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【テレビ・ネットで話題】
日本のバフェット【貧農生まれから、株で資産18億円】シゲルさんが教える「投資の知恵」
・損をしてもクヨクヨするな
・ほかの投資家の心理を読め
・勘と成功体験に頼るな
・投資は「休む」ことも大切
・人よりお金を稼ぎたいなら頭を使え
・苦しくても人の逆を行け◎投資歴68年をこの1冊に凝縮!
昭和・平成・令和の相場を見続け
バブル崩壊、リーマンショックも乗り越えた
カリスマ個人投資家の投資術を徹底「初」公開【資産18億円】【月6億円トレード】
デイレードがなにより大好きで、
命の続く限り現役トレーダーを続ける!
僕も新型コロナウイルスの蔓延の少し前くらいから個別株投資をやるようになって(それまでも少し投資信託は持っていたのですが)、もう5年くらいになります。
この「87歳の現役デイトレーダー(コンピューターを使ってリアルタイムで株価の変化に応じて取引し、短期間で利益をあげようとする人)」のシゲルさんという人は、名前は聞いたことがあるけど……」という感じでした。
この本をひととおり読んでみての感想は、やっぱりお金を稼いだり、株取引をするには「向き・不向き」があって、情報収集やお金の増減を楽しめるメンタリティが必要なんだな、ということでした。
あと、メディアは高齢の株トレーダーを「日本のバフェット」と呼びたがるけれど、バフェットさんはデイトレーダーではなく、投資スタイルが違いすぎるので、そのたとえには違和感があるなあ、と。
「自分にとって身近だったり、興味があったりする会社、どうやって稼いでいるのか理解できる企業に投資する」ということや、資産の割に贅沢な暮らしをしていない、というのも共通点ではありますが。
僕は正直、この本のタイトルをみて、思ったのです。
87歳にもなって、資産18億円もあれば、もう、お金が減るリスクがあるデイトレードを続ける必要はないのでは?と。
シゲルさんは、19歳のときに勤務先のペットショップのお客さんとのつきあいがきっかけで株取引に興味を持つようになり、それ以降68年間、阪神淡路大震災でトレード(株取引)を中断したり、リーマンショックで資産を大幅に減らしたりしながらも、株取引を続けてきたのです。
シゲルさんにとってエポックメイキングだったのは、66歳のときに初めてパソコンを買って、ネットでの取引をはじめたことでした。
ちなみに、現在でも、株取引に必要なこと(取引ツールや情報収集サイトなど)以外のパソコンの使い方は、ほとんどわからないそうです。
僕が子どもの頃の記憶では「株ってギャンブルみたいなもので、破産したり借金まみれになったりする人が大勢いる怖いもの」という印象でした。
株取引も、市場でスーツを着た証券会社の人たちが、端からみると何だかよくわからないハンドサインでやりとりをしている、築地の市場みたいな感じだったんですよね。
それが、パソコンを使ったネット取引のおかげで、手数料が下がり、スマホで簡単に取り引きできるようになり、日本でも専業トレーダーとして生活している人が大勢います。
その一方で、アベノミクスやNISAなどによる「投資ブーム」に乗って資産を増やしてきた(と称している)最近ネットで大勢見かける「投資家」たちには、1991年の「バブル崩壊」や2008年9月15日のリーマン・ブラザーズ経営破綻に端を発した「リーマン・ショック」を経験していない人が多く、投資なんてそんなに甘いものじゃないぞ、と危惧してもいるのです。彼らのYouTube動画を観て参考にしてはいるんですけどね。
「長い目でみれば、世界全体の経済成長は右肩上がりなんだから、インデックスファンドを買い続ければ途中で上がり下がりはあっても結局はプラスになる」
それは確かにそうなのだろうと思います。
でも、半世紀生きてみると、「何十年」とかいうのは、大概100年にも満たない人生で簡単に待てるほど短い時間ではありません。どうしてもお金が必要なときが出てくる可能性はありますし、身体を動かすこともままならず、美味しいものを自力で食べることが難しい年齢になってから、1億円の資産を持っていても、宝の持ち腐れのような気がします(周りの人は喜ぶかもしれないけれど)。
あなたがエルフのフリーレン様なら、インデックスファンドで問題ないと思いますが。
何のためにお金が必要なのか?と考えると、自分や周囲の人が幸せになり、安全を守るため、なのだと思います。
逆に考えれば、お金を稼ぐために、幸せや安全を犠牲にするのは本末転倒。もちろん「他のものを犠牲にして稼がなければならない時期」も人生にはあるのですが、目的と手段が入れ替わってしまっている人が多いように見えるのです。
結局、「お金は、お金でしかない」のもまた事実ではあります。
みんな、大金持ちを「羨ましい」とは思うし、僕だってそうだけれど、「お金持ちだから、というだけで人として尊敬する」わけではありません。
スポーツや芸能、芸術の世界で成功したり、革新的な事業を起こしたりして超富裕層になった人と、親の遺産を受け継いだだけ、という人に対して抱く感情は同じではありません。
世界中のお金持ちがチャリティやボランティア活動に積極的なのは、たぶん「お金を持っているだけでは、所詮、自分自身の一時的な快楽欲が満たされるだけで、それでは物足りなくなるから」ではないでしょうか。
お金があれば、次は、社会的な認欲求を満たそう、みんなに「尊敬」される人でありたい、世の中の役に立って、歴史に爪痕を遺したい、と考えるようになる。
前澤友作さんを遠目で眺めていると、お金ってあればあるほど、「お金だけじゃ、贅沢をするだけじゃ物足りなくなってくる」のかな、と思えてくるのです。
シゲルさんは、この本のなかで、こう述べています。
多くの人は「お金を増やしたい」という思いから投資をしているんじゃないでしょうか。いまは政府も国民の預貯金を投資に回させるべく、さまざまな施策を講じています。
しかし、私が投資をしているのは、お金がほしいからではありません。ここまで続けてきたのは、ひとえに「株が好きだから」という理由に尽きます。
もちろん、お金を増やしたいという思いを否定するわけではありません。ただせっかく投資をするなら、楽しんだほうが絶対にいい。
私は「投資が好き」という気持ちが先にあったからこそ、いろいろと試行錯誤して勝負を続け、後からお金がついてきたのです。
私は何も特別なことをしているとは思っていません。近年になってテレビや雑誌、ウェブメディアからの取材が増え、ついには海外メディアからの取材まで受けるようになりました。しかし、当たり前のことをしているだけだと思っているので、なぜ取材されるのか、実はいまだによくわかっていません。
単に爺さんがネット取引をしているのが珍しいだけじゃないのかと思っています。
値が下がった株を買って、上がった株を売る。私がしているのは、ただそれだけのことです。それは68年前も、いまも、そして100年後も変わらない投資の真理だからです。
僕はネットでお世話になっている人から、「お金を稼ぐのは面白いですからね」と言われたことがあります。
いやいやいや、生きるために面倒くさい仕事で消耗しきっているのに……と思いつつも、株取引やギャンブルは「命の次に大事なものを賭けて、ヒリヒリする感覚を味わえる」のも、知っています。
そして、お金は大事だし、それを失ってしまうのは怖いけれど、逆に考えれば、投資やギャンブルは、割り切れれば「お金だけで済む話」なんですよね。それでヤケになって他人に当たり散らしたり、仕事への集中力を欠いたりしなければ。
そう考えると、「それがすべて」である専業トレーダーというのは、相当キツイのではなかろうか。
シゲルさんは、情報を集め、自分の判断で売買をしてお金を増やすという行為を「趣味」として楽しんでいるようにみえます。
「こんな年齢になってまで、そんなにお金にこだわらなくても」と思いながら読み始めたのですが、読んでいくうちに「こうしてずっと新しい情報を取捨し、自分で判断をするトレードを続けていくことそのものが、シゲルさんの『生きがい』なんだな」ということがわかってきました。
具体的なトレード方法とか、株取引の初歩的な知識なども本のなかで紹介されているのですが、そんなに目新しいものは僕にはありませんでした。
でも、「とにかくトレードが好きで好きでたまらない、トレードのために生きている」という人が世の中にはいるのだな、ということはよくわかりました。
そして、トレードを続けることが、シゲルさんにとっての「幸せ」なのだ、ということも。
でも私は、バフェットの言うことは、そのまま鵜呑みにしていません。それはなぜか? 彼がファンドを経営しているからです。彼がなぜ銘柄について語るのか。それはつまるところ、「自分の利益になるから」に尽きます。
自分が発言したことで株価が上がる。株価が上がったところで売れば、当然利益が得られるわけです。それがバフェットの狙いですよ。
別にこれはバフェットに限った話ではありません。ファンドならみんなやっていることです。ソフトバンクの孫正義さんも、旧村上ファンドの村上世彰さんもそう。
現に8月には、バークシャー・ハサウェイが1兆1000億円もの売り越しを行なったことが決算から明らかになりました。具体的な銘柄はわかっていません。
みんな、「いかに安く買って高く売るか」を考えています。なので、日本人はバフェットの言うことをありがたがって聞いていますが、「その裏に何かあるのか」を考えるべきですね。
結局のところ、シゲルさんがこの年齢まで現役トレーダーを続けておられるのは「株取引を楽しんでやってきたこと」と「他人の言葉を鵜呑みにせず、自分で考える習慣を持ち、知識と見解をアップデートしつづけてきたこと」が大きいのだと思います。
裏を返せば、「トレードしてもうまくいかない」「やっていてもストレスを感じるだけ」という人は、いくら周囲が騒いでいても、「ブーム」に乗らないのも賢明な選択です。証券会社や株式YouTuberの「カモ」になってあげる必要はありません。
こんな「トレードこそ人生」みたいな人と同じ土俵で闘えますか?(だからインデックスファンドを買え、とか言われそうだけど)
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