ふるさと納税の確定申告のやり方を図解で徹底解説
【監修】GRATIA税理士法人マネジメントパートナー 近藤 大補
ふるさと納税の確定申告とは?どんな人が必要?
ふるさと納税を利用して寄附を行うと、お礼の品が送られることに加え、税金の控除(還付)を受けることができます。
その税金の控除(還付)を受けるためには手続きが必要です。
手続きは「確定申告をする」と「ワンストップ特例制度を利用する」の2通りがあり、確定申告の要否によってどちらで手続きすべきかが変わります。
ふるさと納税で確定申告が必要な方
ふるさと納税で確定申告の対象となる方は以下の通りです。どれか一つでも該当した場合は、確定申告によって税金控除の手続きをする必要があります。
①1~12月の1年間で寄附先の自治体数が6つ以上の方
②個人事業主(自営業)の方
③年間の給与収入が2,000万円以上ある方
④2ヶ所以上の会社から給与を受け取っている方
⑤不動産、有価証券、会員権などの売却益や譲渡益がある方
⑥給与所得は1つの会社からあるが、その給与以外の副収入が20万円以上ある方
⑦一定額の給与所得が2つ以上の会社からある方
※一定額:年末調整されなかった給与収入金額と、給与所得・退職所得を除く各種所得額の合計額が20万円以上
⑧住宅ローン控除(初年度)・医療費控除などの税金控除・還付を受ける方
⑨ワンストップ特例制度の申請期日に間に合わなかった方
ふるさと納税で確定申告の必要がない方
ふるさと納税で確定申告の必要がない方は以下の3つの条件を満たす方です。
これらを満たす方は「ワンストップ特例制度」という制度を活用することで、確定申告を行わずにふるさと納税の税金控除を行えます。
①もともと確定申告が必要ない給与所得者等(会社員など)の方
②1~12月の1年間で寄附先の自治体数が5つ以内の方
③ふるさと納税以外で確定申告(住民税申告)を行う必要がない方
確定申告スケジュール
確定申告の手続きは、2月16日〜3月15日(最終日が土日祝の場合は翌日)までにする必要があります。
また、締め切り間近になると、大変混み合いますので、余裕をもって申請するようにしましょう。
確定申告をした場合、5月頃に所得税の還付、6月から住民税の控除を受けることができます。
税務署に提出書類を申請する必要があるなど、人によっては負担になる可能性もあるので注意しましょう。
※個人事業主の方は、ワンストップ特例制度を利用することはできませんので、ご注意ください。
ふるさと納税 確定申告のフロー3step
確定申告の手続きは大きく分けて3つのステップに分けられます。
Step1 準備:必要書類の準備
手続きで必要な書類は、確定申告の方法により異なります。
申請方法の4パターンを解説します。
パターン
方法
必要書類
A
e-TAX
マイナポータル連携
・サービス対応している自治体に関してはマイナポータルのデータを連携して、e-TAXでオンライン手続きが可能。証明書の電子発行も可能です。
(確定申告書に証明書情報が自動入力されます)
※サービス対応していない自治体に関しては、「C以下」をご参照ください。
・マイナンバーカード
・源泉徴収票
・還付金の受取口座番号
B
e-TAX
証明書電子発行
・サービス対応している自治体に関してはマイナポータルのデータを連携して、e-TAXでオンライン手続きが可能。証明書の電子発行も可能です。
(確定申告書に証明書情報が自動入力されます)
※サービス対応していない自治体に関しては、「C以下」をご参照ください。
・マイナンバーカード、またはID・パスワード方式の届出完了通知(税務署で発行)のいずれか
・源泉徴収票
・還付金の受取口座番号
C
e-TAX
寄付情報を専用サイトに入力
電子サービス対応していない自治体でもWeb上の申請で対応が可能
自治体から郵送で届く「寄付受領証明書」の内容を、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」より、指定の項目にご入力ください。
※受領書はご本人のお手元にて5年間の保管義務が生じます。詳しくは国税庁HPをご参照ください。
・マイナンバーカード、または本人確認書類※1
・源泉徴収票
・還付金の受取口座番号
・各自治体から送られてくる寄付金受領証明書
D
税務署
証明書データを印刷して提出
寄付金受領証明書の提出
・税務署に郵送・持参して提出
・各自治体から送られてくる証明書(寄附金受領証明書)を、確定申告書と一緒に提出
・マイナンバーカード、または本人確認書類※1
・源泉徴収票
・還付金の受取口座番号
・各自治体から送られてくる寄附金受領証明書
※1:本人確認書類は、マイナンバーカードのコピー(裏・表)が必要です。
マイナンバーカードをお持ちでない方は下記の書類を準備することで利用できます。
マイナンバーカードを持っていない場合はどうすればよいの?
マイナンバーカードをお持ちでない方はパターンA~Cの書類を準備することで利用できます。ご用意可能な身分証を確認してみましょう。
Step2 作成:申告書類を作成
確定申告書の作成方法は、主に手書きとオンラインの2種類があります。
Step3 提出:期限までに提出
提出の準備ができましたら、「e-taxでオンライン提出」、または「税務署に持参または郵送」で提出します。
パターン
方法
詳細
A
e-Taxで提出
マイナポータルのデータを連携してe-TAXで提出
B
e-Taxで提出
自治体が発行した証明書データをダウンロードしてe-TAXで提出
※マイナビふるさと納税の寄付(令和5年分移行)については「寄付金に関する証明書」(xml)をダウンロードいただけます。
(詳細はこちら「「寄付金控除に関する証明書」発行サービス」をご確認ください)
C
e-TAXで提出
e-TAX
寄付情報を専用サイトに入力
D
税務署に提出(持参・郵送)
各自治体から送られてくる寄附金受領証明書を添付して税務所に持参、または郵送
ワンストップ特例制度と確定申告の違い
ワンストップ特例制度と確定申告の違い
手続きの種類
ワンストップ特例制度
確定申告
対象条件
・ふるさと納税以外の確定申告の必要がない方
・1年間でふるさと納税の寄附先が5自治体以下
※確定申告の必要がなくても、寄附先が6自治体以上の場合はワンストップ特例制度は利用できません
・もともと確定申告が必要な方
・1年間でふるさと納税の寄附先が6自治体以上
1年間の寄附先自治体数
5箇所以内
※年間を通して同じ自治体であれば、何回寄附しても1箇所として扱う
制限なし
申請方法
・寄附ごとに各自治体へ申請
・ワンストップ特例申請書と各種書類(マイナンバーカード等)の提出
・年に1回、税務署に申請
・確定申告書類とともに、寄附金受領証明書を提出
申請・申告期限
翌年の1月10日
翌年の3月15日頃
税金控除(時期)
・住民税の控除(6月~)
・所得税の還付(5月頃)
・住民税の控除(6月~)
確定申告とワンストップ特例制度には、対象条件は寄附先の自治体数などに違いがあります。
自分がどちらの制度で申告すべきか、事前に確認しておきましょう。
ワンストップ特例制度についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。