「米とりんごといで湯のまち」で、貴重な農作業体験をしませんか?
自治体・団体: 青森県黒石市
十和田八幡平国立公園北西の玄関口にある黒石市は、青森県のほぼ中央に位置し、米とりんごの産地として有名です。市の東部は八甲田山に続く山地で、ほかの三方は稲作地帯である津軽平野であり、比較的標高の低い丘陵地帯で主にりんごの栽培がおこなわれています。
人口は3万人ほどで主な産業は農業ですが、市街地には江戸時代から続く城下町の雰囲気が残っています。中でも国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「中町こみせ通り」は、電線地中化などにより藩政時代の風情を醸し出している通りで、黒石を象徴するスポットです。伝統的建造物と日差しや吹雪から人を守るアーケードが、藩政時代からほぼそのままの形で残っており、日本でも他にない懐かしい風景になっています。
また、黒石市内には泉質の異なる個性豊かな温泉地が点在していますが、ひときわ旅情をそそられるのが、ランプの宿 青荷温泉です。青荷渓谷の渓流沿いにある秘湯の宿で、電気はなく闇夜を照らすのはランプの灯りのみ。携帯電話も通じず、テレビもない静かで幻想的な時間を過ごせます。日本有数の豪雪地帯ですが、その雪の風情がいいと、多くの外国人も訪れる人気の場所になっています。
そんな自然と歴史が調和した黒石市では、どんな「ふるさとワーキングホリデー」の職種があるのでしょうか。ちなみに黒石市では「ワーホリ黒石!」と呼んでいます。
主なものは農業になります。作物はりんご、水稲、ダイコンやキャベツなどの野菜類です。また、黒石市で行っているりんごセミドライの加工作業などの体験も行っています。
「ワーホリ黒石!」の特徴の一つが、3つのスタイルがあること。
まず「ワーキングホリデー型」は若者を中心とした3泊から7泊ほどのもので、比較的参加しやすいタイプです。
次に「トラベラーズワーキング型」は40歳前後の人を対象としたもので、滞在期間も1~2週間ほどとなり、市内のリンゴ農園などで就労します。
そして特筆すべきは「農家宿泊実習型」です。大学生を対象に、授業の一環として実習を希望する人に向けたもの。実際に農家に宿泊し、農業体験を含む農家の暮らしを丸ごと体験することができます。期間は3泊から7泊ほどです。
期間中には黒石市の魅力を知ってもらえるイベントの紹介もしており、黒石ねぷたまつりや黒石よされなどお祭りへの参加、地域住民との交流会などの体験も可能です。
参加者からは「広大な農地と冷涼な気候でよい経験ができました」「普通の旅行では参加できないイベントに参加できたり、地元の人と交流することで、自分も知らなかった日本や青森の一面に気づきました」と好評だったようです。
では実際に「ワーホリ黒石!」を受け入れた農家さんたちにとってはいかがだったでしょうか。
「人手不足であったため非常に助かった」「来年度も事業を行うのであれば是非、声を掛けて欲しい」と好評でした。
また、参加者のなかには、黒石産のお米やりんごなど、ふるさと納税を利用し購入している人もいるそうです。
市の最終目標である「定住」にはなかなか結び付いていませんが、参加者へのアンケート調査などの結果を分析しながら、より良い方策を検討している最中です。
黒石市独自の取り組みとしては、参加者の総宿泊費半額助成および宿泊先から作業農地までの交通費助成を行っています。これは助かる制度ですね。
最後に黒石市役所農林部農林課の中村さんからひと言。
「黒石市は農業が盛んな市ですが、高齢化などによる担い手の減少や後継者不足といった大きな問題を抱えています。「ワーホリ黒石!」を通じて、黒石市の良さを多くの人に知ってもらい、若い世代を中心にIターン、Uターンによる「定住」で抱えている問題解決に向け、今後も取り組んでいきます。
受入先の方々は温かく受け入れてくれますので、自然に囲まれたここ黒石で、一緒に農作業体験をしてみませんか」