【噂か誠か その5】猛暑日のディズニーを制するもの、それこそが真の冒険者
8月の猛暑日、太陽がジリジリ肌をつきさすディズニーリゾートに行く。
それは真冬のエベレストに登頂することと同じ。決して常人が足を踏み入れてはならない、それこそ真の冒険者が集う過酷で禁断の領域です。
それにしても、なぜ、多くの人々が真夏のディズニーを目指すのでしょうか。
そこに山があるから。
なんて答え、マジ草(と、この使いかたで、いいの?)。
例えば、かつて流行したたまごっち。他にもいろいろありましょうが、とりあえず、たまごっち。驚異的なブームは、あっという間に過ぎさりました。
さまざまなブームが起き、そして無情にも消えていく。そんな時代の流れのなかで、いつまでも衰えない人気を誇るディズニー。その隣でいっときは並びなからも、寂しくバイバイしていった流行モノたち。
🎵みんな何処へ行った、見守られることもなく
🎵地上にある星を誰も覚えていない(中島みゆき・地上の星より)
移ろいやすい世の中にあって、いつでも混雑、真夏の過酷なディズニーさえも超満員。
変でしょ。
奇妙に思いませんか?
どのくらい奇妙なのかを、これから証拠としてあげます。数年前の夏の日に、オババの先導で夏のディズニーを制覇した、あの日のことを。
ディズニー法第5項
パークの最後まで逗留し、その余韻を味わう
この法で決して律することができないのが、盛夏ディズニーの恐怖。
これは、私が遭遇したある少年少女の悲劇です。けっして彼らが悪かったわけではない。
暑かった。
ただ、それだけのことでした。
ところで、そんな日に好きこのんで、なぜ私がディズニーシーにいたのか。
それはミラコスタホテル付きという太っ腹だったからです。たとえ、炎天下の真夏であろうと、そりゃ、行かねばなりませぬ。なにせ、ミラコスタでっせ。ホテルで休んでおれば良いだけでっせ。
さて、その日のディズニーシーは、太陽がカンカンカンとドラム缶を叩き警報を出すほど暑い日でした。
砂漠で遭難して一滴の水でも必要というのに、どこのショップも延々と行列ができている。冷たい飲み物を手に入れるだけでも試練が必要な日、人々の顔から笑顔が消え、聞こえてくる言葉は、ただただ「あ・つ・い」。
「暑いねぇ」
「なんて暑さだ」
「いったい何度なんだよ、今日は」
「マジか。これ、暑過ぎ」
「おかあちゃん、アクアトピア乗ろうよ」
「外は暑いから、中にあるものにしなさい」
「おかあちゃーーん。ウ、ウェーーン」
こんな会話が、あちこちから聞こえていました。
私たちは海底2万マイルの行列、それもスタンバイに並んでいます。
オババの神通力をしても、今日の暑さでファストパスに走る家族は1人もいませんでした。
私たちの前には、曲がりくねった、いつ果てるともない鉄製の枠でできたスロープがあり、少しづつ少しづつ前に。
すぐ前には若いふたりのカップル。仲よさそうに肩を組んでいます。
早朝からディズニーデートをはじめたんでしょうね。
若いもんな、朝一番で電車で来て、行列に並び。開門!! と同時に飛び込んだであろうな。意気揚々であったろう。ディズニーランド、夢の国だもの。
午後2時頃。お昼休みも終わり、疲労がピークに達する時間。
ヤンキーカップルでもなく、極道のアネさんとヤクザでもなく、ごくごく普通の二人。どちらかといえば良家のぼっちゃん、嬢ちゃん風。
だが、その日は暑かった。本当に暑かったのだ。コンクリートで目玉焼きができるじゃないかというほど照り返しが強かった。どんな育ちの良い子でも極道に変身させることができる、強烈な暑さだった。
そして、海底2万マイルに乗るには100分待ち。
少年は少女のか細い肩を抱いて耐えていた。
汗だくになった顔で少女は黙って並んでいる。
そして、ついに、その瞬間がきた。誰が予想したであろう、こんな現実に向かって二人が突き進んでいく運命であったことを。
「離して」
最初は消え入るような声でした。
「え?」
「離して!」
少年、その声の真摯さから、あるいは暑さのせいで頭をやられたのか、混乱したようだ。さらに強く少女を抱きしめて問いかけるような優しい目をしました。
「暑い! わかんねのかよ。あっちぃだよ!!
離せ!!!! うざいんだよ!! マジ無い!!!」
ドスのきいた声で少女は言い放ちました。
どうだ、わかったろう少年少女。夏のディズニーはデートに向いてない。
しかし、秋でもだよ。
秋は暑くはないが、それで、はしゃぎすぎて夜には疲れ、疲労困憊の状態になるんです、たとえ若くてもな。若いからこそ、疲れ知らずのため、そして、
「離せ! うざいんだよ! マジ無い!!!」
そして、冬。寒さのあまり凍えた身体に延々とした行列。
「離せ! うざいんだよ! マジ無い!!!」
春、春キャンで、ディズニーは絶好調。人気のないアトラクションでさえ60分待ち、
さあ、皆さん、一斉に、ご唱和願います。
「離せ! うざいんだよ! マジ無い!!!」
つまり、どの季節だろうと、デートには向かんのだよ。これは本当の話です。
ついでだから付け加えておこう。
独身男性たちよ、いかに女性がミッキー好きとか、ミッキーに会いたいとか、ダッフィでもいいとか、さまざまな要求をしても、大人の男として、そういう女性をディズニーに連れていってはいけない。デートは惨憺たる結果になることをうけあいましょう。
女たちよ、女子会をディズニーで開いてはいけない。あなたたちには、コーヒー一杯で3時間粘らせてくれるカフェがあるはずだ。
この際だから若い夫婦にも言及しておこう。
オムツをはいた赤ちゃんとカートを押してディズニーランドに行ってはいけない。オムツ替えの場所はあります。いかんせん、ものすごく混んでいます。1時間はかかるであろう。汚れたオムツをはいた赤子のお尻が蒸れるのはまちがいない。
働き盛りのご夫婦。あなたたちの行く場所はディズニーではない。他にいくらでもあります、ともかくディズニーだけは違うと宣言しよう。
オジジ、オババよ、足腰を痛めたくなくば、ディズニーリゾートに近づくな。これは明白な事実です。たとえ孫にせがまれても、それだけはやめたほうがいい。行列要員にされるだけだ。
ハッ、ハッ、ハア、ゼイゼイ、ゼイ、ゼイゼイ・・・
ウォッシ! こ、これですべての年齢を網羅できたな。
大丈夫か?
まだ言及してない年代、あれば挙手!
皆の者、忖度だ。忖度の時間だ。
アメリッシュの気持ちを深く静かに推し量り、閑散としたディズニーを表出させるのだ。
そして、私を下記のようなディズニーリゾートに連れてって。
誰もいないテーマパーク。
暇すぎるミッキーとミニー、ドナルド、そして、愛らしいチップ&デール・・・。
パーク内では、ディズニーキャスト総お出迎え。
いつでも簡単にキャラクターと写真撮影。向こうから手を差し伸べて歩いてくる。
キャストは、お手伝いのため、後ろに従い。
乗り物待ち時間0。
レストラン、入り放題。
ついでにポップコーンは向こうからやってくる。ミッキーおよび楽団付きで。