ふるさと納税と住宅ローン控除を併用すると限度額はどうなる?影響の有無や注意点を解説
応援する自治体に寄付をすることができる「ふるさと納税」と、住宅を購入・増築やリフォームした際に利用できる「住宅ローン控除」は、どちらも使っている人が多く、身近な控除制度ではないでしょうか。しかし、「ふるさと納税と住宅ローン控除って併用できるの?」と不安を抱いている人もいることでしょう。
今回は、住宅ローン控除を受けている人やこれから受ける人がふるさと納税と併用する際の方法や注意点について分かりやすく紹介します。住宅ローン控除とふるさと納税を効果的に利用して、最大限活用できるようにしましょう。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能
結論からいうと、ふるさと納税と住宅ローン控除の併用は可能です。しかし、2つを併用する場合には、ふるさと納税の限度額や申請方法への影響があります。両方の制度は、ともに納税している金額からの控除になるため、納税額以上の控除は受けることはできません。
したがって、申請方法によっては所得税額に変化が出てしまい、控除しきれなくなるケースがあります。とはいえ、多くの場合で住宅ローン控除とふるさと納税を併用しても両方の控除を受けることができるので、安心してください。では、以降で住宅ローン控除とふるさと納税の併用がどう影響するのかを確認していきましょう。
住宅ローン控除がふるさと納税の限度額に与える影響は?
住宅ローン控除とふるさと納税(確定申告で寄付金控除の申請をする場合)は、ともに所得税と住民税として納める税金を控除できる制度です。基本的に、2つを併用しても控除額が減ることはありませんが、「確定申告」をする場合には、注意が必要です。
確定申告でふるさと納税をする場合は、2,000円の自己負担額を除き、寄付した金額分が控除されます。この時、所得が少なくなることで納めるべき所得税や住民税も少なくなるので、所得税でまかなうことのできなかった住宅ローン控除は、住民税から控除されることになります。住民税からの住宅ローン控除の限度額は年間最大9.75万円(令和4年開始の場合) となっているので、それ以上の金額が控除枠としてある場合は、損になってしまいます。
つまり、住宅ローン控除の金額を考えずに、控除上限額ギリギリまでふるさと納税をすると、最終的な控除額は減ってしまう恐れがあるのです。そのため、住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際は、双方における控除金額の合計を知ることが大切になります。ふるさと納税の寄付金控除の申請を確定申告で行う際に、いくらまでならふるさと納税をしても大丈夫なのか、計算しておくようにしましょう。ふるラボの「かんたんシミュレーター」を使っておおよその金額を出しておくのもよいかもしれません。
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住宅ローン控除(2年目以降)とふるさと納税を併用する場合は「ワンストップ特例制度」の活用が便利
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際は、「ワンストップ特例制度」を活用することによって、住宅ローン控除額を気にすることなく、ふるさと納税を併用することができます。
ふるさと納税のワンストップ特例制度は、控除が「住民税のみ」からされます。住宅ローン控除は、所得税のみから控除されるため、控除の対象となる税金が異なることで、併用の悪影響を最小限に抑えることができるのです。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するには、以下のような利用条件があります。
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確定申告や住民税申告の必要がない給与所得者
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ふるさと納税で寄付をする自治体が5団体以内
この2つに該当しない方は、ワンストップ特例制度を利用することはできません。確定申告で寄付金控除の申請を行う必要があるので、覚えておきましょう。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合の注意点
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合には、以下の3つの注意点があります。
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住宅ローン控除1年目はワンストップ特例制度が使えない
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「住宅ローン控除額+ふるさと納税額」が「所得税額+住民税の控除上限額」を超えないように注意が必要
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控除限度額を調べる際には「住宅ローン控除額」を忘れずに記入する
それでは、それぞれの注意点について、わかりやすく解説していきましょう。
住宅ローン控除1年目はワンストップ特例制度が使えない
住宅ローン控除1年目は確定申告を行う必要があるため、ワンストップ特例制度を利用することができません。ただし、2年目以降は確定申告の必要がなくなり、年末調整で控除ができるようになるため、ワンストップ特例制度を利用することができます。
「住宅ローン控除額+ふるさと納税額」が「所得税額+住民税の控除上限額」を超えないように注意が必要
先述したように、確定申告でふるさと納税の控除を受ける場合には、注意が必要です。確定申告の場合、住宅ローン控除とふるさと納税の併用は、両方の控除の合計額を把握することがとても大切になってきます。
ここで、ふるさと納税の控除と住宅ローン控除がどのような順番で控除されていくのかみていきましょう。
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所得からふるさと納税の自己負担分(2,000円)を除く寄付金、基礎控除を引く
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課税所得が決定し、所得税が導き出される
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所得税から住宅ローン控除額が控除される。所得税で控除しきれなかった分は所得税の課税総所得金額等の5%(最大9.75万円。令和4年開始の場合)まで住民税が引かれる
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住民税からふるさと納税の寄付金額が控除される
という順番で控除されていきます。
ふるさと納税分を控除したうえで課税総所得が決まるので、ふるさと納税をしないときに比べて、所得税・住民税の納税額が少なくなります。つまり、住宅ローン控除で住民税から控除できるのは課税総所得の5%になるので、ふるさと納税によって課税総所得が減った分、住宅ローンの控除限度額の水準も低くなり、控除対象額の一部を控除しきれなくなる可能性が出てきます。住宅ローン控除が所得税+住民税の控除上限を超えてしまうと、超えた金額はロスになってしまうのです。
住宅ローン控除の控除額を加味したうえでふるさと納税を行わないと、控除額が税額を超えてしまい、十分な恩恵を受けることができなくなってしまいます。そうならないように、ふるさと納税を利用する際は、事前にシミュレーターを使って自分がいくらまでふるさと納税をすることができるのか調べておくようにしましょう。
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控除限度額を調べる際には「住宅ローン控除額」を忘れずに記入する
先述のとおり、ふるさと納税の控除限度額を調べる際には、住宅ローン控除額を忘れずに記入するようにしましょう。住宅ローン控除の正式名称は、「住宅借入金等特別控除額」というのが正式名称なので、シミュレーションをする際にこの項目がある際は、住宅ローン控除額を記入しましょう。これによって正確な控除限度額を調べることができます。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合の手順と必要書類
ここからは、ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する具体的な手順について解説していきましょう。「ワンストップ特例制度」を利用する場合と「確定申告」を利用する場合の2パターン解説します。どちらも難しい作業がなく、簡単に申請することができるので、この章で正しく理解しましょう。
併用の際に必要な書類
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際に必要な書類は、以下の通りです。
<確定申告の場合>
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確定申告書
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寄付金受領証明書
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ふるさと納税する年の源泉徴収票
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還付金受け取り用の銀行口座番号
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マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
以下、住宅ローン控除申告に必要な書類。
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(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
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住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
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登記事項証明書
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「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写し
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その他、ローン控除の金額によっては追加の書類
<ワンストップ特例制度の場合>
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ワンストップ特例制度の申請書
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本人確認書類
【確定申告する場合】ふるさと納税と住宅ローン控除を併用するやり方
では、確定申告する場合のふるさと納税と住宅ローン控除を併用する方法を解説します。今回は、確定申告書A様式を例に、手順を紹介します。
(引用:国税庁HP)
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源泉徴収票や寄付金受領証明書を参考に、確定申告書第一表の必要な箇所に記入していく。ふるさと納税の控除額は図の「28:寄付金控除」の欄に記入する。
(引用:国税庁HP)
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住宅借入金等特別控除額の計算明細書で求めた「住宅ローン控除額」を、「34:(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」に記入する。
(引用:国税庁HP)
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第一表の必要な記入欄を埋めたら、第二表に移る。ふるさと納税の寄付先の所在地・名称・寄付金額を、「〇寄付金控除に関する事項(㉘)」に記入。金額のみを「住民税:都道府県、市区町村への寄付(特例控除対象)」に記入。
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「特例適用条文等」に居住年月日を書く。例:令和〇年〇月〇日居住開始
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そのほかの必要カ所埋めたら、添付書類台紙に「本人確認書類のコピー」「寄付金受領証明書」「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」「登記事項証明書」の6点と、「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しのいずれか、ローン控除の内容によっては追加で必要な書類を貼り付ける。
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確定申告書と添付書類を合わせて税務署に提出する。
住宅ローン控除の申告に必要な書類の詳細や手に入れ方は、国税庁公式サイトを参考にしてください。基本的に、源泉徴収票や寄附金受領証明書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書を参考にして、確定申告書に転記していくものが多いので、意外と簡単に済ませることができます。
確定申告の必要がない人でも、住宅ローン控除1年目の人は必ず確定申告をしなければいけません。また、自営業や副業収入が一定金額以上あり、 確定申告の必要がない人は、2年目以降、年末調整で住宅ローン控除が済むので、手続きがさらに簡単になります。
【ワンストップ特例制度を使う場合】ふるさと納税と住宅ローン控除を併用するやり方
ワンストップ特例制度を利用する場合は、住宅ローン控除との併用のために何かすることはありません。以下で簡単に説明します。
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ワンストップ特例制度の申請書に必要事項を記入
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マイナンバーカードなどの本人確認書類のコピーを用意
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申請書と本人確認書類のコピーを寄付先の自治体に送付する
この手順で完了します。2年目以降の住宅ローン控除は年末調整で控除されるため、確定申告をする必要がなくなります。注意点は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日(必着)までに、寄付先に送付しなければならないことです。遅れてしまったり、不備があって受け付けてもらえなかったりした場合は、確定申告が必要になるので、提出期限を把握してできるだけ早く送るようにしましょう。
まとめ
今回は、ふるさと納税と住宅ローン控除の併用についてのほか、併用の申告方法について解説してきました。いくつかの注意点がありますが、2つを併用することで効果的に税控除が受けられるので、解説した内容を参考にして、失敗のないようにふるさと納税と住宅ローン控除の併用に挑戦してみてください。
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