株価上昇率日本一!「北の達人コーポレーション」驚異の「利益率29%」経営のヒミツ
驚異的な利益率の秘密とは?
北海道札幌市で健康食品や化粧品のネット通販を手掛ける「北の達人コーポレーション」という企業をご存じだろうか。
創業者の木下勝寿氏は2000年に資本金1万円で合資会社を起業。パソコン1台で会社を立ち上げたものの、最初の2年間は給料ゼロ。ようやく経営が軌道に乗ったと思った矢先、取り込み詐欺にあって無一文に。
それでもコツコツと事業を拡大し、2012年に札幌証券取引所新興市場「アンビシャス」に上場。さらに快進撃を続けて2年後には東京証券取引所二部上場し、2015年には、ついに東京証券取引所一部に上場する。
これだけでも劇的なストーリーだが、この会社の注目すべき点は、驚異的な「利益率」だ。2020年2月期の売上高は約100億円、営業利益は約29億円。企業の平均的な利益率が3%程度の中、29%の利益率は飛び抜けて高い。
従業員一人当たりの利益率を見ても、北の達人コーポレーションが2332万円に対し、東証一部の平均は303万円。約7.7倍を稼ぎ出している(2019年12月~2020年11月決算)。
2017年には株価上昇率日本一、時価総額1000億円となり、2019年には東洋経済オンラインで「市場が評価した経営者ランキング」の1位となった。
ちなみに新卒初任給は日本で2番目に高い(日本経済「初任給ランキング2021」)。仕事ができる人材であれば、年齢に関係なく重要なポジションに抜擢、それに見合った報酬をしっかり与えることでも有名な企業だ。
「北の達人コーポレーションにコネクションはありませんか?」
IT企業で働く人から、そのような声をかけられたことは一度や二度ではない。
一代で大企業の社長にまで上り詰めた経営者は数多くいる。しかし、厳しい審査をクリアしなければいけない東証一部に上場し、なおかつ、本当の「儲け」の証明でもある高い利益率を維持できている企業は、そう多くない。
そんな木下社長が6月にダイヤモンド社から初のビジネス書を発刊した(『売上最小化、利益最大化の法則』)。
正直、本を出版したことに筆者は非常に驚いた。なぜならば、木下社長は昔から自社のノウハウをあまり公開したがらなかったからである。
木下社長と何度か仕事をさせて頂く機会があったが、肝心な経営の核心部分に触れようとすると、いつもうまい感じで話をかわされていた。「いつかノウハウを聴き出してやる」と虎視眈々と狙っていたが、あっけなくそのノウハウは著書で公開されてしまった。