- 作者: 小川糸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/10/25
- メディア: 単行本
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内容紹介
「ツバキ文具店」は、今日も大繁盛です。
バーバラ夫人も、QPちゃんも、守景さんも、みんな元気です。
みなさんのご来店をお待ちいたしております。――店主・鳩子
亡くなった夫からの詫び状、川端康成からの葉書き、
大切な人への最後の手紙……。
伝えたい思い、聞きたかった言葉、
「ツバキ文具店」が承ります。
※この感想は、小川糸さんのファンは読まないことを強く推奨します。
というか、読むと高確率で不快になるので、読まないでください。
ちゃんと警告したからね!
2018年『本屋大賞』ノミネート作品。
正直、ノミネート作品のなかに、「小川糸」の名前を見かけて、僕は憂鬱になりました。「またかよ……」って。
それなりの数の小説を読む人であれば、「世間的な評価は高くないけれど、自分は好きな作家」もいれば、「多くの人が褒めているけれど、どうも苦手な作家」もいると思うのです。
僕にとっては、小川糸さんって、後者の代表格なんですよ。
僕自身がズボラで日常を丁寧に生きていない人間だから、なのかもしれませんが、小川さんの作品を読み、ファンの反応を確認すると、「ミニマリストとその信者たち」みたいな感じがしてくるのです。
この小説「いい話」なのかもしれないけどさ、正直、背筋がピンと伸びた立派な人に、ずっと「あなたは人間失格!」とお説教されているみたいで、読んでいると息苦しくなってくるんですよ。
この小説を支持している人たちは、「ミニマリズム的な『正しい生活』への憧れ」みたいなものがあるのかもしれないけれど、僕は読むのがつらくて仕方がありませんでした。
そもそも、「代書屋」として鳩子さんが書いている文章が、あまりに教科書的というか、こんな「いいお手紙のサンプル」みたいなものをもらっても、僕はそんなに感動できそうもない。
手紙を依頼してくる人も「悩ましい依頼をしてくる人の典型例」みたいで、面白くもなんともないし。
いちおう、『本屋大賞』にノミネートされているということは、これが「2018年のベスト10」くらいに入っている書店員さんが大勢いるってことなんだよなあ。
みんな、そんなに綺麗な世界に生きている、もしくは、良い話に飢えているのだろうか。もしかしたら、10冊くらいしか読んでないとか……
固定ファンがいるのだろうけど、「その作家のファンだから」という理由で、読まずに投票していませんか?
鳩子さんが結婚相手の亡くなった奥さんについてあれこれ考えて、「亡くなった奥さんも一緒に、四人家族になりましょう」なんて言っている場面では、「立派な人すぎて、気持悪い……こんなの読むんだったら、『めぞん一刻』を読み直したほうがよっぽどマシだ……」としか思えなくて。
「超有名マンガの二番煎じの立派な決意」って、あまりにも安っぽい。
『めぞん一刻』なんて知らないし……という人も、大勢いるのだろうけど。
しらすご飯にも、一年前のQPちゃんはマヨネーズをかけて食べていた。けれど、さすがにそれは子どもの体にどうなのだろうとミツローさんと話し合い、まずは市販のマヨネーズから手作りのマヨネーズに切り換えた。
手作りのマヨネーズなんてハードルが高そうだけれど、実際にやってみるとすごく簡単で、材料は卵黄と油とお酢、そこに塩を加えて味をととのえるだけだった。それを、私は市販のマヨネーズケースにわざわざ移してQPちゃんに食べさせた。その方が、きっと安心するだろうと思ったのだ。油は、健康のことを考えて、いつもオリーブオイルを使う。
僕はキューピーの回し者じゃありませんし、人にはそれぞれ味の好みもあるのはわかるけれど、安全性に関していえば、「市販のマヨネーズ」は、そんなに危ないものじゃないですよ。というか、衛生面を考えれば、素人が手作りしたほうが、リスクは高いのではなかろうか。
「この主人公と友だちになったら、怪しい健康食品とかバンバン売りつけられそうだな……」としか僕には思えないのです。
そして、言葉選びのセンスの悪さは今回も健在です。
「あら、パンティー」
私よりも先に、バーバラ婦人が声をかけた。
パンティー? 大きな疑問符が浮かんだけれど、パンティーと呼ばれた帆子さんは、どこ吹く風でけろりとしている。どうやら、バーバラ婦人と帆子さんはかねてより顔見知りだったらしい。
「私、そこの小学校で、先生をしているんです。名前がハンコでティーチャーだから、最初はハンティーって呼ばれてたんだけど、気づいたらパンティーになってて。恥ずかしいですよね。でも、私パン焼くのも好きだし、まっ、いいかー、って受け入れちゃって。だけどやっぱり、理由を知らない人が聞いたらびっくりしちゃいますよね」
前作では、この「パンティー」に「なんだよそのネーミングセンス……」と呆れたのですが、今回はこんな人が出てきます。
私が見ていることに気づいたのか、レディ・ババがこちらを振り向く。
確かに、前から見るのと後ろから見るのとでは、全く印象が違う。
後ろ姿は十代のギャルそのものなのに、前から見るといい歳のおばさんだった。たまに、電車なんかでミニスカ—トをはいた若作りの中年女性を見かけるけれど、レディ・ババは明らかに若作りの範疇をこえている。
「パンティー」のつぎは、「レディ・ババ」かよ……オッサンのダジャレ大会か?
現時点では紙の本しか出ていたのですが、僕はここを読んでいて、本を壁に投げつけたくなりました。
「『本屋大賞』のノミネート作はどんなに苦手な作家でも、全部読んで確認する」という自分で作ったルールが恨めしい。苦手な作家も、読んでみれば以外とハマるかも……という期待もあったのですが、小川糸さんは無理、無理だ……このシリーズのとりえは、多部未華子さんの仕事が増えることと(でも、原作が嫌いだから、ドラマは見ないんですけどね)、250ページしかないところだけです。というか、3ページくらいで終わってくれ。
というわけで、今回も、「読む前から苦手だと思っていた小説と僕との不幸なマリアージュ」が起こってしまったわけです。
僕にとっては「つまらない」以上に、「読んでいてイヤになる」のだよなあ、この人の小説って。そのなかでも、この作品は、とくにひどい。
こんな感想を読ませてしまって、申し訳ない。
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