『ELDEN RING』制作陣に聞く!作品に込められたこだわりや冒険のヒントとは?【Q&A前編】 | ファンファーレ

『ELDEN RING』制作陣に聞く!作品に込められたこだわりや冒険のヒントとは?【Q&A前編】

先日公開された記事で『ELDEN RING』に関する質問を募集したところ、たくさんのご応募をいただきました。今回、その中から読者のみなさまの関心が高そうなご質問をピックアップし、フロム・ソフトウェアの北尾泰大さん、バンダイナムコエンターテインメントの吉村篤雄さんに答えていただきました。(Q&A企画のご質問につきましては、終了しております。)

2022年2月25日に発売を迎えた、フロム・ソフトウェアとバンダイナムコエンターテインメント共同開発によるアクションRPG『ELDEN RING』。本作は開発をフロム・ソフトウェア、プレイテストやローカライズ、海外版のデバックをバンダイナムコエンターテインメントが担当し、パブリッシングに関しては、国内をフロム・ソフトウェア、海外をバンダイナムコエンターテインメントがそれぞれ担当をしているタイトルです。

世界累計出荷本数は1,200万本(※1、2)、国内累計出荷本数は100万本(※1、2)を突破し、世界中で大きな反響を呼んでいます。(国内販売元:フロム・ソフトウェア/海外販売元:バンダイナムコエンターテインメント)

※1:2022年3月14日時点の数字となります。
※2:ダウンロード版およびPCゲームプラットフォーム「Steam」からのダウンロードを含みます。

本作の発売前日、ファンファーレではフロム・ソフトウェアの北尾さんとバンダイナムコエンターテインメントの吉村さんのインタビュー映像を公開。その記事で募集した読者のみなさまからのご質問へのご回答をお二人からいただきましたので、ご紹介します。前編では両社が本作を制作するうえで重視したポイントや作品をプレイするお客さまへのメッセージなどについてお話しいただいています。

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北尾 泰大

フロム・ソフトウェア所属

『ELDEN RING』の宣伝・制作を担当。関連作品として『Blooodborne』や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』なども手がける。

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吉村 篤雄

バンダイナムコエンターテインメント所属

『ELDEN RING』のプロデューサーを担当。海外事業部で家庭用ゲーム『鉄拳6』などの海外マーケティング業務に携わる。フロム・ソフトウェアとの協業においては『DARK SOULS』シリーズを含み現在までに計5タイトルを手がける。

Q.本作はマップやシステムなど、あらゆる面でフロム・ソフトウェアさま作品の集大成のようになっていますが、オープンワールドで作品を作るにあたり、とくに大事にしたことは何ですか?

北尾:いくつかありますが、ひとつは高い自由度です。お客さまそれぞれの方法で楽しんでもらい、自分のペースで探索できるこの新しいオープンワールドで解放感を味わってほしいと思っています。

プレイを進めるなかで「想像よりも広いぞ」という驚きが二度三度と更新されていく本作。行く先々の土地や建物には非常に多彩な光景が広がります。また、直接的なつながりは言及されないものの、一部には過去のフロム・ソフトウェア作品を彷彿とさせる地形や建造物も見かけられます。同社の作品を長く遊んできた人であればあるほど、本作の世界を探索する楽しみは増すといえるかもしれません。

夜の街のイラスト

低い精度で自動的に生成された説明

Q.バンダイナムコエンターテインメントがプレイテストやローカライズ、海外版のデバッグなどで本作に携わるなかで、大切にしてきたことを教えてください。

吉村:世界中の多様なお客さまに楽しんでいただくことを常に意識しつつ、各作業に取り組むようにしました。プレイテストについては、発売二年前から国内外で定期的に実施しつつ、都度アウトプットをタイムリーにフロム・ソフトウェアさまにご共有しました。ゲームプレイだけでなく、ゲームを理解するうえで重要なユーザビリティとオンボーディングにも注力し、それらを集中的にカバーするプレイテストを海外では実施するといった工夫をしました。

ローカライズについては、深みのある世界観がどの言語でも正確にお客さまに伝わるように、日本語テキストを担当するフロム・ソフトウェアさま、英語テキストを担当するフロッグネーションさまと密にコミュニケーションしました。キャラクターのセリフによっては、解釈次第で意味合いが変わる表現も多々ありましたが、日英以外の言語について、そのままバンダイナムコエンターテインメント側の各翻訳者の解釈に委ねてしまうと、原文を作成した両社の想定と異なる内容となってしまうリスクがあります。

したがって、フロム・ソフトウェアさま、フロッグネーションさまとバンダイナムコエンターテインメント側の各翻訳者の解釈を揃える目的で、言葉の一つひとつにどういった意図が込められているかを確認していました。また、“読み手の解釈にお任せするフレーズについては、それが達成できるような抽象度がテキストのなかにあるかなどを常に関係者間で確認し合いながら翻訳を進めるようにしました。

Q.本作をワールドワイドで展開するにあたり、翻訳するのが難しかった表現はありますか?

吉村:タイトル名でもある『ELDEN RING』という表現を、日英以外の言語にどう表現するかバンダイナムコエンターテインメント内でとても議論しました。各翻訳者が物理的に存在して「触れる」ものと認識し、直訳的にしてしまうところを、抽象的な概念を指す意訳であることを認識してもらいつつ、それに相応しい翻訳にしてもらうのに時間を割きました。

各言語でのローカライズに細心の注意が払われたというテキスト。フロム・ソフトウェア作品のファンを惹き付ける大きな魅力のひとつとして知られるのが、装備やアイテムのフレイバーテキストです。ほのかにストーリー性を感じさせる文章はプレイヤーの想像力を刺激し、作中で明かされていない秘密に関する考察をはかどらせてくれます。

普段使っていないタイプの装備でも、テキストの格好良さに惚れて使いはじめた、という経験がある人は少なくないでしょう。本作でも魅力的なフレイバーテキストが多数登場しているので、新しい装備やアイテムを手に入れた際にはぜひともそのテキストを確認してみてください。

Q.ゲーム内一部のビジュアルには西洋の油絵のような質感があると感じました。どのように本作の美術スタイルを決めたのでしょうか?

北尾:シチュエーションによってさまざまありますが、本作では神話的、絵画的な世界観を目指していました。質問を送ってくださったお客さまが油絵のような質感を感じられたのは、そうした世界観のテーマによるものだと思います。また、神話的、あるいは、絵画的な世界観を象徴するものが黄金樹ですね。

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質問者さまが油絵のよう、と感じた本作。作中には絵画のオブジェクトも多数登場します。なかには特定の場所を指し示す宝の地図のような役割をはたしている絵画もあり、探索要素のひとつにもなっています。

また、プレイヤーの拠点ともいえる大祝福や各地の城などに飾られている絵画もあります。こちらは報酬などにつながるわけではありませんが、少し気に留めておくとプレイを進めるなかで「あの絵に描かれていたのはこれだったのか」とちょっとした発見をした気分が味わえます。

オブジェクトを気にせずにプレイしていた人も、これまでに訪れた地を改めて観察してみると新しい驚きに出会える、かもしれません。

Q.広大な世界観で驚きました。もし地下墓や洞窟などのダンジョンを探すコツがあれば教えてください!

北尾:地下墓に関しては、フィールドに点在する特定のオブジェクトが、その方角を指しています。また、キャンドルから現れる幻影に着いて行くと、洞窟や坑道の入り口を見つける…といったこともあります。お客さまそれぞれの自由な探索のなかで、ダンジョンや、ダンジョンへのヒントの発見を楽しんでいただければうれしいですね。

自然, 写真, フロント, 男 が含まれている画像

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北尾さんが挙げたヒントのほか、各地方で入手できる地図にも手がかりが存在します。歩き回りながら目を凝らすのも大事ですが、時には地図を眺めて怪しいポイントを探し、目印となる光柱をつけて探索に向かうのもいいでしょう。

マップ

自動的に生成された説明

また、オンラインでプレイしているのであれば、ほかのプレイヤーが残したメッセージも大きなヒントとなります。どこにどんなメッセージを残すのも自由なのですべてのメッセージがヒントになるとは限りませんが、メッセージの存在自体がその足場に乗れることを示すなど、プレイ中はメッセージに助けられることも少なくありません。オンライン環境でプレイできる人は、ぜひオンラインで本作の世界を堪能してください。

【編集後記】
フロム・ソフトウェアとバンダイナムコエンターテインメントが共同開発した『ELDEN RING』。オープンワールドで最初から行ける範囲が広く、プレイヤーの行動がより尊重されているので、お客さまによってさまざまな体験ができるのが魅力です。前編の読者質問への回答を通して、本作の裏にある両社のこだわりが伝わってきました。海外でも高く評価され、多くのお客さまを魅了している『ELDEN RING』は、このタッグだからこそ実現できたのだと感じました。

Q&Aの後編では、本作のリリース前に行われたネットワークテストや両社が考えるお互いの強み、そして今後の『ELDEN RING』の展開などについてご回答をいただいています↓

©Bandai Namco Entertainment Inc. / ©2022 FromSoftware, Inc.

村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのインタビューや攻略記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。好きな装備は隕鉄の刀とギーザの車輪、そしてガンメンの盾。