2016年 07月 28日
失われた足跡
解けない謎があります・・・
先日「鯛まつり」を見に知多半島の南端
南知多町の豊浜を訪れ
祭りのはじまるまえ、早朝の漁村をブラついていたら
屋根のうえに鍾馗さんを二対見かけました。
小屋根のうえに瓦製の鍾馗さんを
魔除けとして置く風は京の発祥で
その後、各地へひろまったといわれます。
京から伝わるとしたら 東へは東海道と中山道
北へは北国海道・・・近江を通って伝播するはずです。
たしかに近江の東海道中山道沿いには
古い町並みに鍾馗さんを見つけることは容易です。
東海地方でも鍾馗さんは馴染みのないものではありません。
ところが、大津宿からびわ湖の西側
北国海道をへすすむと坂本から先
とんと鍾馗さんは見かけられなくなり
その先、北陸ではついぞその姿を拝んだことがありません。
いちど金沢の駅前で見かけたことはあるのですけれど
それは「京風」を標榜する店舗のアクセサリーとして
近年取りつけられたもののようで
長刀鉾や蘇民将来之子孫也のちまきと共に飾られていました。
そのことを以前ブログに書くと、鍾馗さんの研究家で
『鍾馗さんを探せ!』という快著の著者でもある方から
その通りであるという旨のコメントをいただきました。
前田利家が旗印として愛用した鍾馗を
戦災も受けなかった金沢で見かけないということは
これはまったく伝わってこなかったということでしょう。
古来、太平洋側よりも京との結びつきの強かった北陸に
なぜ鍾馗さんは伝播しなかったのでしょう・・・?
それもびわ湖の西側という、京からすぐ近くで
その足跡が途切れてしまっているんでしょう・・・?
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清水
at 2016-07-28 05:38
x
理由の一つに北陸の気候があるのではと思います
私の住んでいる福井では冬は大量の積雪があります
屋根雪は人力で下ろすのが普通ですから
屋根の上の鐘馗様は除雪道具で破損させる可能性が大きいです
福井の瓦は凍害を防ぐために
吸水率を低くする工夫をしていました
吸水率を低くするには
焼成温度を上げるか釉をかけるのが良いのですが
釉をかけると滑って屋根で除雪ができないので
焼成温度を上げる方法を越前瓦では行っております
焼成温度を上げると歪みが大きくなり
鐘馗様のような繊細な瓦は制作できず
ごつい鬼瓦が精一杯です
近年の越前瓦は技術の進歩で吸水率が少なくても
歪みの少ない瓦が製造出来るようになりました
北陸の屋根でも鐘馗様が見られる時代が来るかもしれません
以上、リタイヤした一級建築士の
根拠のない戯言です(笑)
私の住んでいる福井では冬は大量の積雪があります
屋根雪は人力で下ろすのが普通ですから
屋根の上の鐘馗様は除雪道具で破損させる可能性が大きいです
福井の瓦は凍害を防ぐために
吸水率を低くする工夫をしていました
吸水率を低くするには
焼成温度を上げるか釉をかけるのが良いのですが
釉をかけると滑って屋根で除雪ができないので
焼成温度を上げる方法を越前瓦では行っております
焼成温度を上げると歪みが大きくなり
鐘馗様のような繊細な瓦は制作できず
ごつい鬼瓦が精一杯です
近年の越前瓦は技術の進歩で吸水率が少なくても
歪みの少ない瓦が製造出来るようになりました
北陸の屋根でも鐘馗様が見られる時代が来るかもしれません
以上、リタイヤした一級建築士の
根拠のない戯言です(笑)
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dendoroubik at 2016-07-28 11:12
☆清水さん
なるほど!
「焼成温度の高い瓦で鐘馗さんのような繊細な制作はできない」
・・・というのは卓見ですね!
商家のおかみさんが原因不明の病に伏し
占いさせたところ向かいの家の鬼瓦の呪力のせいとのこと
魔除けに鐘馗さんを小屋根に載せたところ快癒した
というのが京都での鐘馗さんの発祥伝説ですね
この伝説からもわかるように京都の町家で鐘馗さんが好まれるのは
「鬼瓦」のような厳めくゴテゴテしたものに対する
町衆の反発・・・というか美意識があったのでしょう
そういう美意識がカッコイイというので各地へ広まったと思うのですが
北陸特有の瓦技術が鐘馗さんの制作には不向きということもあり
そういう流行がおこらなかったと考えるとスッキリしますね
ありがとうございました!
この写真では鐘馗さんは屋根のてっぺんにいますが
たいていは秋葉さんのように小屋根に載せられます
雪深い岐阜の山間部なんかでも秋葉さんはよく見かけますので
「除雪作業で破損してしまう恐れがある」説よりも
「焼成温度」説がやはり有力じゃないでしょうか
なるほど!
「焼成温度の高い瓦で鐘馗さんのような繊細な制作はできない」
・・・というのは卓見ですね!
商家のおかみさんが原因不明の病に伏し
占いさせたところ向かいの家の鬼瓦の呪力のせいとのこと
魔除けに鐘馗さんを小屋根に載せたところ快癒した
というのが京都での鐘馗さんの発祥伝説ですね
この伝説からもわかるように京都の町家で鐘馗さんが好まれるのは
「鬼瓦」のような厳めくゴテゴテしたものに対する
町衆の反発・・・というか美意識があったのでしょう
そういう美意識がカッコイイというので各地へ広まったと思うのですが
北陸特有の瓦技術が鐘馗さんの制作には不向きということもあり
そういう流行がおこらなかったと考えるとスッキリしますね
ありがとうございました!
この写真では鐘馗さんは屋根のてっぺんにいますが
たいていは秋葉さんのように小屋根に載せられます
雪深い岐阜の山間部なんかでも秋葉さんはよく見かけますので
「除雪作業で破損してしまう恐れがある」説よりも
「焼成温度」説がやはり有力じゃないでしょうか
by dendoroubik
| 2016-07-28 01:28
| 愛知
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