質すも「同業他社様もいくつかございますが、マージンの取り決めについては ほぼ同様と把握しております。」と的外れの回答。「同業他社か何か知りませんが、私はあなた方のサイトに登録していない以上、興味がない以上、マージンについてはあなた方が先に提示するのが筋ではないでしょうか?」という私の返信を最後に連絡が途絶えてしまいました。今回の講演依頼を頂いた神奈川県内の経営者団体も、直接の依頼なら引き受けますと話を通してもらっているのですが音沙汰ありません。そもそも、私の意向は相手に伝わっているのでしょうか。

ちなみに、私はDMM講演依頼に登録させて頂いています。自分を大きく見せたかった。自分の旅が社会に通用するか試したくて問い合わせをしたところ、掲載して頂きました。お仕事の依頼はありませんが「DMMのサイトに載っています」って、話のネタにできるので気に入っています。DMMにこだわる理由は、それだけじゃないですけど。

今回の神奈川県内の経営者団体は、登録をしてもいないサイトからの打診に加え、講演にしても「候補の1人」だそうでした。「ぜひとも、チャリダーマンのお話を聞きたい」という形ではありません。日程や条件で断りがあるのは分かります。でも「別の人にやってもらうから」という形で、断られることだってあったはず。だとしたら、どうして確定してから連絡できないのでしょうか。旅以降、さっぱりしない人生を送る私にとって、これまでの旅をお金に、仕事にできる機会は喉から手が出るほどに待ち望んでいたものでした。人をぬか喜びさせかねないやり方には首をかしげるばかりです。

4回目のお話のときは、Kさんの奥さんと中学生くらいの娘さんが駅まで迎えに来てくれました。そのまま、ご主人が帰ってくるまでご自宅で待機。見ず知らずの他人を女子どもしかいない家に招くという行為に「それだけ、信頼されている」と胸が熱くなりました。その一方で今回のように、鼻先にニンジンをぶら下げるだけで、そのニンジンをひょいと取り下げようとする人もいます。いろんな人がいろんな考えの下で、この社会に暮らしています。良い人ばかりに巡り会えるといいのですが、なかなかそうもいきません。今回の講演のお話に限らず、これまでも本当にいろいろなことがありました。

◆旅の思い出
今回のような大勢の前で話す講演依頼や、もっと少人数、それこそマンツーマンでも旅のお話をしてお金を頂くというアイデアもあって、東京の出稼ぎ先にも旅の思い出を持っていきます。旅の空気を伝える数々の記録。果たして日の目を見ることはあるのでしょうか。

たくさんのファイルに、旅中に使っていた世界地図とパスポート。


これまでのイベントでも使った旅の写真。


カードタイプの地下鉄や電車の切符。


電車やバスのチケット。


GIGAZINEの記事でも紹介させていただい世界の瓶ビールのラベルコレクション。


8Pチーズは旅中の貴重な保存食。


「トークに自信があるから講演会をやりたい」というわけでもなく、日本に社会に復帰したところで、何の資格も職歴もない私には、これまでの旅しか頼るものがありません。旅を終えた今、ずっと目を背けてきた、ずっと後回しにしてきた現実と向き合ってはため息をつくばかり。それも私がやらなかったせいなのですが、これからの生活はかなり厳しく、少しでもマシな未来を掴むためには、何かしないといけないと思っています。

それにも関わらず、みすみすチャンスを潰していく不器用な私ですが、講演の依頼があればやりますし(直接オファー歓迎)、これまでの旅を仕事にするお話があれば喜んで引き受けます。何かありましたら、ご連絡頂けると助かります。

そういえば、こちらも同じ2017年11月、とある民放のテレビ番組から出演のオファーがあったのですが、こちらも審議中だそうです。候補としての人選は終えた上で連絡をいただけると、変な期待を抱かずに済んだのですが、残念です。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

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in コラム, Posted by logc_nt

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