「推し農家と語らう 未来農業フェスタ ~未来を切り開く、農業の挑戦者になる!~」に農学部の学生が参加してみた。 | キャリア・生き方・将来を考える | 仕事を知る | マイナビ 学生の窓口

「推し農家と語らう 未来農業フェスタ ~未来を切り開く、農業の挑戦者になる!~」に農学部の学生が参加してみた。

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学窓ラボ、学生ライターの亀谷凪沙です。私は高校時代に農業関係の探求学習を行ったことがきっかけで農業に興味を持ちました。今回は、銀座フェニックスプラザで開催された、「推し農家と語らう 未来農業フェスタ ~未来を切り開く、農業の挑戦者になる!~」の様子を農学部生の視点からレポートします。

推し農家と語らう 未来農業フェスタとは?

今回のイベントは、「農業の魅力発信コンソーシアム」が主催しています。「推し農家と語らう未来農業フェスタ」では、実際に様々な領域で活躍する全国の農業者たちが集まり、それぞれの体験を語ってもらうことで、参加者が自分にとっての“推し農家”=ロールモデルを見つけてもらおう、といった趣旨で開催されているイベントです。 会場に行ってみるとすでに満員で、農業への関心の高まりを感じました。

「ロールモデル農業者」とは?
農業は今、従来の生産するだけの農家ではなく、農業をビジネスとして捉えて、成功している若手農業者が多く存在しています。高収入、自分らしいライフスタイル、ユニークな作物の生産・販売など、その方々はそれぞれの目標を達成し、更なる目標に向かってイキイキと農業に取り組まれています。そういった若者にとって憧れや目標の農家となるような人たちを「ロールモデル農業者」として紹介しています。

引用:「農業の魅力発信コンソーシアム」

ここからは、実際に「ロールモデル農業者」のトークセッションの中でとくに印象に残ったことをお伝えします。

就農のきっかけは多種多様。就農までの道のり

農家になるには、いくつかのパターンがあるそうです。親の農場を引き継ぐ「親元就農」や、自分で農地を探して契約する所から始める「新規就農」、「農業法人に就職する」方法など様々な方法があります。

登壇されたロールモデル農業者の方々は、就農のきっかけや道のりは多種多様でしたが、みんなイキイキと楽しそうな表情で語る姿がとても印象的でした。

●薄羽 哲哉さん(薄羽養鶏場/養鶏農家、元マーケティングリサーチャー)

栃木県で養鶏場を経営されている薄羽さんは、三代続く養鶏農家の出でありながら、元々はマーケティング関係の仕事をするビジネスパーソン。いわゆる脱サラ親元就農。きっかけは、父から養鶏場を経営していた頃に卸売業との関係が悪くなり、嫌がらせを受けるなど大変な時代があり、それでも家族のために奮闘し、苦労しながらも経営してきたという話しを聞いたこと。そんな養鶏場を手放すのは勿体ないと考え39歳の時に就農を決意しました。結婚して子供も生まれてくる中で決断するのは、そうとう迷いもあったようです。決めては、奥様が背中を押してくれたからだと言います。

●龜山 剛太郎さん(3181Farm/玄米・大豆加工品、元商社マン)

現在、3181Farm(さいわいふぁーむ)を経営されている亀山さんは、以前は商社マンとして海外を飛び回っていたそうです。バックグラウンドも非農家出身でもともと農業とまったく縁がなかったとのこと。

5年前にハードワークがたたり体調を崩してしまったそうです。その頃は、心身ともにボロボロの状態だったようで、このまま残りの人生を退職までがまんしてやっていくのがいいのか悩んだそうです。

一度立ち止まって「ほんとに自分がやりたいことって何だろう」と丸一年間考え抜いたことがきっかけで、異業種から農業の世界に飛び込んだそうです。

非農家出身で農産物は作れないが、商社マンとして培った販売や営業の知見は活かせると考えて、まずは6次産業化から入って食品メーカーになって出口を作ってから就農するという戦略を立てました。

現在は、玄米を使った冷凍のおにぎりを自社商品として生産し、全国で販売を拡大しているそうです。

●橋本 純子さん(アンファーム/国産アボカド産地化)

香川県三豊市の農業法人に就職し、国産マンゴーやアボカドの栽培を行っている橋本さんは、「とにかく農業をやりたい!」という強い思いから、農業の道に進んだそうです。アグリイノベーション大学校の1期生として農業を学んだ後、脱サラして農業法人に就職しました。農業法人の強みはお給料もらいながら、いろいろな品目や機械の使い方までと学べること。よい親方を見つけて、学びを止めないでほしいと話してくれました。就農の一歩目として、農業法人に就職する「法人就農」という選択肢があることがわかりました。橋本さん自身も「もっとかっこいい農家になりたい」という気持ちとやりがいが伝わってきました。

 ご紹介した3人の農家さん以外にも、登壇された皆さんがそれぞれのきっかけや深いバックグラウンドがあって、農業に携わっていることが分かりました。

私の大学にも両親や祖父母が農家をやっていることがきっかけで農学部に入り、勉強している学生は見かけますが、商社マンやマーケティング関係の仕事をしている人が実際に農業に参入していることはとても意外でした。

薄羽さんや亀山さんが経営されている農場のHPをみると、商品の口コミやオンラインストアなど、生産や加工といった技術面の他に、売り方にも工夫がされていることが分かります。農業を始める時期は遅くても、マーケティングや営業経験など前職の自分の強みを活かして、上手く経営していることに気がつきました。

イベントに登場していた農家さんの「未来への取り組み」

第二部では、「地域と未来~これからの地域と農業の未来を語らう~」のテーマでのトークセッションが行われました。

今回のイベントでは、従来型のただ野菜や家畜を育てて売るという農業だけではなく、様々な工夫や取り組みをして新しい「農業の未来」に向けて、チャレンジしている農家さんがたくさんいらっしゃいました。今回は、とくに印象に残ったその一部を紹介します。

香取 岳彦さん(ベジL IFE!!IFE!!/野菜農家、元商社マン)

千葉県で無農薬無科学肥料での栽培を行っているベジLIFE!!の香取さんは、野菜をただ売るのではなく、都内からのアクセスも良い農園の立地を活かして、「体験を売る」という工夫をしています。農業を「子供が憧れる職業にする」という理念を掲げていて、実際に小学生の農業体験や中高生のキャリア授業を行ったり、畑を大学生と社会人との交流の場として活用したりと、ターゲットに合わせた様々な体験を提供しています。

世代を選ばず農業体験に参加できる点が魅力だと感じました。また、畑でpaypay決済が使えたり、クラウドファンディングでトイレを設置したりと、どんどん新しいことに取り組む姿勢が素晴らしいと思いました。

●竹本 彰吾さん(たけもと農場/米農家、事業承継、企業コラボ、外国米国産化)

石川県でお米を栽培している竹本さんは、なんと江戸時代から続く米農家の10代目です。たけもと農場では、日本の品種だけではなく、イタリアのお米も栽培しているんです。最初はイタリア米を栽培することを父から反対されましたが、今は理解してくれているそうです。イタリアのお米は日本の品種より栽培が難しいとおっしゃっていましたが、リゾットキットの販売など、6次産業化にも力を入れています。日本では洋食を食べる文化が進んでいるので、国産の素材で対応できるようになるのは魅力的だなと思いました。

農業の未来については、これからの時代は、変化が激しいので「頭を柔軟にして、時代に順応していくことが求められている」とメッセージをくれました。あとは、「オリジナルTシャツをつくることもオススメです(笑)」とのことです。

ロールモデル農業者とつながれる「推し農家マッチングブース」

トークセッションの後は、「推し農家マッチングブース」での交流が行われました。

個別のブースでは、登壇したロールモデル農業者の皆さんがつくる農産物や加工品が実際に展示されていて、直接説明を聞いたり、つながることができるというものです。

やつしろサニーサイドファーム 桑原 健太さんのブースでは、国内最大の柑橘として知られる晩白柚(ばんぺいゆ)の大きさにはとにかくびっくりしました!

桑原 健太さん(やつしろサニーサイドファーム/晩白柚農家、六次産業化、元金融マン)

イベントに参加してみて

いかがだったでしょうか。農業は力仕事がメインで、体力と栽培技術、経験年数が重要な地道な職業だというイメージがありましたが、今回「推し農家と語らう 未来農業フェスタ」に参加してみて、アイデア次第で色々な取り組みができる魅力的な分野だなと思いました。新しい発見が多く「職業としての農業の魅力」に気づけるとてもよい機会になりました。今後も、これからの「農業」の取り組みに注目していきたいです。

【農業の魅力発信コンソーシアムとは?】

 「農業の魅力発信コンソーシアム」は、農林水産省の補助事業「農業の魅力発信支援事業」を活用し、生産者と生活者の接点となる企業9 社が集結し、設立しました。本コンソーシアムでは、ロールモデルとなる生産者の情報発信や、生産者と参加者が農業に関わるプロジェクトを協働で企画するイベント、学生の農業体験イベントなどを通じて「職業としての農業の魅力」を発信しています。

取材・文/亀谷凪沙(学窓ラボ 学生ライター)
編集:学生の窓口編集部


関連:「推し農家と語らう 未来農業フェスタ 」公式サイト
関連:Youtube配信URL

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