ふるさと納税を行ったあとに気になるのが「正しく控除されているの?」という点です。
お得な制度としてふるさと納税を利用したのに、正しく控除されていなければ意味がありませんからね。
そこでこの記事では、ふるさと納税が「正しく控除されているかを確認する方法」を図解を入れて徹底解説します!
ふるさと納税後、正しく寄附金控除がされているかどうかを確認するには、確定申告書や住民税の決定通知書を見ます。
ワンストップ特例制度を使った人と確定申告をした人で確認方法が異なるので、それぞれ詳しく紹介していきます。
また、正しく控除されていなかった場合の対処法についても紹介します。
この記事の監修者
森 健太郎代表税理士・行政書士 ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。 |
ふるさと納税が正しく控除されたかを確認する方法!2つのパターン
ふるさと納税で行った寄附が正しく控除されているかを確認する方法は大きく分けて2種類に分けられます。 一人目は、ワンストップ特例制度を利用した人。もう一人は確定申告をした人です。
No | 属性 | 控除額の確認書類 |
1 | ワンストップ特例制度を利用した人 | 住民税決定通知書 |
2 | 確定申告をした人 | 確定申告書(控え)+住民税の決定通知書 |
ここからは、ワンストップ特例制度を利用した人と確定申告をした人、それぞれのパターンで、ふるさと納税の控除額を調べる方法を解説します。
ワンストップ特例制度を使った人は住民税の決定通知書を確認しよう!
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしない会社員の方などが使える制度です。
ふるさと納税をした自治体から送られてくる書類をもとに申請します。
ワンストップ特例の申請をした人は「住民税の決定通知書」を見れば、ふるさと納税の控除額が確認できます。
出典:総務省HP
決定通知書は、ふるさと納税をした年の翌年6月ごろに送られてきます。
会社員の方は、会社を通じて渡される場合が多いですよ。
まず、ふるさと納税の控除額がいくらになっていたら良いのか、整理しておきましょう。
以下の計算で寄付附金控除されるべき額を確認します。
次に、住民税の決定通知書に記載されている金額を確認しましょう!
住民税とは、具体的には「市町村民税」と「都道府県民税」のふたつに分けられます。
たとえば大阪市の方なら「市民税」と「府民税」に分けて書かれているということ。
それぞれの「税額控除額」の欄、2か所を確認してください。
これらの合計金額を計算してみましょう。
市町村民税の税額控除額+都道府県民税の税額控除額
摘要欄に記載されている場合もあります。
この金額が、最初に計算した「寄附した金額の合計-2,000円」とおよそ同じであれば、正しく控除されているということになります。
まとめると、以下の計算になります。
※2,500円というのは「調整控除額」のこと。
所得税と住民税の差を調整するためのもので、該当する控除の種類によっては2,500円ではないケースもありますので、詳しく知りたい方は専門家にご相談ください。
確定申告をした人は確定申告書と住民税の決定通知を両方確認
ワンストップ特例制度を利用せず、確定申告をおこなった人は、確定申告書と住民税の決定通知の両方を確認します。
まず、控除されるべき金額を確認しておきます。
以下の数字を計算しておきましょう。
確定申告をした人の場合、「所得税」と「住民税」に分けて控除されます。
所得税と住民税の合計が「寄付寄附した金額の合計額-2,000円」になっているかどうかを確認しましょう。
まずは確定申告のほうから確認していきます。
確定申告書控えの寄付附金控除額を確認
確定申告書の控えを用意し、まずは「寄附金控除」の欄を確認しましょう。 この金額が以下の金額になっていれば、正しく控除されているはずです。
※ちなみに、所得税からの控除額を確認するためには「還付される税金」の欄を確認すると良いとする情報もありますが、当てはまらない場合もあります。
ここには転職や退職、医療費控除等、ふるさと納税以外の要素も含めた金額が記載されているため、必ずしも参考になるとは限りません。
還付金は確定申告後、3週間~1か月半程度で銀行口座に振り込まれます。
※ほかに納付すべき所得税があった場合は還付金と相殺されます。
さて、所得税の寄附金控除については以上ですが、住民税の控除の確認をするためには、所得税からいくら控除(還付)されているかを調べる必要があります。
以下の手順で計算しておいてください。
まず、あなたの所得税率を調べます(把握している方は飛ばしてOK)。
所得税率は、「課税される所得金額」の欄をもとに調べることができます。
この金額が以下の表のどこに当てはまるか探し、自分の所得税率を調べます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※実際には復興特別所得税の税率を加えた率となりますがここではおおよその数字で計算します。
所得税率がわかったら、ふるさと納税が所得税からいくら控除されているのかが計算できます。
たとえば、3万円を寄附して、所得税率が5%であれば、以下の計算になります。
この数字を、このあとの住民税の控除額の確認に使います。
住民税の決定通知書で寄付附金控除額を確認
ふるさと納税の控除が住民税からもしっかり引かれているかを確認するには、住民税の「決定通知書」を見ます。
住民税の決定通知書は、ふるさと納税をした翌年6月ごろに送られてきます。 住民税とは「市町村民税」と「都道府県民税」の総称で、決定通知書にはそれぞれの金額が記載されています。 税額控除額は、摘要欄に記載されている場合もあります。
次に、以下の計算をします。
上記の金額が、以下とおよそ同じになっていれば、ふるさと納税の寄付附金控除が正しくおこなわれたということがわかります。
もし、ふるさと納税の控除が正しくおこなわれていないとわかったら、どうすれば良いのでしょうか?
控除がされていない、金額が間違っている、という場合は、「更正の請求」という手続きをすることにより、正しく控除してもらえます。
また、それ以前の事務的なミスなどで控除がされていないケースもありますので、以下のパターンを確認してみてください。
1.ワンストップ特例制度の申請も、確定申告もしなかったときは
ふるさと納税の申込みをしただけでは、寄附金控除は使えません。
ワンストップ特例制度は5自治体までと決まっていますので、6自治体以上に寄付寄附をして、確定申告をしなかった場合も、ふるさと納税の控除が正しくおこなわれません。
この場合は確定申告をおこなうことになります。確定申告は、ふるさと納税をした年の翌年から5年以内であれば手続きできます。
2.ワンストップ特例制度の申請をしたが自治体側の手続き漏れがあったとき
ワンストップ特例の申請をしたのに、自治体側の手続き漏れやシステム上の問題等で、正しく控除がされていなかったというケースも過去にはあります。
おかしいと思ったら、自治体に問い合わせてみてください。
3.確定申告時に寄付附金控除の申告をしなかった、書類の添付漏れがあったとき
確定申告をする際には、寄付附金額の入力や書類の添付が必要です。
そもそも入力が漏れていたり、「寄附金控除に関する証明書」もしくは「寄付寄附金の受領書」の添付を忘れていたりして、正しく控除されないことがあります。
間違いに気づいたら「更正の請求」の手続きをすることによって、正しい金額を控除してもらえるようになります。
4.ふるさと納税の上限額の計算を間違えていた
ふるさと納税には上限額があります。寄付寄附自体は好きなだけしてもいいのですが、税金の控除には上限がある、という意味です。
限度額を超えてふるさと納税をした場合、超えた分は自己負担になります。
医療費控除や住宅ローン控除等を計算に入れるのを忘れていたなどの理由で、計算を間違った可能性もあります。
残念ながら、この場合は自己負担として諦めるしかありません。
更正の請求とは?
ふるさと納税の控除が正しくされておらず、自治体側のミスでもなく、上限額の計算ミスというわけでもなく、確定申告の内容に誤りがあった場合、「更正の請求」という手続きをおこないます。
これは確定申告のやりなおしをするようなもので、申告内容を修正して、正しく控除できれば還付金が受け取れます。
どこで | 管轄の税務署 |
いつまでに | はじめの申告をした日から5年以内 |
どのように | 窓口・郵送・e-Taxのいずれか |
郵送やe-Taxでも手続きできますが、わからなければ窓口に出向いて教えてもらいながら手続きするのが確実かもしれませんね。
まとめ
ふるさと納税が正しく控除されているかは、確定申告書や住民税の決定通知書で確認ができます。
もし手続きを忘れていたり間違えていたりして正しく控除されていなくても、更正の請求をおこなえば修正でき還付金が受け取れます。
ふるさと納税が正しく控除されるためには、ワンストップ特例制度を使う人は漏れなく申請すること、確定申告する際には証明書(or受領書)の添付も忘れないことも大切です。
なお、確定申告の際にはマイナポータルを連携してデータを読み込むこともできます。
この記事の監修者
森 健太郎代表税理士・行政書士 ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。 |